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【PayPay】競合は現金!PayPayが見据えるキャッシュレス社会の実現とその方法

「100億円キャンペーン」で一躍有名となった話題のスマホ決済アプリ「PayPay」ですが、気になってはいてもまだ利用したことのない方も多いのではないでしょうか。

今回はPayPay株式会社広報室の伊東室長にインタビューを行い、その人気の秘訣やQR決済の魅力、日本が現状抱えるキャッシュレス化への課題、ビジネスモデルなど幅広い内容をお聞きしてきました。

キャンペーンが話題になったPayPay

インタビューの内容に入る前に、PayPayの基本情報について確認しましょう。

PayPayは、2018年(平成30年)6月15日にソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の共同出資で設立されたPayPay株式会社が提供するコード決済サービスです。

最大10万円の全額キャッシュバックが行われるなど大規模なポイント還元で話題を集めました。

キャンペーンの狙いを話すPaypay伊東氏

大人気QR決済アプリの実態に直撃!100億円キャンペーンの狙いとは?

ー現在の利用者数や人気はどのくらいなのでしょうか。

アプリダウンロードだけではなく、PayPayに登録してくれたユーザーが現在800万人以上いらっしゃいます。また、加盟店側もリリース7ヶ月で60万店舗を突破しました。

ー素晴らしい反響ですね。やはりキャンペーンの影響が大きいのでしょうか。

そうですね。キャンペーン前後でユーザー・加盟店共に一気に増えました。

そもそも当時は、「キャッシュレスって何?」「名前は聞いたことあるけど、メリットが分からない」といった人たちが大半でした。

そこで、まずはとにかく一度PayPayを使ってもらおう!ということで、新聞やCMなども使って大ー的にプロモーションしましたが、その甲斐が合って、PayPayという名前だけでなく、キャッシュレス決済ということ自体の認知も広められたんじゃないかと思います。

ーPayPayのPRポイントとしてはどのような点が挙げられるでしょうか。

一番の利点は、キャンペーンのポイント還元でお得に決済できるということです。

とりあえずPayPayを使っていたらお得なことがたくさん起こる、ということを実感してもらいたいですね。

今後は、さらにPayPayを使えるお店を増やして、家の近くのスーパーでも使える、いつもよく行く居酒屋や総菜屋でも使える、という状態を作っていくつもりです。

ー100億円還元という大規模なキャンペーンを2回(※)行われていますが、その狙いを教えてください。

※PayPayは20%還元のキャンペーンを2回行っており、1回目では10回に1回の確率で最大10万円の全額還元が行われましたが、2回目では全額還元の上限が1000円になりました。

第1弾のキャンペーンでは、先ほど申し上げたように、認知の向上、とにかく一度使ってもらおうというのが狙いでした。

一方でPayPayが目指しているのは「普段使い」なんですね。PayPayは日ごろのお財布の代わりになるようなサービス、インフラになりたいと思っています。

第2弾のキャンペーンは「普段使い」を考えて、派手ではないのですが、地味でも長い間ちゃんとお客様に還元できるようなキャンペーンを行いました。

PayPay キャンペーン※この第2弾キャンペーンはすでに終了しています。

ー第1弾と第2弾の狙いには明確な違いがあったのですね。結果はどうだったのでしょうか。

第2弾のキャンペーンは2月12日にスタートして、5月13日までちょうど3か月。その間20%ずっと戻ってくるキャンペーンを続けていくことができました。

第1弾は10日間のキャンペーンが終わって、一気に使わなくなった人が増えてしまったのですが、第2弾今回は終わった後も使い続けてくれる人が相当数いました。

PayPayを使う人が定着しました。キャッシュレスの利便性を感じてもらえる人が相当数いたということが一番大きな収穫でした。

加盟店側のPayPay導入のコストはほぼ0円

ー利用者にとって大変お得なサービスであることがわかりました。一方で加盟店にはどのような利点があるのでしょうか。

もちろんお客さんの増加というのはありますがそれに加え、導入時の負担の少なさが特徴です。

クレジットカードや非接触IC(Suicaなど)では、毎月の手数料や、決済に必要な機械など設備投資が必要ですよね。

それに対してPayPayは決済手数料も、入金するときの手数料もゼロだし、設備投資もQRコードを貼ってもらうだけだから、ゼロです。

銀行の入金も今はヤフー系列のジャパンネット銀行だと翌日にお金が振り込まれます。

ジャパンネット銀行じゃなくても売り上げが1万円を超えれば、翌ー営業日、最短で2日後にはお金が入るということになっているので、資金繰りに関してもそんなに負担がない形で導入ができるようにしています。

