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アマゾン株(NASDAQ:AMZN): 収益性を見据え、AIを優先する先にあるもの

ストーリーハイライト

アマゾンはコスト削減による収益性向上を目指しています。さらに、AIをクラウドサービスに統合することにも注力しています。

アマゾン(NASDAQ:AMZN)にとって2023年は効率化の年であり、同社はコスト削減による収益性向上を目指しています。また、インターネット商取引とクラウドを手がけるアマゾンは、AI(人工知能)戦略を優先し、この変革技術をAWS(アマゾンウェブサービス)のサービス群に統合することで、クラウド分野でのリーダーシップを維持しようとしています。これらの取り組みにより、アナリストはアマゾン株の大幅な上昇の可能性を見ており、同社株の見通しを楽観視しています。

そこで、収益性の向上とAI分野での地位強化を目指すアマゾンの取り組みを掘り下げてみましょう。

アマゾンの事業撤退

アマゾンは、広範なコスト構造改革戦略の一環として、期待していた収益が得られなかったため、いくつかの事業を閉鎖しています。ブルームバーグが報じたように、アマゾンは、ユーザーが音楽トラックを再生しつつコメント出来るDJの役割を果たせるライブラジオアプリのAmpを閉鎖します。

Ampの他にも、同社はヘルスビジネスに特化したHalo部門を閉鎖。さらに、複数のメディアの報道によれば、マクロ的な困難で成長が鈍化したため、宅配ロボットScoutのテストを終了しました。

事業の閉鎖や実験の縮小に加え、同社は27,000人分の役職を廃止しました。これらの動向は、長期的に売上、営業利益、フリーキャッシュフローを拡大し、アマゾンの投下資本利益率を高めることを目的としています。

アマゾンは効率化に注力する一方で、成長を加速させるためにAIに多額の投資を行っています。同社のAIへの取り組みを見てみましょう。

アマゾンのAI推進

アマゾンは第2四半期決算の電話会議で、エヌビディアのH100 GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を活用して生成AIアプリケーションを開発していると発表しました。さらに、同社はAIへの取り組みを強化するためにAnthropic社との戦略的協業を発表しました。

Anthropic社との提携について、WedbushのアナリストであるScott Devittは、この提携はAWSの顧客向けに生成AI機能の取り込みと統合を加速させる可能性があるとコメントしています。さらに、「アマゾンが生成AIへのアプローチにおいて同業他社よりも積極的ではない、という投資家の懸念を和らげるだろう」と付け加えています。同氏は9月25日に、アマゾン株の買い推奨を再び表明しました。

このような背景から、他のウォール街のアナリストがアマゾン株についてどのように語っているのか見てみましょう。

アマゾン株の今後の見通しは?

アマゾン株は年初来で45%上昇しています。大幅に上昇しているにもかかわらず、ウォール街のアナリストはアマゾン株の見通しについて強気です。過去3ヶ月で40件の「バイ」推奨と1件の「ホールド」推奨があり、アマゾン株のコンセンサス評価は「ストロングバイ」です。さらに、アマゾン の平均株価目標176.02ドルは、現在の水準から41.3%の上値余地を示唆しています。

要点

アマゾンがコスト削減と効率化に注力することで、利益が改善するとみられます。さらに、クラウド事業の安定化の兆しとAIイニシアティブへの注力は、TipRanksのコンセンサス評価で「ストロングバイ」」に反映されているように、将来の成長にとって良い兆候と考えられます。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Amazon Stock (NASDAQ:AMZN): What’s Ahead as It Eyes Profitability, Prioritizes AI 原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
フリージャーナリスト。出版社勤務後、1984年4月からフリー転向。以降、月刊宝石や「ダカーポ」などに原稿を執筆。月刊誌の取材・執筆活動のほか、単行本の執筆や編集等を行う。著書に『サイエンススクランブル』『我らチェルノブイリの虜囚』(いずれも共著)がある。2007年11月から2016年1月まで日本で唯一の外国為替証拠金取引(FX)の専門誌月刊「FX攻略.com」の初代編集長を務める。FXポータルサイト「エムトレ」アドバイザー歴任。
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