■資産形成について悩んでいる人
■若いうちにやっておくべきことを知りたい人
「投資ってリスクがあるから怖い」、「貯金で安全にお金を貯めたい」と考えていませんか?
現在では投資の知識はもはや不可欠になっており、資産形成、管理も自分で行わなければいけない時代になってきています。
今回はノースアイランド社、常任顧問の森田均さんにお会いし、今後の投資、金融のありかたについてを取材させていただきました。
- 投資は全ての人が必須な知識である
- 少額でよいので目的をもって投資をすること
- ハイリスク・ハイリターンな投資として「エンジェル投資」がある
- エンジェル投資はポートフォリオを組み立てて実行すること
- 学生のうちにライティング力、PC、法律を勉強しておくこと
目次
マニュライフ生命の代表として活躍した森田氏
森田さんは早稲田の理工学部数学科出身で、アクチュアリーとして保険会社から金融業界でのキャリアを始められました。PCA生命(現SBI生命)、
現在は株式会社ノースアイランド常任顧問として活躍されており、マニュライフ生命在籍時から継続して「全国高校生金融経済クイズ」の支援にも力を注いでいます。
投資に対する考え方を変える
令和に変わろうとする世の中、キャッシュレスが当たり前になろうとしているのと同時に、投資も当たり前になろうとしています。
森田さんに現在の日本での投資に関する現状と変化が必要な点について伺いました。
リスクと思われがちな投資のメリット
「投資と聞くとリスクがあるから手を出せない人もいる。」
森田さんの周りでも、投資に対して不安を感じて始められないと話す人は多いと言います。
確かに元本を保証されているわけではないため、「減る」リスクはあります。ただ、投資を初めてみると、日経平均や為替相場など今までどこか遠くのことで、何とも思っていなかったニュースや報道を身近に感じることができる、と森田さんは言います。
投資は儲けるだけではなく、世界を知るための鍵となりうるツールなのです。
投資をしないことはリスクでもある
「投資をしないリスクもあるということを十分に理解しなくてはなりません。」
現金で資産を保有していることが必ずしも安全ではないということを理解しないといけないと話します。
例えば、物価が急上昇した際に、投資をしていれば物価が上昇した分、その資産もプラスになります。一方、預貯金だけだと、数値的には変化が起こりませんが、1個100円のお菓子が200円に値上げ、など物価の上昇が起こると実質的な価値が減るというリスクがあります。
貨幣一新も起こる世の中、何が起こるかわからないからこそ、投資と向き合う必要があるのです。
目的を持って投資をすることを心がける
「『この金融商品が儲かるから投資する』、『ただ資産を増やしたいから投資をする』という理由だけで投資をしてはならない。」
家を買うときの頭金にしたい、車を買いたいなど、目的をもって投資をするのが大事だと、森田さんは言います。
目的を持つことによって、どの程度の金額になったら投資をやめるか、いつまでに資産を目標まで増やすかといった、投資のプランを明確にすることが出来ます。
ただ漫然とお金稼ぎのために投資をするのは、あまりオススメしません。
なぜなら、お金稼ぎに走ると短期での結果を求め、ハイリスクハイリターンになりがちになり、結果として損失を生みやすくなるからです。
FP等の専門家に後押しをしてもらう必要がある。
「現代ではインターネットや、書籍などあらゆる情報を簡単に入手することができる。しかし、情報は持っていてもいざ投資を始めるのはそう簡単ではない。」
投資を始めたいけど、少し不安という方も多いと思います。
だからこそ、FP(ファイナンシャルプランナー)をはじめとする、金融の専門家に相談し、自分の資産形成を後押ししてもらう必要があるのです。
気軽に相談したり、意思決定を助けてくれる仕組みづくりは今後大切になると話します。
現代の資産運用を助けるファイナンシャルプランニング
ここまで、現代では投資は欠かせないものであると述べてきました。
その一方で「金融的な知識を自らが考えていく必要もある」と森田さんは話します。
ここで将来に備えるためにどのようなことを知っておかなければならないのか、取材を通してわかったことをまとめていきます。
貯蓄から投資への意識改革
「少しずつでよいのでまずは投資をはじめてほしい」
現代の資産形成の方法は、貯蓄から投資に変わりつつあります。
もちろんすべての資産を投資に回すというわけではありませんが、物価の上昇に備えて、余剰資金で投資をするという考え方は重要です。
近年ではiDeco(確定拠出型年金)、積み立てNISAの導入など、税金面での優遇措置等、政府も投資に対して積極的な姿勢をとっています。
若い世代だからリスクを取れるには疑問を感じる
「よく若い世代だからリスクをとって、高齢になってきたらリスクを抑えて投資をするという言葉を聞くが、少し違和感を感じる」
若い世代は資産も少ないので、なかなかハイリスク投資をしようと思っても余剰資金がありません。そのため、少額で良いので積立てで長期の視点を持って投資をすることがおすすめだと、言います。
日本全体でも、若者がそのような投資を行えることを優遇するような措置に期待していると話してくれました。
IT化で誰でもファイナンシャルプランニングが簡単に
IT化、AIの台頭により、ファイナンシャルプランニングが以前よりもより簡単になりました。
