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億万長者ケン・フィッシャー氏が大量の資金をつぎ込んでいるホットな銘柄

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株式市場の上昇継続を疑っている人は、ケン・フィッシャー氏と少し話してみるといいでしょう。この億万長者の投資家は、強気スタンスを取り続け、弱気な議論を一蹴し、自分の見通しが正しかったことを熱心に述べています。

強気相場の継続を強調

フィッシャー・インベストメンツの創設者であるフィッシャー氏は、「私は2023年に、世界的な強気市場、インフレの鈍化、深刻な世界的な景気後退の不在、テック株やその他の成長株が市場を牽引すると予想していました。そして、その通りでした」と、述べています。同氏は、投資活動で個人資産約85億ドルを築いています。

フィッシャー氏が強調している強気相場の継続を念頭に置き、同氏の投資先で現在数十億ドルの価値を持つ、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(NASDAQ:AMD)とイーライリリー(NYSE:LLY)という、かなり異なる2つの銘柄を詳しく見てみることにしました。TipRanksデータベースの助けを借りて、ウォール街のアナリストが同じ見解を持っているかどうかも確認しました。

AMD

AMDは「マグニフィセント・セブン」には含まれないかもしれませんが、今後の展望を考えると、その候補になる可能性があります。この主要半導体企業はここしばらくの間、市場の勝者の1つであり、昨年のスター・パフォーマーの1つでもありました。好パフォーマンスは2024年まで続いており、株価は年初来で41%上昇しました。

とはいえ、AMDが常に好まれてきたわけではありません。10年ほど前までさかのぼると、同社は苦境に立たされ倒産の危機に直面していました。しかし、リサ・スー最高経営責任者(CEO)のリーダーシップの下、同社は灰の中から立ち上がり、ここ数年、CPU市場におけるインテルの支配力を着実に食いつぶしてきました。現在では、AI半導体ゲームにおけるエヌビディアへの最大の挑戦者とも見られています。

業績は堅調

同社の直近の決算発表はエヌビディアほど素晴らしいものではありませんが、引き続き堅調です。2023年第4四半期の売上高は前年同期比10.7%増の62億ドルで、コンセンサス予想を6,000万ドル上回りました。調整後EPS(1株当たり利益)は0.77ドルで、ウォール街予想に並びました。

同社は、急成長しているAI半導体市場にビジネスチャンスを見出しており、2024年のデータセンター向けGPU(画像処理半導体)の売上高予測を、当初の20億ドル超から最大35億ドルに引き上げました。

フィッシャー氏はAMD株に対してロングであり、強気です。彼のポートフォリオには28,368,826株のAMD株があり、現在の時価総額は約57億5,000万ドルです。

アナリスト、AMD経営陣の執行を高く評価し、AI分野の好機を予想

また、ローゼンブラットの五つ星アナリスト、Hans Mosesmann氏もAMDの大ファンです。AMD経営陣の執行を高く評価しており、AI分野などで今後さらなる好機を予想しています。

数千人におよぶウォール街株式専門家の中で、その予測の正確さから6位にランクされているMosesmann氏は、AMD株に「買い」レーティングを付けており、250ドルの目標株価は、今後12カ月で最大21%の上値余地を示唆しています。

AMDの目標株価は?

ウォール街アナリストもMosesmann氏にほとんど同意しています。TipRanksによれば、AMD株に関する過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が29人、「中立」が5人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。しかし、株価的には一息つく必要があるとの意見も多いようです。平均目標株価の197.77ドルは、今後12カ月で最大5%の下値余地を示唆しています。今後数カ月の間に、アナリストが目標株価を上方修正するかどうかが注目されます。

イーライリリー

「マグニフィセント・セブン」クラブ入り候補として、想定されていなかった銘柄が候補に挙がるかもしれません。米国の巨大製薬企業であるイーライリリーの株価は、過去12カ月で150%上昇し、絶好調です。現在、時価総額は7,540億ドルを超え、製薬株として初めて1兆ドルを超える可能性があります。

この巨大製薬企業を取り巻く興奮は、減量薬分野への関与と、GLP-1アゴニストと呼ばれる比較的新しい医薬品群の開発によるものです。

イーライリリーは昨年11月、革新的な肥満治療薬であるゼップバウンド(一般名・チルゼパチド)注射剤のFDA(米国食品医薬品局)承認を取得しました。チルゼパチドはすでに2型糖尿病治療薬マンジャロとして上市されています。

糖尿病治療薬および肥満治療薬により業績は好調

両薬剤により、イーライリリーの2023年第4四半期業績は好調でした。マンジャロの売上高は22億ドルに達し、コンセンサス予想の18億ドルを上回りました。ゼップバウンドは発売されたばかりですが、1億7,580万ドルを創出し、市場予想の1億4,070万ドルを上回りました。

第4四半期の総売上高は93億5,000万ドルで、前年同期比28.1%増となり、アナリスト予想を3億8,000万ドル上回りました。EPSは2.49ドルで、やはりアナリスト予想を0.12ドル上回りました。2024年の売上高は404億~416億ドルと予想しています。コンセンサスでは391億ドルです。

フィッシャー氏は、イーライリリーの展望に確信を持っています。彼はイーライリリー株を4,544,585株も保有しています。現在の株価で、35億5,000万ドル以上の価値があります。

アナリスト、新たな減量薬開発に注目

イーライリリーは、別の医薬品としてorforglipronという減量薬も開発中です。モルガン・スタンレーのテレンス・フリン氏は、この薬の成否が今後数年間、同社にとって極めて重要になると考えています。

フリン氏はイーライリリー株に「オーバーウエート(=買い)」レーティングを付け、950ドルの目標株価は、今後12カ月で21%の上値余地を示唆しています。

イーライリリーの目標株価は?

過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が16人、「中立」が3人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。とはいえ、上昇が継続してきたことを考えると、816.35ドルの平均目標株価は、今後12カ月でわずか3%の上値余地にとどまるとみられます。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、AMD and Eli Lilly: Billionaire Ken Fisher Pours Billions Into These Hot Stocks原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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