米国株

防衛大手ゼネラル・ダイナミクス、史上最高値にもかかわらず、さらなる上昇可能性

ストーリーハイライト

米航空宇宙・防衛大手ゼネラル・ダイナミクス(NYSE:GD)の株価は最近、連日で史上最高値を更新しています。それでも、株価はさらに上昇する可能性があります。現在進行中の非常に不安定な地政学的環境は、同社にとって大きな売上高と利益成長の原動力となっています。世界の防衛予算が急増する中、ゼネラル・ダイナミクスは膨大な受注残を蓄積しており、その勢いを持続させる好位置にあります。

地政学的緊張が好調な受注モメンタムを維持

世界的に地政学的緊張が高まっており、各国の国防予算も増加傾向にあります。ゼネラル・ダイナミクスは、西側同盟国への装備品や兵器の主要サプライヤーとして、この進展する情勢の主要な受益者の1つです。

現在進行中のウクライナでの戦争とイスラエル・ハマス紛争がその例です。ウクライナでは容赦ない戦闘が続き、解決の見通しは立っていません。一方、中東では、ガザ北部の町ジャバリアで激しい戦闘が続くなど、依然として不安定な状況が続いています。さらに、紅海でのフーシ派による継続的な攻撃は、この地域の不安定性をさらに助長しています。

ゼネラル・ダイナミクスの装甲車両や兵器システムは、多くの西側諸国の軍事力確保で重要な役割を担っていることから、この不安定な時期に収益性の高い契約を結んでいます。2023年通期の売上高は前年比7.3%増の423億ドルと過去最高を記録しました。また、2023年を記録的な受注残で終え、今年の売上高と利益は過去最高を更新する見込みです。

2024年第1四半期も堅調、今年通期も過去最高の売上高と利益を記録へ

ゼネラル・ダイナミクスの第1四半期の業績、現在の受注残、そして全体的な勢いから、売上高と利益が過去最高を更新すると思われる有望な年をスタートさせました。具体的には、売上高は、第1四半期としては過去最高の107億ドル(前年同期比8.6%増)となりました。テクノロジー部門を除くほぼすべての部門が売上高成長に貢献しました。

航空宇宙

航空宇宙部門の第1四半期売上高は前年同期比10.1%増の20.8億ドルでした。この部門は軍事作戦や紛争とはまったく関係ありません。その代わり、企業利用ジェット機の旺盛な補充需要から恩恵を受けています。インフレの進行、米国の金融政策、中東紛争への懸念により、取引に若干の減速が見られるものの、プライベートジェットや企業ジェット機市場の持続的な成長により、同部門は堅調を維持しています。

戦闘システム

戦闘システム部門の売上高は約20%増の21億ドルでした。ここでは、進行中の地政学的不安定性がゼネラル・ダイナミクスの基礎的業績に好影響を及ぼしていることがわかります。売上高の増加は、国際的な新型戦車プログラム、大砲、ピラニア・プログラム(新型装輪装甲車)および架橋の増加により押し上げられました。また、エイブラムス戦車の需要も好調でした。これらすべての要因は、西側同盟国によるウクライナへの大幅な兵器納入を反映しています。

海洋システム

海洋システム部門に目を向けると、造船部門は再び目覚ましい業績を示しました。第1四半期の売上高は33億ドルに達し、前年同期比11.3%増と驚異的な勢いを維持しています。同部門の事業拡大の原動力となっているのは、米海軍からの船舶需要の高まりで、特に潜水艦です。

テクノロジー

テクノロジー部門は唯一成長しなかった部門です。売上高は32億ドルで、前年同期比0.8%減でした。それでも当四半期に40億ドルの受注を獲得し、売上高受注比率を1.2に引き上げました。したがって、同部門の成長は今後数四半期で加速する可能性が高いとみられます。

今後も高い成長ポテンシャル

先に述べたように、現在の地政学的状況はゼネラル・ダイナミクスの受注拡大につながっています。その結果、第1四半期の受注残高は前年同期比4.4%増の937億ドルとなり、過去最高を記録しました。

継続的な納入ペースに基づき、ウォール街は今年の売上高が過去最高の469億4,000万ドルに達し、前年同期比で11.1%増加すると予想しています。EPS(1株当たり利益)は21.4%増の14.59ドルと、こちらも過去最高となる見込みです。これらの要因は、株価の勢いを下支えするでしょう。

アナリストによれば、ゼネラル・ダイナミクス株は「買い」か?

ウォール街のゼネラル・ダイナミクス株に対する見方は、TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が13人、「中立」が4人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は312.94ドルで、今後12カ月で5.4%の上値余地を示唆しています。

ゼネラル・ダイナミクス株の売買でどのアナリストに従うべきか迷っている場合、バークレイズ(NYSE:BCS)のデビッド・E・ストラウスが最も収益性の高いアナリストです。彼は、レーティングあたり平均リターン17.59%、成功率73%の実績があります。

結論

世界的な緊張の高まりに後押しされ、西側同盟国のサプライヤーとして極めて重要な役割を担っているゼネラル・ダイナミクスは、持続的な成長基盤を築いています。特に戦闘システム部門の売上の伸びが顕著であった第1四半期の優れた業績は、これを裏付けています。

この勢いは今年いっぱい続くとみられ、ウォール街は2024年通期で過去最高の売上高と利益を予想しています。このため、株価は直近の史上最高値にもかかわらず、強気心理が持続する可能性があります。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、General Dynamics Stock (NYSE:GD): Further Upside Likely Despite All-Time Highs原文の翻訳を中心にまとめています。

米国株
この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
最新記事