森田さんの所属するノースアイランド社でも企業向け、個人向けのプランニングツールを開発しており、個人に資産運用の助言を行うような企業からの受注が増加しているといいます。
また、THEO、Wealthnaviなどのロボアドバイザーも現れており、個人がプロ並の資産運用アドバイスを得て、投資をできる環境が整うようになってきていると、ITによって変わってきている投資環境について話します。
企業に直接投資をするという投資の選択肢
日本の投資環境の現状に加えて、多様化する投資クラスのなかで、森田氏が行うエンジェル投資に関して、話していただきました。
言葉は聞くものの、あまり馴染みのないエンジェル投資についてのお話を伺いました。
そもそもエンジェル投資とは
特に、創業間もない企業や実績がない企業の場合は信用がないため、金融機関等からの資金を引き出すことが困難です。そのため、いかに素晴らしいアイデアや技術があったとしても、実現するための資金集めに苦労するという現状があります。
そういった社会課題の解決策として「エンジェル投資」が注目を集めています。政府も「エンジェル税制」の仕組みを見直すなど、新しいビジネスが生まれるための土壌を整えようとエンジェル投資を推進しています。
「エンジェル投資」という投資の選択肢
一方で、未公開株への投資はいわば「ハイリスクハイリターンな投資」です。投資をした後に、その会社が倒産するリスクも十分考えられます。
そんな企業に対し、事業内容に同意をしてハイリスクであろうがその企業を応援する思いで投資をする人が現れました。
それがいわゆる「エンジェル投資家」であり、森田さんもそうしたエンジェル投資行う方の一人です。
エンジェル投資のメリット
ハイリスク・ハイリターンなエンジェル投資ですが、高い収益が得られる可能性があるということ以外にもメリットがあると森田さんは言います。
経営者とより深い関係を築くことが出来る
「ベンチャー企業は株主も少ないので、その株を購入することによって経営者とより関係を密にできる」
経営者と親睦を深めることで、その会社のやりたい事業、解決したい課題など、企業の取り組みをより細かく知ることができるというメリットも生まれます。
若い企業(ベンチャー企業)の成長につながる
「若い人が考えるいいアイデアを応援したいという思いがある」
若者は資金も少なく、いざ事業を展開しよう思っても資金の観点から実行に移せないことが多いのです。
エンジェル投資をすることによって普通の企業では思いつかない、若い人ならではのアイデアを支援することができることが魅力の一つであると話します。
エンジェル投資もポートフォリオに組み立てる
「20-30社に投資して3社成功するかどうかの世界である、だからこそポートフォリオを組む必要がある。」
森田さんはエンジェル投資も投資ポートフォリオの中に10%ほど組み入れています。
リスクが高いからこそ、ポートフォリオを組み、投資の一環としてエンジェル投資を行う必要があるのです。
学生・若者に向けてのアドバイス
インタビューを行う中で、学生・若者に向けてのアドバイスもいただくことができました。
法律、表現力、ITを身につける
「事業を行っていく中で、契約の方法など法律の壁にぶつかることが多い。文系では当たり前のことが理系にはわからないことが多々あったので独自に勉強した」
社会人として活動するにあたり、法律、表現力、ITは必須であると、森田さんは言います。
特に、「法律」と「表現力」という回答は意外に感じました。
民法や商法は企業がビジネスを行ううえで必ず関わってくるルール。これらの法律を知り、理解することによって社内外でビジネスをより円滑に進めることができると話をしてくれました。
表現力について、森田さんは「現在の学生の卒論は異様に長い」と話します。自分の考えるアイデアをいかにコンパクトにまとめるという技術は、社会人にはとても重要であると述べています。
若い世代から金融知識は必要
「現代では特に若い世代にこそ金融知識を身に着けてほしい」
森田さんは金融教育の大切さについて改めて強調しました。
「金融とはこれから先長く付き合っていかなければならない。だからこそ培った金融のノウハウを伝授し、金融トレーナーを育成していかなければならない。そしてそれは若い世代ほど望ましい」
その一環として森田さんは全国高校生金融経済クイズ選手権(エコノミクス甲子園)を支援しています。
編集後記
- 投資は全ての人に必須な知識である
- 少額でよいので目的をもって投資をすること
- ハイリスク・ハイリターンな投資として「エンジェル投資」がある
- エンジェル投資はポートフォリオを組み立てて実行すること
- 若いころから金融知識を持っていることは大切
- 学生のうちにライティング力、PC、法律を勉強しておくこと
1時間ほどのインタビューでしたが非常に有意義なお話を伺うことができました。
インタビューを終えて「現代において投資及びファイナンシャルプランニングは必須であること、若い世代は金融知識を身に着けておかなければならない。」ということを改めて実感しました。
金融教育を行うことによって個人の資産管理はもちろん、ベンチャー企業への資金提供のハードルも下げることができるのではないかと感じました。
貴重なお時間を割いてくださった森田均様に厚く御礼を申し上げます。
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