税金対策

【インタビュー】暗号資産(仮想通貨)の収支計算・管理プラットフォームCryptoLinCが見据える仮想通貨税務の未来

クリプトリンクインタビュー
クリプトリンクインタビュー

確定申告の時期が迫ってきています。今年は暗号資産(仮想通貨)投資の盛り下がりもあって、そこまで話題にはなっていません。ただ、年始に売り抜けた人や損失補填を受けた人など実は知らないうちに自分が確定申告の義務対象になっていることもあります。そんなときに簡単に利用できるのが暗号資産(仮想通貨)の税金計算ツールです。

しかし、「計算のツールを使ったほうがいいの?」「どんなサービスがあるの?」など、気になる点が多くあります。

そこで、今回は暗号資産(仮想通貨)の確定申告に役立つ税金計算ツールを提供する「CryptoLinC(クリプトリンク)」社にお伺いして気になるポイントや暗号資産(仮想通貨)の税務の現状やCryptoLinCについてインタビューをしてきました。

八木橋泰仁プロフィール

八木橋 泰仁
代表取締役/税理士

 

  • 大手金融機関を経て平成17年に税理士として独立開業。
  • 同年、株式会社ファシオ・コンサルティングを設立し代表取締役に就任。保険代理店、経営コンサルティング、M&A仲介等を手掛ける。
  • 平成21年に税理士法人化し、税理士法人ファシオ・コンサルティング代表に就任。
  • 平成29年に当社を設立し代表取締役に就任。
  • 暗号資産(仮想通貨)の税金の第一人者として日々発信を続けている。
酒井孝幸プロフィール

酒井 孝幸
取締役/営業本部長

 

  • 2004年 日本大学生物資源科学部卒業後、大和食品工業株式会社入社。
  • 2005年株式会社ネットラーニング入社、企業向けのeラーニングによる研修プログラムの策定ならびに導入コンサルティングに従事。2013年より中国市場の開拓をミッションとして活動。
  • 2015年株式会社マネーフォワード入社、企業や士業事務所に対してクラウドサービスの導入並びにサポートに従事。
  • 2018年よりクリプトリンク株式会社入社、営業・企画を担当

税理士全員が暗号資産(仮想通貨)の税務を行えるわけではない

—- 今年も暗号資産(仮想通貨)の確定申告時期が近づいて来ました。実際、暗号資産(仮想通貨)の確定申告での課題や問題になっていることにはどんなことがあるのでしょうか

八木橋さん
八木橋さん
2017年の話なんですが税制のリリース等がまだ無い頃にブログを書いたことがきっかけで、実は全国から会計事務所の方でお問い合わせをいただいて、教えてくれっていうようなのが来たんですよ。内容としては主に、暗号資産(仮想通貨)、税金払うのねっていうところから、じゃあそれどう計算するのよとかいうごく基本的な事で全国から反響がありました。
MAStand
なるほど。反響があったのは会計士や税理士の先生からですか?
八木橋さん
八木橋さん

いや、投資家の方から直接です。よくよく話を聞いてみると、「税理士さんに相談をしようと思っても全然けんもほろろで話を聞いてくれない」、「もともと顧問税理士がいて、その人に暗号資産(仮想通貨)の取引始めたんだって言ったらその場で契約解除されました」とかいう話も何件も何件もありました。

税理士さん自体暗号資産(仮想通貨)の申告受けたがらない人がすごく多いのと、あとどういうふうにしたらいいか分からないって人たちがすごく多いんですよ。そこに危機感を持っています。

