✔ 暗号資産(仮想通貨)の確定申告の注意点について知りたいと言う方
✔ 暗号資産(仮想通貨)の確定申告について、税理士の本音を知りたいという方
暗号資産(仮想通貨)取引で利益を出したら、確定申告をして税金を支払わなければなりませんが、これがなかなかわかりにくいし面倒ですよね。
そこで今回は、暗号資産(仮想通貨)の確定申告について、竹下税理士にインタビューを行いました。
確定申告において注意しなければならないことや、暗号資産(仮想通貨)の税金についてのポイントなどを税理士の視点から語っていただいています。
- 税理士への相談は、税額の計算方法がわからないという案件が最も多い
- 暗号資産(仮想通貨)流出事件の被害者に対して支払われる補償金も、課税対象となるので注意しよう
- 勤務先に知られたくない場合は、住民税の部分を分けて申告し、きちんと住民税を支払えば大丈夫
- 定期的に利益計算をして、申告の下準備と納税資金の手配をしておく
目次
竹下税理士のプロフィール
会社名 | 竹下博貴税理士事務所 |
代表 | 竹下博貴 |
所在地 | 熊本市中央区神水2丁目13番34号竹下ビル4F(県庁通り) |
Webサイト | http://taketax.jp/ |
営業時間 | 8:30 – 17:15(月曜〜金曜) |
竹下税理士は祖父の税理士事務所で勤務した後、平成28年に事業継承をする形で竹下博貴税理士事務所を立ち上げ。
熊本県に根を張り、熊本の企業の発展や人の暮らしをサポートしていくとのこと。
Webサイトではブログも書かれていますので、ぜひご覧になってみてください。
暗号資産(仮想通貨)関係の税金に関してよく受ける質問はありますか。どんな内容でしょうか。
竹下税理士:現時点では、継続して申告をされる方からのお問い合わせが多いという印象です。
竹下税理士:だいたいもう少し前からご連絡をいただいていた感じがします。秋口くらいから3月15日まであったと思います。国税庁の見解が出た後でブログを書かせていただいたんですが、その後はやっぱり増えましたね。
竹下税理士:計算の量が莫大になってその計算からしなければならないケースの方はさすがにお受けできなかったんですが、それ以外の方のお役には立てたのではないかなと。
竹下税理士:ツールを使って計算するにしても「どういう計算方法をすればいいんですか?」「これで計算合ってますか?」といった質問が多かったと思います。移動平均法と総平均法のどちらで計算するのか、その場合はどういう計算をするのか、といった質問ですね。また来年は住民税がどれくらいになるのか、といった質問もありました。
竹下税理士:あとは、勤務先に暗号資産(仮想通貨)の利益のことを知られたくないという話は結構あるんですが、そのあたりもご相談いただきました。
普通なら会社の給料から住民税は天引きされるんですけど、確定申告書の「住民税の徴収方法の選択」のチェック欄の「自分で納付」に○をつけないで申告すると、暗号資産(仮想通貨)の分も合算して会社に住民税の金額がいきますから、どうしてこんなに高いんだというところから知られてしまう可能性はありますね。
竹下税理士:確定申告の第2表の「住民税の徴収方法の選択」のチェック欄の「自分で納付」のところに○をつけていただいて、住民税の請求が来たらきちんと対応していただければ、会社に知られることは基本的にないと思います。
ただ、住民税を何度も滞納したりすると、最終的に市町村から会社へ話がいってしまう可能性もあります。
【筆者】ウェブサイトから引用させていただいた、個人的にお気に入りの写真です(^o^)
暗号資産(仮想通貨)の確定申告に関して、どんなことに注意しておいた方がよいでしょうか?
竹下税理士:暗号資産(仮想通貨)によって得られた利益については、雑所得に該当し利益が20万円以上あれば申告が必要となりますので、確定申告の期日内に申告を行うことを忘れないようにご注意ください。
また、今年、平成30年につきましては年初に暗号資産(仮想通貨)の流失等が話題となりましたが、その際支払われた補償金についても課税の対象となりますので注意が必要です。本来、売却する予定でなかった方も補償金によって売却した際と同様の処理が必要となります。
竹下税理士:今年1月の暗号資産(仮想通貨)の流出でも、補償金はもらったお金だし非課税じゃないかという話も出たんですけど、国税庁のタックスアンサーで「売買したのと一緒です」とすでに公表されています。もともと売るつもりじゃなかった方も、補償金が支払われたことによって売ったという扱いになってしまいますので、そういった方は注意が必要だと思います。
No.1525 暗号資産(仮想通貨)交換業者から暗号資産(仮想通貨)に代えて金銭の補償を受けた場合https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1525.htm
(竹下博貴税理士事務所ブログ)暗号資産(仮想通貨)の補償金は雑所得として課税の対象になります!
