会計ソフト大手の弥生株式会社のグループとして2017年に設立したアルトア株式会社。そこが新たに提供を始めたオンライン融資サービス「ALTOA(アルトア)」をご存知でしょうか?
オンライン融資サービスとは、AI(人工知能)等のテクノロジーを活用し、オンラインでお申込みから契約、入金までの手続きが完結する融資サービスのことです。
アルトアは、無担保・無保証・代表者連帯保証一切なし、 最短即日融資を実現するサービスとして、スモールビジネスとも呼ばれる、個人事業主から中小企業などから大変注目を浴びています。
今回は、そんなアルトアの特徴や創業の裏話を同社の取締役兼アルトア事業部の小松一也部長に聞いてみました。
ベンチャー・中小企業の資金調達の悩みを解決!アルトアの魅力に迫る
ーオンライン融資サービス「ALTOA(アルトア)」のリリースに至った経緯を教えてください。
当社(アルトア株式会社)は、2017年2月に弥生の子会社として設立した会社で、2017年12月にアルトアのローンチに至りました。
弥生は、1987年から「弥生会計」を30年以上、個人事業主や中小企業向けに提供してきました。会計ソフトをお客様の事業の今を測る「物差し」として使っていただきましたが、次の一手をサポートするサービスは提供できていませんでした。
そこで、弥生のサービスから更に一歩踏み込んだ直接的な打ち手として、オンライン融資サービス「アルトア」が誕生したんです。
弥生グループとして注力している新規事業。社内はベンチャーのような雰囲気
ーサービス紹介を拝見しましたが、代表の岡本様も想い入れを持ってらっしゃるのが伝わってきました。
そうですね。代表の岡本の想いは強いです。岡本は、海外のオンラインレンディング市場も意識しつつ、日本ならではのマーケットを作っていきたいという思いを持っています。
アメリカでは、すでに3兆円以上の市場規模があり、中国に至ってはその10倍の市場があります。そこを意識しながら、日本独自のレギュレーションを踏まえて市場をつくっていきたいと考えています。
弥生グループとしてもかなり注力している事業で、アルトア社内にはベンチャーのような雰囲気があると思います。
これは余談で笑い話ですが、サービスローンチ時期は社員が会議室にすし詰めになって、そこに岡本がダンボールでお菓子を大量に買ってきてくれて。それをガソリンに皆で頑張って作っていたという思い出もあります。笑
ベンチャー・中小企業がもっと気軽に融資を受けられるように
ー社長をはじめ熱い想いのこもったサービスなんですね。資金調達手段は色々あると思いますが、アルトアならではのメリットなどは何かありますか?
一番は、ベンチャー・中小企業といった小規模事業者がしっかり事業評価を受けて資金調達できる点だと思います。資金調達は経営者の悩みで上位に挙がりますが、小規模事業者は銀行からの融資を受けにくい現実があります。小規模事業者が必要な額は数百万円ということが多く、その金額感だと銀行の営業マンも積極的に営業ができないことが現実です。
結果、法人借入が難しいという理由で、社長個人のお金を会社に貸し付けたり、個人で消費者金融からお金を引っ張ってくるというケースがこれまで多くありました。
アルトアは、こうした銀行がカバーできていない事業者に対して融資を実現するサービスです。
実際、弥生が実施した経営者へのアンケートでも「オンラインレンディングで短期融資を受ける際に何を重視していますか?」という質問では、40%弱の経営者が「法人名義で借りられること」とお答えされています。
ーベンチャー・中小企業経営者にとっては大変助かりますね。
そうですね。他には、「時間」という面でも経営者に喜んで頂いています。
アルトアのお客様は小規模事業者が中心で、法人でいうと売上5,000万円程、個人事業主だと2,000万円程の方が多いです。
私自身、インタビュー等でお客様とお話することがあるのですが、どの企業様もとにかく社長様がお忙しい。社長自らが営業をやって、財務をみて、人事総務もやってと一人何役もこなしていらっしゃる方が少なくありません。
ー経営をしながら人事総務もやり、経理もやりという感じですよね。
はい。そのような経営者にとって、時間は大切な資産です。
資金調達の必要性は感じていても、わざわざ時間を割いて銀行に行き、数週間かけて借入を行うのはとてもハードルが高いことです。
アルトアだと10分程度で申し込みが完了し、審査もオンライン上で完結するので従来の資金調達方法に比べて時間の効率化が図れる点はお役に立てているのかなと思います。
無担保・無保証・即日融資を実現できる理由とは?
弥生の会計ビックデータとオリックスの金融ノウハウからなる与信システムが売り
ーオンラインレンディングサービスが注目され始めていますが、他社と比べたアルトアの強みや特徴は何ですか?