暗号資産(仮想通貨)の計算は税理士の先生でも困難な作業

—- 税理士の先生でも消極的になるのですね。そこでなぜ税理士の八木橋先生ご自身で暗号資産(仮想通貨)のツールを作ろうという形になったのでしょうか

八木橋さん
八木橋さん
2016年末に自分でも半身半疑で少額の投資をして、ビットコインが8万円ぐらいだった時に投資をして20万円ぐらいで売却をして、少しだけ利益が出たまでは良かったのですが、これを雑所得として申告をするに当たってどうやって計算しようかなと思ったんですよ。やってみたらクソ面倒くさくて、「こんなのいちいちエクセルでやってられるかい!」ってなって、誰か作ってくれないかなというので探し始めたのが元々の入口ですね。
MAStand
MAStand
なるほど、ご自身で利用するために作ってみようと。
八木橋さん
八木橋さん
そうですね。自分で利用するためが一番初めだったんですけど、ただこういうニーズっていうのは僕だけじゃなくて当然ほとんどの人が同じ思いでいたはずなので、使いたい人もいるだろうと思って、開発会社さんを探し始めました。でも、「エクセルで出来るやん」という反応で・・・。簡単に出来ないことをいくら説明しても分かってもらえなくて、半年以上探しました。
MAStand
MAStand
結構かかったんですね。
八木橋さん
八木橋さん
そうなんですよ。だから3月に動き始めて、見つかったのは10月過ぎだったんです。最終的にはしっかりしたサービスにしないと、税理士もそうだし納税者の人たちも困るなという思いもあって、最終的にリリースをしようという方向性に2017年の末ごろにはなってきたというような流れです。(※2018年2月にCryptoLinCをリリース)

CryptoLinCは税理士が責任を持って提供するサービス

—– なるほど、税理士や投資家の方の反響に加えて、ご自身の経験もあってという経緯なんですね。CryptoLinCどのようなサービスなのでしょうか?

酒井さん
酒井さん
すごく簡単に言うと、日本だったり海外だったり色々な暗号資産(仮想通貨)取引所あるのですが、各取引所が提供してるデータをシステムにアップロードするだけで収支の計算ができます、という機能になってます。やってる事はすごくシンプルなんですけど、実際に自分でやってみようと思うとすごく大変なので、そこをシステム化して誰でも計算できるようにしているサービスですね。
暗号資産(仮想通貨)の確定申告用収支計算ツール「クリプトリンク」

クリプトリンクはこちら

MAStand
MAStand
自分でやるのは大変なんですね。具体的にはどんなところでしょうか?
酒井さん
酒井さん
取引所ごとに出てくるレポートのフォーマットがバラバラだったり、そもそもCSVが出なかったりします。あとはレポートの基準になっている時間軸が違かったりとか、取引所ごとにバラバラすぎて。それぞれを同じフォーマットに揃えて同じルールのもと計算し直すっていうのが、複数取引所とか複数通貨で取引をしていると、すごく複雑になってきます。それぞれの通貨の時価も計算しなきゃいけないとか、細々とした事を全部やっていこうとおもうと正直人手じゃ無理っていうような感じだとは思いますね。

税理士が作ることが特徴であり、強み

—– ツールを使うことでかなり負担が軽減されそうですね。CryptoLinCの特徴や強みがあれば教えてください。

八木橋さん
八木橋さん
一番の僕らの強みというのは税理士が開発に関わっていて、なおかつきちんと納税者を守り、また守るべき立場である税理士のこともよく考えて作っているっていうのが第一なので、我々のシステムを使えば少なくとも対国税に対してきちんと証拠を出せる、説明が出来るよねっていう事を優先して作ってるんですよね。なのでまずそこが強みだと思います。
MAStand
MAStand
利用者としては安心できるポイントですね。
八木橋さん
八木橋さん
今回、税制改正大綱でも記載があったように新しい分野だからこそ年々色々な方針や内容の変更があります。それを責任を持って追っていく必要があります。
八木橋さん
八木橋さん
また、税務の事ももちろんですし、取引の内容も国税が全部すべからく明確に基準を出してるわけではありません。その中で手探りの部分もありながら作るっていう意味合いでは専門家や業界内の人間がしっかり関わっているというのは大きいと思います。

法人の会計・経理に対応することは必須だと思っている

—– 法人プランも提供されています。少し詳しくお伺いできますでしょうか?

