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「強気買い」通信株でベストの銘柄は?

ストーリーハイライト

安定的な成長と妥当なバリュエーションを求めるなら、通信業界は注目に値します。ウォール街は、通信事業に携わる以下の企業に熱い視線を送っています。

通信業界には魅力的な企業がいくつかあり、その多くは現在の強気相場においてかなり妥当なバリュエーションとなっています。通信業界は大規模な設備投資を必要とします。金利の低下が予想される環境では、このような多額の設備投資を行う企業は、より有利になる可能性があります。

以下のTモバイルUS、AT&T、アマゾン(一見通信関連銘柄には見えないかもしれませんが)は、アナリスト・コミュニティが「強気買い」と見ていてチェックする価値がありそうです。そこで、TipRanksの比較ツールを使い、どの銘柄が長期的に最も有利かを見てみましょう。

TモバイルUS (T-Mobile US, NASDAQ:TMUS)

数年前に多くの既存通信会社が次世代通信5G導入で大きくつまずきましたが、Tモバイルは巧みに5Gを導入し、爆発的なスピードで拡大できました。今日、安定したリターンを求めるのなら、Tモバイル株はまさに保有すべき通信株となっています。過去10年と5年で、株価はそれぞれ380%、112%以上も急騰しています。

最近、株価の勢いは鈍化し、ボラティリティもやや高くなっていますが(2021年後半に株価はピークから底値まで約33%下落)、多くのアナリストはTモバイルを、シェアを獲得し成長を続ける手段を持つ勝者と見ています。

Flexプランで顧客数が大幅に増加する可能性

最近、Tモバイルは「Flex」プランを発表しました。このプランには、加入者向けの「無料」スマートフォンなど、特典が含まれています。このプランは非常に手頃な価格で、月額50ドルから利用でき、無制限の5Gデータ、通話、テキスト、ロボコールブロックサービス(迷惑なスパムコールにさよなら)、そしてアルファベット(NASDAQ:GOOGL)(NASDAQ:GOOG)のGoogle Oneが提供する100GBのクラウドストレージスペースが含まれています。

第1四半期決算では、Tモバイルのポストペイド(料金後払い)顧客数は53万2,000人となり、ライバルを上回ったものの、前年同期の増加数と同程度でした。新しいFlexプランにより、顧客数が大幅に増加する可能性があります。

Tモバイル株の目標株価は?

TipRanksによれば、Tモバイル株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、15人全員が一致して「買い」で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の188.15ドルは、今後12カ月で13.7%の上値余地を示唆しています。

AT&T (NYSE:T)

米老舗主要通信企業のAT&Tは携帯電話などで遅れをとっており、トップのTモバイルに追いつくのに苦労しています。AT&T株の主な魅力は優れた配当(配当利回り6.33%)と、割安な株価です。株価収益率(PER)は7.8倍で、T-モバイルの18.3倍をはるかに下回ります。また、Tモバイルは最近配当(現在の配当利回り1.6%)を発表しましたが、これはAT&Tの配当利回りのほんの一部にすぎません。

AT&Tについては最近、衛星ネットワーク企業ASTスペースモバイル(NASDAQ:ASTS)と締結した契約が注目されます。この契約により、従来型の通信会社であるAT&Tは、「宇宙ベースのモバイル直接通信技術」で再び技術の最先端に立つことができるかもしれません。

衛星通信がAT&TのTモバイルへの反撃の好機となる可能性

衛星通信は通信会社の次のフロンティアになる可能性はあります。そしてそれが、AT&TがTモバイルに反撃する好機となるかもしれません。賢明な投資によりAT&Tは、インターネット接続を衛星通信に依存している遠隔地の消費者を引き付け、維持できるでしょう。

AT&TのASTスペースモバイルとの契約がいつ奏功するかは分かりませんが、これはAT&Tが次世代の成長を目指す可能性を示唆しています。

AT&T株の目標株価は?

TipRanksによれば、AT&T株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が9人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の21.25ドルは、今後12カ月で21.4%の上値余地を示唆しています。

アマゾン (NASDAQ:AMZN)

アマゾンはeコマースとクラウドコンピューティングの企業で、食料品(ホールフーズなど)からビデオストリーミング(プライムビデオ)、さらにはゲーマー向けソーシャルメディア(Twitch)まで、多岐にわたる事業を展開しています。通信分野は、アマゾンが多くのサービス分野を拡大する中で、横展開を検討する可能性があるもう一つの市場です。

アマゾンをデジタル小売業者やクラウドサービス・プロバイダーと呼んでもいいでしょう。しかし、アマゾンを、成長を促進するために新しい市場を破壊しなければ満足しない、市場の破壊者として見る方がいいかもしれません。新しい市場をターゲットにすることで成長を維持する能力を考えると、史上最高値の更新が目前であっても、多くのアナリストは強気です。

アマゾンの衛星ブロードバンドインターネットネットワークに注目

アマゾンは、他のメディアや通信専業企業と比べると、表面的には通信へのエクスポージャーがそれほど高くないように見えます。しかし、もっと深く掘り下げると、アマゾンが通信業界において影響力のある企業であることが明確になります。

アマゾンの実験的なプロジェクトは、長期的に通信業界を注目させるかもしれません。具体的には、3,236基の衛星からなるブロードバンドインターネットネットワークを構築しようとしているアマゾンの「プロジェクト・カイパー」は、イーロン・マスク氏の衛星インターネット企業スターリンクが初期の成功の兆しを見せているように、注視すべき開発と言えるでしょう。アマゾンにとって、プロジェクト・カイパーは将来的に従来の通信事業に対する潜在的な脅威となる可能性があります。

アマゾンの株価は予想PERの40倍強で推移していますが、このようなプロジェクトがバリュエーションに織り込まれていないだけでなく、AIを活用したクラウド事業の可能性も十分に評価されていない可能性があります。

アマゾン株の目標株価は?

TipRanksによれば、アマゾン株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、42人全員が「買い」で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の220.60ドルは、今後12カ月で20.5%の上値余地を示唆しています。

結論

アナリストは最近、通信株を高く評価しています。競争環境は厳しいかもしれませんが、次世代技術革新(6G、衛星通信その他)と金利低下の可能性を考慮すると、通信株は魅力的です。この3銘柄の中では、アナリストが今後1年で最も上昇すると見ているのはAT&T株です。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、TMUS, T, AMZN: Which “Strong Buy” Communications Play Is Best?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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