http://taketax.jp/blog/detail.html?id=20180531103948
竹下税理士:たとえば取得価格が10万円で、支払われた補償金の価格が100万円だったら、その差額90万円が利益扱いになるというわけです。
今年1月のことですから、来年の確定申告で影響が出てくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確定申告を見据えて、日頃から準備しておいた方が良いことはありますか?
竹下税理士:取引が多量になる方については、1年分などまとめて利益の計算を行うとなるとかなりの量になると思いますのでこまめに利益の計算を行っておくことをおすすめします。
なお、国税庁より「暗号資産(仮想通貨)関係FAQ」の公表についてという記事が平成30年11月に公表されており、そこに計算書などのリンクもございますので、参考にされるといいと思います。
「暗号資産(仮想通貨)関係FAQ」の公表について
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/faq/index.htm
また、確定申告の際には、会社員の方などは勤め先から発行される源泉徴収票等も必要となりますので、発行された源泉徴収票を確定申告時期まで保管されておいてください。
年間の売買等により利益が発生した場合、確定申告で納税が発生することとなりますが、確定申告までの期間に新たに暗号資産(仮想通貨)等を購入しその暗号資産(仮想通貨)等が値下がりしてしまった場合には納税資金を確保することが難しくなってしまうと思われます。
納税資金として一部準備をしておくことをおすすめします。
法人の暗号資産(仮想通貨)の確定申告に関して注意しておいた方が良い点はどこでしょうか?
竹下税理士:法人で暗号資産(仮想通貨)を保有している場合は、期末時点での暗号資産(仮想通貨)の評価方法について注意が必要です。結論からお話すると、法人税法上では現状では期末時点での時価評価はしないものと考えられています。
つまり、期末時点で売却していない暗号資産(仮想通貨)の時価が上昇している場合の含み益については、利益と認識しないこととなります。
そのため、法人の資産計上される暗号資産(仮想通貨)についても、取得価額が計上されることとなります。今後、評価方法が変わることも考えられますので、今後の動向に注意が必要です。
確定申告しなかった場合にはどのようなリスクがあるでしょうか?
竹下税理士:確定申告が必要な方で確定申告をしなかった場合、ペナルティとして通常納めなければならない税額に加えて無申告加算税や延滞税などが加算されることがございます。
通常、納めなければいけなかった税額よりも大きい額の税額となりますので注意が必要です。
税理士の先生は暗号資産(仮想通貨)に関する情報収集はどのように?
竹下税理士:基本的には国税庁の情報を拾ってきて、わからないことやまだ発表されていないことは他の税理士からの情報を聞いたりしていました。法人の場合の暗号資産(仮想通貨)の取り扱いは個人と同じ取り扱いになるかどうか等について話していました。
竹下税理士からのメッセージ
確定申告の時期も近づいてきました。利益がでて申告が必要である場合には、早めにご準備されることをおすすめします。
この記事が少しでも皆様のお役にたてば幸いです。
竹下税理士へのインタビューを終えて
- 税理士への相談は、税額の計算方法がわからないという案件が最も多い
- 暗号資産(仮想通貨)流出事件の被害者に対して支払われる補償金も、課税対象となるので注意しよう
- 勤務先に知られたくない場合は、住民税の部分を分けて申告し、きちんと住民税を支払えば大丈夫
- 定期的に利益計算をして、申告の下準備と納税資金の手配をしておく
さて、竹下税理士へのインタビューをお伝えしてきました。
暗号資産(仮想通貨)流出事件の補償金も課税の対象になるなど、有益な情報もたくさんありましたね。
勉強熱心な姿勢と、お話をしていて一つ一つ丁寧にお応えいただく姿が非常に印象的でした。わかりにくい話をわかりやすく話していただき個人的にも非常に勉強になるインタビューでした。
税理士の方にとっても利益の計算はとても大変な作業になりうるようです。確定申告の準備はなるべく早めにしておきましょう。
竹下税理士インタビューさせていただき、ありがとうございました!!
税金対策