PayPay導入のコストPayPay店舗向けページより引用

ー 加盟店はほぼコストゼロで導入できるというわけですね。

そうですね、また導入後のサポート体制も充実しています。営業マンは、何か困ってることがあれば、駆けつけて対応します。導入後も加盟店のフォローをします。

また24時間受け付けしているコールセンターも用意しています。そこにお問い合わせいただけるのはもちろん、加盟店向けの管理システムもあります。パソコンやスマホで今日の決済などが見れて、管理ができるのです。

ーどのように加盟店を拡大していっているのでしょうか。

例えば、どこかのクレジットカードの会社やすでにあるキャッシュレスのサービスと提携して、一気に加盟店を広げていくやり方もあると思います。

ただ、PayPayの考え方はそうではなく、日本全国どこでもキャッシュレスを使えるようにしたい、というビジョンがあります。そのため、どうにかして現金でしか支払いを受け付けていないところをPayPayでもお支払いできるように変えていく。

それがPaypayの加盟店様の拡大戦略の特徴です。現金しか利用できなかったお店を、PayPayでキャッシュレスを実現できたという店舗を日本全国に増やしていきたいと思っています。

ー日本全国となるとかなり労力もかかりそうですね。

PayPayの営業所は札幌から那覇まで、20拠点あります。

店舗側からお問い合わせをいただくこともありますが、「PayPayいれませんか?」ということをお店に直接打診して回っています。

利用店舗でチェーン店が増えることも、使える店が増えるという意味では大事なのですが、並行して力を入れているのは、家族でやっているような小さいお店です。

例えば地元に根ざした喫茶店や美容院などです。

このような身近なお店はキャッシュレスを本当に広めていく意味で、すごく大事だと思っています。こういった店舗にPayPayをもっと広めていこうというポリシーでやらせてもらっています。

PayPayの描くビジョン・戦略 —キャッシュレス社会の実現

ーPayPayの描いているビジョンについて教えてください。

日本全国、日本銀行券が使えるところでPayPayを使えるようにするというのが目標です。

そして、すべてのスマホユーザーにPayPayのアプリを使ってもらうという意気込みでやっています。

PayPayのライバルは、同業他社ではなく「現金」

ー PayPay、キャッシュレスが広がるにはどのようなシナリオがあるのでしょうか。

例えば日本の交通機関では、Suicaなどの非接触ICカードを使った電子マネーが都市圏だと必須になっていると思いますが、諸外国ではQR決済で乗ることができるところもあります。インドのPaytmなどでは、多くの交通系の支払いがPaytmのアプリで行うことができます。
※Paytmとは…インドの電子決済・電子商取引を取り扱う企業。インドで3億人の登録者を抱えている決済大手。PayPayに技術提供をしている。

日本でも、Suicaやクレジットカードがあるので都会の人のキャッシュレスは進んでいます。

一方で、改札の混雑やコンビニの行列も少ない地方では、そもそもキャッシュレス自体が浸透していない。そういうところはQRコードからキャッシュレスを浸透させていく、という取り組みもアリだと思っています。

ー 日本のキャッシュレス化が海外に比べて遅れている要因はどのようなものがあるとお考えですか?

一般的に言われている話にはなりますが、日本は治安が良くて、「円」に対する信用が高い。偽札もない。泥棒・ひったくりもない、現金を持ち歩いても全然怖くないし、まったく不便を感じない。

一概には言えませんが海外諸国のほうが、日本よりも通貨の信用がなかったり、偽札が出回っていたりします。

だから、日本円は信用できる。円が好き。持っていたら安心する。というような文化の違いがあると思います。

ー競合他社も増えてきています。どこが一番の競合となるのでしょうか。また、そのような競争はどのように捉えられているのでしょうか。

先程もお伝えしたように、とにかく現金かPayPayかという店を増やしたいという思いがあります。

その意味で言うと、『一番のライバルはどこですか?』への回答としては、他のPayではなく、現金。

現金という絶対的王者に対して、どう戦うか、そこを崩すにはどうするかという点で頑張っています。

PayPay 決済PayPay店舗導入事例より引用

ー 現金での決済の代替としてPayPayを浸透させたいということですね。

飲食店でよく聞く話があります。例えば、たこ焼きの屋台だと、支払いでお金をもらいますよね。お金のやり取りをしているときにも、たこ焼きはどんどん焼けていきます。その状態で、お金をもらって、お釣りを渡す。飲食店は衛生面が大事なので手を洗ってもう一回焼き始める。この間にたこ焼きの仕上がりは変わっちゃいますよね。

