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アップル株、投資判断の格下げで買い場到来か

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2024年最初の取引日、バークレイズの格下げによりアップル(NASDAQ:AAPL)株は大きく下落しました。しかし、今後新しいデバイスやサービスが登場することを考えると、ここでiPhoneメーカーを見限るのは間違いかもしれません。

1月2日は、アップルの株主が新年の幕開けに望んでいたようなものではありませんでした。バークレイズ(NYSE:BCS)がアップルの投資判断を「中立」から「売り」に格下げしたことで、アップル株は2024年の最初の取引日に3.6%下落し、大打撃を受けました。

一日で時価総額1,000億ドル以上消失

最近のウォール街では、アップルに関して「売り」レーティングはほとんどありません。この格下げは、iPhoneメーカーであり、「マグニフィセント・セブン」の一角であるアップルの投資家の背筋を震わせるには十分でした。アップルの時価総額は、1日で1,000億ドル以上消し飛び、もはや3兆ドル企業ではありません。

バークレイズの5つ星アナリスト、ティム・ロング氏は、格下げの正当な理由(中国でのiPhone 15の売れ行き不振など)を述べ、目標株価を160.00ドル(現在から13%以上の下落可能性)としました。投資家はこのような水準まで下落した場合、アップルの幕引きの兆候というよりは、買い場と捉えるべきと思われます。

iPhone 15が低調、iPhone16はそれほど良くないかもしれないとバークレイズ

iPhone15の販売予想が低調であることに加え、ロング氏は、iPhone16は失地回復にはならないと考えています。「iPhone16がより魅力的なものになるようなアップグレードの特徴は見当たらない」とロング氏は述べています。

次期iPhoneに関するこの評価は、投資家を信じられないほど落胆させるものです。しかし、次期iPhoneが何を特徴とするかまだ明確になっていないのに、それを否定するのはかなり無理があります。

実際、アップルの株価は、強気のコメントよりも弱気のコメントの影響を大きく受けているように思えます。ある意味、マグニフィセント・セブンの中で最も愛されていない企業です。例えば、ウェドブッシュの5つ星アナリスト、ダニエル・アイブス氏は12月に、アップルを時価総額4兆ドルが視野に入った「絶好のチャンス」と評価しました。それでも、このニュースで株価が急騰したわけではありません。一つの手がかりとしては、他のメガキャップ株では、投資家が歓迎するAI(人工知能)関連の発表が相次いでおり、それとの比較で、アップルに対しては弱気になりやすいことがあるかもしれません。

iPhone 16の可能性を軽視するのは間違いかもしれない理由

今のところ、iPhone 16の機能に関しては、さまざまな噂が飛び交っています。そのため、次期iPhoneを魅力がないと切り捨てることは正当化されないでしょう。iPhone16は革新的な設計・デザインとはならないかもしれません。とはいえ、ハードウェアの革新によって、iPhone16はかなり大幅なアップグレードになると考えられます。

iPhone 16は、アップル自社開発のA18チップを搭載すると噂されており、素晴らしいグラフィック機能が搭載される可能性があります。実際、iPhone 15 ProとPro Maxモデルに搭載されている現在のA17 Proチップは、すでにいくつかの見事なトリプルAゲームタイトルを実行することができます。カプコンの「バイオハザード4リメイク」と「バイオハザードヴィレッジ」は、アップルの最新チップのグラフィック能力を示す野心的なタイトルです。最新のiPhoneは、携帯ゲーム機市場で可能性を示しています。

アップルは「ゲームの新時代」に突入する、とビデオゲーム業界の先見者

iPhone 15の発表では、ビデオゲームがかなり強調されていました。しかし、それはメインディッシュの前の前菜に過ぎないと考えられます。今年は複合現実ヘッドセット型PCのApple Vision Proが発売されますが、このデバイスはゲームの発表によって最前線に押し上げられる可能性があります。

もしアップルが大手ゲームスタジオを買収したり、カプコンや伝説的なゲームクリエイターである小島秀夫氏と結んだゲーム関連のパートナーシップをさらに加速させることができれば、アップルがVision ProやiPhone、さらには関連サービスの売上を伸ばす手段としてゲームを活用できる可能性があります。

昨年、小島氏は、アップルは「ゲームの新時代」に突入していると大胆な発言をしました。ゲーム界で最も輝かしく革新的な頭脳の一人として、投資家やゲーマーはこのような発言を軽んじてはいけないでしょう。

アナリストによれば、アップル株は「買い」?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が23人、「中立」が7人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価は203.04ドルで、今後12カ月で10.1%の上値余地を示唆しています。アナリストの目標株価は、安値150.00ドルから高値250.00ドルまでとなっています。

結論

今、アップル株に弱気になり、ウェドブッシュのダニエル・アイブス氏よりもバークレイズのティム・ロング氏のコメントを信じることは、あまりにも簡単です。

アップルが2024年に低調なスタートを切った後、実際は、弱気派よりも強気派が有利と考えられます。iPhone 15は息切れしているかもしれませんが、2024年にはたくさんの新しいデバイス(そしておそらくいくつかのサービス)が登場します。それらを見過ごすわけにはいきません。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Apple Stock (NASDAQ:AAPL): Downgrade Creates Buying Opportunity原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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