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トップアナリスト、アップル株を220ドルに引き上げるカタリストを指摘

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このところ小幅な下落にもかかわらず、株式市場は年初から堅調で、S&P500指数は年初来で7.5%上昇しています。しかし、アップル(NASDAQ:AAPL)の株価は圧力を受けており、年初来で10%下落し、主要なアンダーパフォーマーとなっています。

ウォール街株式アナリストの中で上位4%に評価されている五つ星アナリスト、エバーコアのAmit Daryanani氏は、アップルの低調なパフォーマンスに関して、3つの要因を指摘しています。

アップル株下落の背景にある、AIへの関心、中国市場でのシェア低下、規制上の懸念

第一は、投資家がAI(人工知能)トレンドに積極的に参加し、エヌビディアなど他のメガ株に傾倒し、アップルから資金を移していることです。第二に、アップルが主要市場である中国でスマートフォンのシェアを落としているというデータです。第三は、規制上の懸念で、特に、巨大テック企業が独占的行為で米司法省から告発されているケース(対グーグル)があります。

しかしDaryanani氏は、この売りは「むしろ行き過ぎ」であり、「ここから株価を上昇させる3つの明確な要因がある」と考えています。

株価上昇のカタリストの一つは資本配分

そのカタリストの一つは、資本配分を巡るものです。アップルは、フリーキャッシュフローの100%以上を株主に還元することをコミットしており、ネットキャッシュポジションをニュートラルにすることを目標としています。

アップルがEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)純有利子負債倍率を2倍程度に維持することを目指せば、今後数年間で総額2,500億~2,750億ドルの追加自社株買いが可能になる可能性があります。

Daryanani氏は、「4月に予定されているEPS(1株当たり利益)発表時に、さらなる詳細が発表されると期待しています」と述べています。

もう一つのカタリストは、端末でのAI実行

もうひとつのカタリストは、Daryanani氏が考える「次のスーパーサイクル」に関連しています。AI対応ツールがますます普及するにつれ、同氏は「エッジ(端末など)でのAI実行に強い価値提案がある」と予想しています。

iPhoneのようなデバイス上で直接AI推論を行うことは、待ち時間の短縮、セキュリティの強化、低コストでのアクセシビリティの向上など、いくつかの利点があります。「アップルのAI戦略は、iPhoneだけでなく、Mac/iPadのユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させるLLM(大規模言語モデル)のためのオンデバイス推論を組み込むことに焦点を当てると考えられます」と同アナリストは説明しています。

サービス事業の加速を市場は過小評価

最後に、Daryanani氏は、アップルのサービス事業の加速が過小評価されていると主張しています。10-12月期のAppStoreのデータは、前年同期比で「10%台前半」の伸びを見せていましたが、今年2月単月は前年同月比16%増と「目覚ましい加速」を示しています。「この好調さが続き、2024年度のサービス事業の成長率は10%台前半を維持するものと思われます」と、同氏は結論づけています。

Daryanani氏はアップル株に「アウトパフォーム(=買い)」レーティングを付け、目標株価の220ドルは、今後12カ月で約27%の上値余地を示唆しています。

ウォール街の見方は?

これに対し、ウォール街の見方は、TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が16人、「中立」が9人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。アナリストの平均目標株価は204.86ドルで、今後12カ月で最大19%の上値余地を示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Can Apple Stock Rebound to $220? Here’s What Top Analyst Amit Daryanani Expects原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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