米ドルのステーブルコインとして、有名なのはUSDTです。
とは言え、仮想通貨の暴落時にはUSDT発行元であるテザー社に関する不信感もありました。
同じステーブルコインとして信頼性やセキュリティ面に力を入れた「TrueUSD」があります。
徐々に、信頼できる米ドルのステーブルコインとして注目されているTrueUSDとは、いったいどんな特徴があるのでしょうか?
本記事では「仮想通貨TrueUSDとは?」をテーマに、基本~最新情報・トレード対象としての優位性まで徹底解説をお届けします。
目次
仮想通貨TrueUSDとは?
TrueUSDはアメリカドルと価格を連動させたステーブルコインです。
TrueUSDの他にもTetherやUSD Coinなど、アメリカドルのステーブルコインは数多く存在しています。
TrueUSDは安全性と透明性に力を入れた仮想通貨です。
TrueUSDはTrustTokenという企業が発行していますが、価格の裏付けに用いられるアメリカドルは複数のエスクロー企業や信託会社の口座に預けられており、TrustTokenが資金に触れることはできません。
これらの口座はアメリカの連邦預金保険公社(FDIC)の保険に入っているため、アクシデントにも対応可能です。
更にTrueUSDのスマートコントラクトや資金が預けられた口座は複数のセキュリティ企業により定期的に監査されています。
特に口座はCohen&Companyという会計事務所によって監査されており、預けられた総額も証明書つきで公開されています。徹底した安全性と透明性によって、TrueUSDは信頼できるステーブルコインとなりました。
仮想通貨TrueUSDに関する最新情報まとめ
リリース日 | 概要 | 情報ソース |
2020年11月11日 | TUSD Proof of Reserve&Supplyリファレンス契約を導入 | |
2021年3月2日 | Avalancheが展開するエコシステムにTrueUSDをローンチ | |
2021年6月23日 | Signature BankがTrueUSDとパートナーシップを締結 |
仮想通貨TrueUSDは、ステーブルコインとして必要なシェアの拡大に積極的です。
ステーブルコインは、法定通貨と同じ価値の仮想通貨という性質上、プロジェクトとして成功する鍵は、提携するサービスやプラットフォームの多さが重要になります。
2020年の早い段階から、新興銀行との提携や、仮想通貨取引プラットフォーム関連との提携が目立ち、速度感をもってシェア拡大に努めている現状です。
それでは、仮想通貨TrueUSDに関する最新情報をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
TUSD Proof of Reserve&Supplyリファレンス契約を導入
2020年11月11日、TrustTokenはChainlinkとArmaninoと共同で、TUSD Proof of Reserve&Supplyリファレンス契約を導入することを発表しました。
Armaninoは、アメリカ国内でもトップ25に入る会計事務所です。TrustExplorerというサービスを通じてリアルタイムで監査報告を見ることができます。一方、Chainlinkはオフチェーンの情報をブロックチェーンに組み込むオラクル機能を提供する分散型プラットフォームです。
ArmaninoとChainlinkのサービスを取り入れることで、オンチェーンでArmaninoによる監査報告を直接閲覧できるようになります。またこのTUSD Proof of Reserve&Supplyリファレンス契約では実際の監査から監査報告の掲載までにTrustTokenが関わることはありません。
Chainlinkとの統合はTrustTokenの透明性の向上に大きく役立ちました。TrueUSDへの導入をきっかけにTrustTokenが提供するTrueFiプラットフォームにもChainlinkが導入されています。
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Avalancheが展開するエコシステムにTrueUSDをローンチ
2021年3月2日、AvalancheはAvalancheが展開するエコシステムにTrueUSDをローンチしたことを発表しました。
Avalancheは次世代のDeFiプラットフォームを構築するプロジェクトです。Visaの決済システムに匹敵する処理速度を誇っています。2020年9月にメインネットを公開して以来、着実に利用者を拡大させているプラットフォームです。
TrueUSDをローンチすることで、AvalancheはDeFiプラットフォームとして基軸となる通貨を得て、アメリカドルの流動性の向上を見込めます。ステーブルコインはアービトラージをはじめとする取引によく利用されており、今後のエコシステムの拡大も期待できます。
一方TrueUSDの利用者はAvalancheを利用することで、高速送金や低手数料を実現できます。より利便性を向上させることで、数あるステーブルコインの中でも差別化を図ることもできるでしょう。
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Signature BankがTrueUSDとパートナーシップを締結
2021年6月23日、ニューヨークに本店を置くSignature BankがTrueUSDとパートナーシップを締結しました。
Signature Bankは2001年に設立された比較的歴史の新しい商業銀行です。フルサービスの銀行として金融業務やその他のサービスを提供しており、特に大手の銀行ではなかなか対応しきれない個人企業向けの金融サービスでシェアを拡大しています。
パートナーシップの締結により、Signature Bankが提供するSignetというデジタル決済サービスのプラットフォームとTrueUSDが統合されました。
Signetは商用クライアント向けに展開される決済サービスであり、Ethereumのブロックチェーンを活用することでアメリカドルを使っての即時決済を可能としています。ブロックチェーンを使うことで24時間365日サービスを利用可能です。