我々が自信を持っているのは与信エンジンの精度の高さです。
弥生の登録ユーザー数は、170万以上(取材当時)ですが、ここから得られた会計ビックデータやオリックスグループが持つ与信ノウハウをもとに与信エンジンを作成、適正な金利や与信を算出できるのは、当社の強みだと思います。
これまでの銀行融資では、主に決算情報をもとにスコアリングが行われていました。しかし、決算情報は、いわば経営の最終成果を示した数値であって、そこに至るまでのプロセスまでは分かりませんよね。
ー確かにそうですね。仮に直近右肩上がりの業績でも評価されにくいという面はありそうです。
そうなんです。当社では日次の会計データを評価対象としているので、「直近までの事業状況」をもとに融資判断ができます。
そのため、ベンチャー・中小企業であっても、しっかり経営をされているところであれば、設立年数に関係なく融資をさせていただくことが可能です。
クオリティの高い与信エンジンを持つことが無担保・無保証、即日融資を可能にしている一番の要因といえますね。
ー無担保・無保証、即日融資はお客様にとって何よりの特徴ですが、ビジネス的に考えると御社が抱えるリスクも大きくなると思います。リスクヘッジできている要因は何でしょうか。
やはり会計データを基準に、精度の高い審査ができている点だと思います。
私たちの融資は、最大300万円の小口融資です。貸し手側の目線でいうと、回収に大きなコストをかけることができない難しい領域でもあります。
私たちはITの力を活用して、瞬時に何千、何万行のデータを分析し、精度の高い審査を行います。入り口のところでコストをかけずに精度の高い審査を行えるからこそ、お客様が利用しやすい条件を提供できているのかなと思います。
ベンチャー・中小企業の資金調達の可能性を広げていきたい
現状だと、過去に自己破産や民事再生をされた方はどうしても銀行から融資を受けづらい面があります。しかし、過去にそういったことがあっても再チャレンジの結果、現在は順調に事業運営をされている方も多くいらっしゃいます。
これは今後のお話になりますが、アルトアでこうした方々の現在の信用を適正に評価して、再度銀行にお繋ぎするといった取り組みもできたらと思っています。
ー現時点の見えない信用スコアを適切に評価していくことで、中小企業の資金調達の可能性が広がるというですね。
はい。小規模でも素晴らしい会社は世の中にたくさんあります。
そうした企業の信用を正しく評価できれば、金利もそこまで高くせずにご融資させていただくことができます。
これまで、銀行から借入を受けることが出来ず、代表者が会社の代わりに個人として消費者金融等から資金調達されるケースにおいては、会社の成績は借入条件に全く反映されなかったと思います。そこをちゃんと物差しをいれて、適正な条件で融資提供するのが当たり前の世界になっていくと良いなと思います。
会計データとテクノロジーの力で、融資を身近な選択肢に
ー今後のアルトアのサービス展開について教えてください。
当社は、当面、現在の銀行インフラでは、採算がとれない融資商品にフォーカスしてサービス提供していきたいと思っています。
例えば、現時点だと融資限度額は300万円ですが、この限度額を増やしたり、短期融資だけではなく長期融資も手がけていくという発想は、事業採算の観点からは魅力的ですし、将来構想として持っています。
ですが、あえて今、それをやらないのは、銀行ができないところをデータとテクノロジーの力で使って解決しようという部分にこだわっているからです。
ー銀行との提携協議も始められたようですが、お互いをカバーし合うイメージなのでしょうか。
はい、その通りです。アルトア単独でのサービス提供は、自ずと限界がありますし、全国津々浦々のベンチャー・中小企業の皆さまにオンライン融資の利便性をお届けしたいと考えています。ご賛同いただける銀行、信用金庫の皆さまと一緒に新しい融資市場をつくっていきたいと考えています。
まずは審査登録だけ。それで資金調達の選択肢を確保しておく
アルトアのサイトで無料で審査だけ登録可能
ー最後に、今後どういった方々にアルトアを活用してもらいたいですか?
弥生会計で、1期(12か月)分の会計データがあればどんな方でもお申し込みいただけるので、ベンチャー・中小企業の皆さまをはじめとして、これまで資金調達を様々な理由で“あきらめざるを得なかった”方々にご活用していただきたいです。
1点、付け加えるとすると、今すぐには、資金調達を考えていない方にも使ってもらえると良いかなと思います。
資金調達というと、資金ニーズが出て始めて検討を始める方が多くいらっしゃいますが、思った以上に時間がかかったり、いざ必要な時に審査に通らないということも多々あります。
そういった事態に備えて、一回でもアルトアで登録して、お申し込みをして頂ければ、ご利用にならなかったとしても、いざお金が必要となった際の選択肢のひとつとして安心していただけると思います。
もちろん、実際の審査は資金調達時の経営状況などにもよるので必ずご利用できますとお約束はできないですが、ある程度目安にはなると思いますし、当社としてはお借入れ可能性の確認だけに使っていただくのもウェルカムです。
貯蓄でお金を増やす