八木橋さん
八木橋さん

法人については会計の仕分けデータを掃き出せる機能があり、正式に会計ソフトウェアとの連携を図ったのは我々が一番です。対応している内容も国内一番という自負があります。

会計ソフトウェアに直接繋ぎこみができるっていう機能はCryptoLinCにしかないので、これは一つの核にしていきたいなとも思ってますね。

MAStand
MAStand
ミロク情報システムや弥生会計との提携発表もされてましたね。
八木橋さん
八木橋さん

そうですね。各会計ソフト企業の方々とも連携も強めていきたいと思っています。双方ともに徐々に現場サイドから対応を検討するようなお話も出て来てていたところで、ちょうど我々がその機能を提供するという形で話が進みました。

それを逆に各企業の方にも内容をチェックしていただいて、それが問題なく組み込めるねっていうとこまできちんと確認をしていただき、それで正式に連携という形になりました。

MAStand
MAStand
強力なパートナーですね。
八木橋さん
八木橋さん

ただ、根本的に個人の利用者様がいて、あるとき法人成りしました、でも使っているシステムは会計データ作れません、年間収支しかわかりませんって言ったらこれ使えないんですよね。

会計経理上全く使えないツールになってしまわないないようにと優先的に会計機能作ったのも僕らの強みです。会計までしっかりやる、法人に使えるサービスになるというのが今のところの最大のミッションなので、そこはまずきちんとやるというふうに考えます。

MAStand
MAStand
現在は無料でご提供されてるんですね?
八木橋さん
八木橋さん
法人についてはとにかく今回の確定申告も皆さんご利用いただいてスムーズに申告が終えられるようにっていうのが第一なので、現状しばらく無料で提供しようと思っています。

税理士をエンパワーして、暗号資産(仮想通貨)の受け皿を

—– 暗号資産(仮想通貨)税務研究会を主宰されています。活動内容やはじめられた理由を教えてください。

八木橋さん
八木橋さん

暗号資産(仮想通貨)税務研究会は私が発起人としてはじめました。本活動に関しては2つの側面があります。一つは、外部への発信という意味で、累計で1300人ぐらいの税理士、会計士の方にセミナー等でお話をしました。

もうひとつは、研究会に入っていただいた先生方同士でもっと実務寄りな部分で情報交換をしています。たとえば税務調査が入りましたと、こんな事案でこんなような指摘を受けてどうやって打ち返しましょうとかそういうのをみんなでわいわい相談し合いながらやっているようなイメージなんですよね。

MAStand
MAStand
八木橋先生の影響力は凄まじいですね。
八木橋さん
八木橋さん
クリプトリンクは税理士さんの中での認知度はほんとに間違いなくナンバーワンだと思います。私自身も色んなところに出て行っているので、もはや僕暗号資産(仮想通貨)しかやってないと思われてますしね。(笑)
MAStand
MAStand
税理士の先生をシステム・コミュニティの両面で支えていくという思いですね。
酒井さん
酒井さん
今税理士さんで暗号資産(仮想通貨)の申告を受けたがらない人がすごく多いのと、あとどういうふうにしたらいいか分からないって人たちがすごく多いんですよ。なのでそこをもうちょっと啓蒙していくっていうような意味合いの方が強いですね。税務・会計の受け皿がまだまだ足りないので、その受け皿を作っていこうという点が力を入れている方向ですね。
八木橋さん
八木橋さん
今、研究会には33の事務所が参加いただいていていますが、これから1年位で100事務所ぐらいまで増やして、そのうち半分ぐらいは積極的に暗号資産(仮想通貨)の申告を受けてくださるような先生方であってほしいなと思ってやってます。

税理士が提供する暗号資産(仮想通貨)のためのサービス

—– 暗号資産(仮想通貨)税務研究会とクリプトリンクって表裏一体的な部分もあると思うのですが利用者としてメリットと感じられる部分はあるのでしょうか?