TrueUSDを導入することでSignetのサービスが強化されます。Signature Bankは銀行の中でもいち早くブロックチェーン技術を導入しており、デジタル資産分野における強みをより伸ばすことができます。
仮想通貨TrueUSDの将来性
TrueUSDの将来性は、同じアメリカドルのステーブルコインの中でシェアを伸ばせるかに左右されます。鍵となるのがTrueUSDの強みである安全性と透明性の高さです。
例えばアメリカドルのステーブルコインの中で最大のシェアを有するTetherは、裏付けとなるドルを保有していない「テザー疑惑」が2018年1月に浮上しています。その点TrustTokenが定期的に監査報告を公開するTrueUSDは運営元によるリスクとは無縁です。資金も複数の口座に預けているため、安全性も保証されています。
またTrustTokenはTrueUSDのほかにTrueGBPやTrueAUDなど他通貨のステーブルコインやステーブルコインを用いたFXサービスであるTrueFXなどステーブルコインを用いたサービスを数多く展開しており、信頼性も充分です。
ステーブルコインは仮想通貨投資の中でも、その安定性の高さから人気を集める分野です。TrueUSDは安全性を求める投資家にとっても需要に即した仮想通貨と言えます。今後より注目される可能性は大いにあるでしょう。
TrueUSDのステーブルコインとしての利便性
ステーブルコインとしての将来性を語るうえでは、TrueUSDの利便性も大切な要素のひとつです。安全だとしても気軽に使えなければ普及は難しくなります。
TrueUSDはERC20を利用して開発されています。そのためERC20に対応したウォレットなどで管理可能です。既存のサービスを使って決済サービスなどにも手軽に利用できます。
またTrueUSDの発行も手軽に行えます。TrustTokenのウェブサイトからTrueUSDのページに進み、アメリカドルを送金することで同じ額のTrueUSDが発行され、送られてきます。また同じページからTrueUSDをアメリカドルに戻すことも可能です。このとき戻されたTrueUSDはバーンされるため、1:1のレートを保つことができます。
TrueUSDでは預けられたアメリカドルを投資家がTrueUSD:アメリカドルが1:1になるように運用することで価格をペッグさせています。TrustTokenはこの運用益を会社の利益としており、不正のリスクはありません。
安全性や透明性だけでなく、TrueUSDは利便性も備えていると言えるでしょう。
仮想通貨TrueUSDの価格推移と今後
TrueUSD/TUSDの基本情報 | |
TrueUSD/TUSDの価格 | ¥110.98 |
一日の出来高 | ¥7,853,459,294 |
マーケットドミナンス | 0.11% |
市場ランキング | 58位 |
時価総額 | ¥168,238,214,603.71 |
直近1年間の高値/安値 | ¥117.71/¥108.54 |
最大供給 | データなし |
※価格等の情報は2021年7月6日時点のCoinmarketcapより引用
仮想通貨TrueUSDは、ステーブルコインとして米ドルに代わる役割を担っています。
仮想通貨トレーダー・投資家にとって、資金の一時的な保管先といった用途が主体です。
しかし、投機筋のトレーダーからは「アービトラージ(裁定取引)」の銘柄としても注目されています。
実際に、同じ米ドルのステーブルコインであるUSDT(テザー)とのペアで取引が多く、大手取引所BinanceではTUSD/USDTのペアによる取引シェアがTUSD市場全体の4%です。
必ずしも同価値ではないステーブルコイン
前述した通り、TUSDはアービトラージのできる銘柄として投機的な人気があります。
画像は、日足のTUSD/USDTチャートです。本来、同じ米ドルのステーブルコインであれば、1USD=1TUSD=1USDTという様に同じ価値で維持されます。
しかし、実際の価格推移では、必ずしも価格は一定ではありません。
1秒に満たない期間ですが、わずかに「価格のズレ」が生じるのです。
例えば、BinanceのTUSD/USDTでは、0.4663USDT~3.0454USDTの価格まで乖離が発生しています。0.04663USDTの時に買い、1USDTの価格に再び戻れば2倍以上の価格となり利益を確保することも可能です。
価格のズレを利用したアービトラージを行い、通常は1USDTの価格へ戻る瞬間までを狙って利益を得られます。
仮想通貨TrueUSDとは? まとめ
今回は「仮想通貨TrueUSDとは?基本情報・将来性・価格推移まとめ」のテーマでした。
この記事のポイントは以下の通りです。
- 仮想通貨TrueUSDとは米ドルと同じ価値を持つステーブルコイン
- 米ドルの保管先に米国のエスクロー企業や信託銀行による管理体制を設け、透明性や安全面が担保されているのが特徴
- Avalancheの提供する分散型金融にTrueUSDが導入された
- ニューヨーク拠点の商業銀行Signature Bankとパートナーシップを提携、個人向けの金融事業展開に期待
- TrustTokenはChainlinkとArmaninoと共同で、TUSD Proof of Reserve&Supplyリファレンス契約を導入
- TUSD/USDTでは、価格のズレを狙ったアービトラージができる銘柄として人気
ステーブルコインには、米ドルと同じ価値をどのように担保するのかが問題視されてきました。
価値の保証や信頼性の担保として、信託銀行を利用するTrue USDは、信頼できる資金避難先としても今後、投資家から注目されると考えられます。
また、為替の取引があるように、TUSD/USDTの取引からは同じ通貨の規則性を利用してトレーダーから人気を集めている側面も見られました。
利便性と信頼性の高さから、TrueUSDのシェア拡大に引き続き注目です。
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