これをQRコード決済にすると、画面の確認だけで決済が終わる。お金を受け取らなくて済みますし、手を洗いにいく必要もありません。

細かいところですが、そういうキャッシュレスにすることの小さな便利さを感じて欲しいという思いもあります。

行きつけのあのお店でもキャッシュレスが使えるように

ー 現在導入に力を入れているのはどのようなお店が多いのでしょうか。

使える店舗ではすべてPayPayを導入してもらいたいというのは大前提ですので、営業マンが隈なく導入を推進しています。

お陰様で、色ーと変わった店舗でも導入いただいています。ただ、やはり一番力を入れているところは毎日寄るような行きつけの居酒屋や飲食店、「普段使い」のお店ですね。

ー6月から始まるキャンペーン※にもそういった狙いがあったのですね。

そうですね。今回ドラッグストアはキャンペーンの効果もあって、PayPayが使えるドラッグストアが大幅に増えました。

次はスーパーマーケットなどにも頑張って導入を進めていこうと考えています。やはり普段使いのお店を重点的に推進しています。

業種では区別していませんが、惣菜屋さんのような生活に根ざしたお店でPayPayを使ってもらえるように、一生懸命営業しています。

※2019年6月現在、ドラッグストアで最大20%還元の「ワクワクペイペイ」キャンペーンが行われています。

近所の惣菜屋でPaypayが使える世界にと話す

PayPayの今後の展開

ー最後に、今後の方針についてお聞かせください。

利用者を増やすことで、まずはPayPayを社会的インフラとして定着させたいと思っています。

そして決済インフラとして定着することで、生活に結び付くサービスが提供できるようになっていくことを目指しています。

収益化の難しいビジネスモデルから多角化へ

ーPayPayのビジネスモデルはどのような形になっているのでしょうか。

決済に限ると、PayPay自体が生み出す収益は正直なところほとんどないだろうと思っています。

ユーザーが店頭にあるQRコードをスキャンする「ユーザースキャン」とコンビニとかでバーコードやQRコードを出して、店側がスキャンするパターンがあります。
現時点で、ユーザーがスキャンするパターンは我ーがいただく手数料は一切ありません。

店舗側でQRコード、バーコード読むパターンは手数料収入をいただいていますが、全体を賄えるような収益ではありません。

ただ、今はキャッシュレスを、とにかく一歩。ゼロからイチへというとこを一生懸命やっているところです。足元の収益自体を追っていることはありません。

PayPayトップページ

ー足元での収益ではないということで、今後どのように収益に結びつけていく予定でしょうか。

先ほども申し上げたように、PayPayは手数料をほぼもらっていません。PayPayの決済だけで利益を生み出すのではなく、アプリの中で生活に密着したサービスを提供していくことを目指しています。

PayPayを利用する決済やお金を払う行為は生活に結び付きます。この行為の中にはいくらでもビジネスが生まれてくると想定しています。

例えば金融系・保険系・交通系もですが、スマホで全部できる。1つで完結できる社会になっていくと、インフラであるPayPayが使われていく。その結果収益に代わっていく、という流れを目標としています。

ー今後の展開として、最終的には融資・為替などの銀行業務、いわゆる「ネオバンク」「デジタルバンク」への発展も考えられますか。

お客さんと世の中のニーズに合わせてPayPayは成長していくと思っています。例えば、QRだけではなく、非接触型のサービスを提供することもあるかもしれません。
今の銀行さんや他の業種などでも、できないことがあるのであれば、PayPayで提供できていけばいいかもしれませんし、やっていければいいかなという気がします。

国全体で起こるキャッシュレス化への流れ

ー昨年末から今年にかけて各社のQRコード決済は急激に成長していると感じます。その背景にはどのようなものがあるでしょうか。

国の大きな施策で、今年10月に消費増税があり、その消費の冷え込み対策として、消費者還元の施策があります。これがやはり一つのきっかけでしょう。

国全体が動こうとしているので、そうしていくと、キャッシュレスに普段興味がなかった人でも動いていく。

そうした中で少しでも自分たちのサービスを使ってもらいたいという動きを今一生懸命行っている感じですね。

ーPayPayも政府に合わせた戦略を考えているのでしょうか。

そうですね。我も、経産省と協力してプレミアムキャッシュレスフライデーを実施したりしてきました。

現時点では、利用者をどれだけ増やすか、使える店をどれだけ増えるかが、まずは一番大事だと思っています。

現在、決済においてキャッシュレスの割合は20%。日本政府はこれを2025年までに40%まで引き上げていこうと推奨しているので、2倍くらいキャッシュレスの需要が増えるわけです。

40%と言わず、40%以上にキャッシュレス比率を高められるよう、新しいユーザーと加盟店を増やしていく。そのための施策をよく考えて実行していくことが今のPayPayに必要なことだし、将来のPayPayの成長にとって、一番近道かつ効率的であると思っています。

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この記事のライター
HAKUU(ハク)のライター名で、ホームページの運営サポートを経て、暗号資産のライターとして活動。暗号資産の積み立てを2020年より開始し、順調に堅実な資産運用を行っている。
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