八木橋さん
八木橋さん
暗号資産(仮想通貨)税務研究会はクリプトリンクと税理士法人ファシオ・コンサルティングで共同でやっています。結局、税理士さん側からいろんな要望が上がってくるわけです。ここの取引所取り扱ってほしい、このタイプの取引がよく分からないのでシステム実装してくれないか、とか色んな要望がそこから上がってくるのでそれを開発に活かして提供できる部分は、メリット感じていただけると思います。
八木橋さん
八木橋さん
逆に、税理士さんたちからすると自分たちの欲しい機能を直接、開発にリクエストするっていうことも可能なので、それは結果的に納税者の方々にとってのプラスになってくと思うので、そこを一番のメリットと思ってやってますね。
MAStand
MAStand
ではクリプトリンクというツールであり、かつコミュニティがあって、投資家はそこにアクセスすると対応できる税理士さん達ともつながりを持てるというのも大きな魅力の一つかなとはお聞きしていて思いました。
八木橋さん
八木橋さん
他社と比べるわけではないですが、少なくとも税理士さん達とすごい密に連携をして作っていけるシステムは少なくともうちだと自負してますし、結果的にそれで正しい方向でいろんなものを作れているはず。特に今回の税制改正なんかはそうですけど、仮に後から当局は見解変わってこの方針だ、って出たとしたら粛々とそこに向かって一生懸命作るしかないですからね。
MAStand
MAStand
想像するだけでも大変ですね。
八木橋さん
八木橋さん
税理士が社長やっているんだからこれはしょうがないですよね。そういう意味では絶対その信頼は揺るがせないようにきっちりやるっていうのはあります。そのような背景もも含めて是非お使いいただいていろんなご意見を頂戴して、なおかつご支援いただけると嬉しいです。

 

クリプトリンクはこちら

まずは使ってみて欲しい。それが健全な暗号資産(仮想通貨)投資の税務の仕組み構築につながる

—– 最後にメッセージをお願いします!

八木橋さん
八木橋さん

とにかく使ってみていただきたいです。私たちのツールが今ベストな答えを出してるとも思ってないので、使っていただく中でこんなのあったらいいよねっていうご要望や期待をいただければ僕らはそこに向き合って一生懸命作っていきます。

無料ですし、是非使っていただいて、「こんなのあったらいいよね」っていうお言葉をどんどん頂けると嬉しいなと思います。

あとは先に申し上げたように、暗号資産(仮想通貨)に対応できるような税理士さんを一生懸命作ろうとしているという事も含めて活動をご理解いただいてご支援を色んな意味で頂けると嬉しいなというふうに思いますね。

酒井さん
酒井さん

去年で言うと「確定申告しなくてもいいや」っていう人多かったと思うので、仮に対して儲かってないんじゃないかと思ったとしても計算を一回してみてください。

ツールは無料で使えますので、是非、自分が対象になるかどうかまずはチェックしてみて下さい。申告しないのが1番問題なので計算だけしてみて、対象でなければいいですし、対象であれば確定申告をどうしたらいいかってご相談いただければと思います。まずは計算をしてみてください。

あと、計算結果の自信がないとか計算の時間がなくて、誰かやってくれないかという話が多くありました。今年はその作業を支援するようなサービスも始めたので、一部のデータ加工やその他の不安なところもサポート・支援をしているので気軽にお声がけください。

まずは無料で使ってみて欲しいというCryptoLinC。ぜひ確定申告前に個人、法人問わず使ってみてください。

クリプトリンクはこちら

クリプトリンク主催の「暗号資産(仮想通貨)・暗号資産の確定申告セミナー」を開催

クリプトリンクでは、暗号資産(仮想通貨)の収支計算ができるツールのご提供とあわせて全国約30の会計事務所が参画する暗号資産(仮想通貨)税務研究会(https://jcti.org/)の協力を得て、全国6か所で「暗号資産(仮想通貨)・暗号資産の確定申告対策セミナー」を 開催することと致しました。

参加費無料のセミナーになりますので、確定申告にご不安をお持ちの方は ぜひ参加してみてください。

セミナーの開催日程と詳細

以下の日程で全国各地でセミナー開催予定です。少しでも不安だったり、準備が面倒だなと思っている方は参加してみてはいかがでしょうか。

  • 熊本開催 02/07(木) 18:30 – 20:00
  • 大阪開催 02/12(火) 18:30 – 20:00
  • 名古屋開催 02/13(水) 18:30 – 20:00
  • 浜松開催 02/14(木) 18:30 – 20:00
  • 東京開催 02/19(火) 18:30 – 20:00
  • 仙台開催 02/22(金) 18:30 – 20:00

※各日程終了しました。

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