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パロアルトネットワークス株(NASDAQ:PANW):サイバーセキュリティ懸念が追い風に

ストーリーハイライト

企業レベルのサイバーセキュリティへの脅威が大きな財務損失につながる中、サイバーセキュリティ大手のパロアルトネットワークスに対する強気の見方は自ずと説得力があります。パロアルトネットワークス株は最も魅力的とは言えませんが、非常に重要です。

重要性という点では、特に最近のサイバーセキュリティ懸念を考慮すると、パロアルトネットワークス (NASDAQ:PANW) を無視することは困難です。それは、オンライン上で極悪非道な者によってもたらされる脅威の増大だけではありません。

むしろ、彼らがもたらす被害は、深刻な経済的損失や業務の中断につながります。パロアルトはバリュエーションの観点からは魅力的ではありませんが、その重要性によって他社と一線を画しています。従って、私はパロアルトネットワークス株に強気です。

パロアルトネットワークス株の目覚ましい上昇は継続へ

一見したところ、パロアルトネットワークス株への躊躇は理解できます。年初来で78%以上の上昇を記録したパロアルト株ですが、多くの投資家はこのまま持ち続けることを恐れているのではないでしょうか。

確かにパロアルトの株価は、同期間に29%以上上昇したナスダック総合株価指数を明らかに上回っています。とはいえ、サイバーセキュリティ事業における中核的な重要性は、魅力的なカタリストを提供します。

ここ数週間、日用品メーカーのクロロックス(NYSE:CLX)にスポットライトが当たりました。先月、同社はオンライン上での不正行為に対処するため、システムの一部をオフラインにしなければならなかったことを明らかにしました。残念なことに、この指示は注文処理の速度を低下させ、その後、製品の入手が困難になりました。

先週、クロロックスはさらに、サイバー攻撃によって引き起こされた問題解決に苦慮していることを明らかにしました。10月4日には、TipRanksレポーターのSheryl Shethは、経営陣が「一時的な業務停止が、2024年度第1四半期に大きな財務的影響を及ぼすと投資家に警告した」と指摘しています。

当然のことながら、クロロックス株はこの情報開示で大きく下げました。先週、株価は5%近く下落し、直近1カ月では20%以上の下落となっています。

クロロックスの情報漏えいはひどいものでしたが、その被害は他の企業に対し、サイバーセキュリティ対策を軽んじるなという警告を送ることにとどまっています。もちろん、企業は支出削減に取り組んでおり、投資家は長期的に見る必要はないのかもしれません。情報技術(IT)のプロセスや保護を縮小しようとしている企業もあるかもしれません。

しかし、クロロックスの情報漏えい事件は、そのような考えが悪い知らせになりかねないことを裏付けています。確かに、IT支出の削減は一時的に利益を改善するかもしれません。しかし、大規模な情報漏えいが一度でも起これば、その改善も水の泡となってしまいます。その点では、パロアルトは勝ち組です。

パロアルトは他のサイバーセキュリティ災害から「恩恵」を受けています

一般的に言って、将来性があり、成長性があるビジネスを展開する企業に投資する方が良いとされており、パロアルトの場合もほぼ同様です。

しかし、パロアルト株への背景(サイバーセキュリティ被害)は、特に楽しいものではありませんが、信じられないほど強力です。特に、他の有名企業もサイバー攻撃を受けており、サイバーセキュリティの重要性が改めて浮き彫りになっています。

レポーターのShethは次のように述べています。「カジノ大手のMGMリゾーツ・インターナショナル(NYSE:MGM)とシーザーズ・エンターテインメント(NASDAQ:CZR)が最初に同様の攻撃を受けたことは注目に値します。

彼らはハッカーから自分たちのシステムを救うために高額な身代金まで支払いました」。この最後の部分の言及は、パロアルト株にとっての基本的なカタリストとして非常に明確です。

サイバー攻撃はもはや単なる迷惑行為ではなく、その経済的損害はますます大きくなっています。さらに悪いことに、デジタル侵害の被害を受けた企業の多くは、身代金を支払う以外に選択肢がないことが多いのです。

サプライチェーンや業務が突然中断され他場合、いつまでも義憤に駆られるよりは、身代金を支払う方がビジネス上理にかなっているかもしれません。

Shethが報告した情報漏えい事件(間違いなくすべて有名企業)は、「被害が大きければ企業は身代金を支払う」というひどい前例につながっています。これはサイバー犯罪者のモチベーションを高めるだけであり、結果的にパロアルトをより重要なものにしています。

「部屋の中の象」のようだが

論理的には、投資家が投資を評価する際に考慮する一般的な要素の1つは、その基礎となるバリュエーションです。パロアルト株の場合、これは少々問題です。現在、株価は実績PER約 195 倍で取引されています。これに対し、ソフトウェア(インフラ)セクターの実績PERは31.14倍です。これは一見、信じられないほど割高と思われます。

しかし、このようなバリュエーションはストーリー全体の一部でしかありません。パロアルトは8月、(クロロックスの騒動が明らかになる前に)目覚ましい一株当たり利益ガイダンスを発表し株価は急騰しました。

知名度の高い企業がデジタル侵害で大きな被害を受ける中、より多くの企業がITの信頼性について慎重に考えるようになったと結論づけるのは妥当なことです。最終的に、それはパロアルト株にとって良いニュースかもしれません。

アナリストによると、パロアルト株は買い?

ウォール街に目を向けると、パロアルト株のレーティングは「買い」32件、「中立」3件、「売り」0件となっていて、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は279.48ドルで、10.6%の上昇可能性を示唆しています。

結論:パロアルト株の重要性は高まるばかり

サイバー攻撃に関するニュースを読むことは辛いものです。そういった見出しの背後には、トラブルのない業務運営に生計を立てている多くの労働者がいるからです。同時に、このようなニュースは、強固なサイバーセキュリティ対策の重要性を強調しています。長期的に見れば、それはパロアルトの株価にとって純粋にプラスになるはずです。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Palo Alto Networks Stock (NASDAQ:PANW): Bank on Cybersecurity Concerns原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
フリージャーナリスト。出版社勤務後、1984年4月からフリー転向。以降、月刊宝石や「ダカーポ」などに原稿を執筆。月刊誌の取材・執筆活動のほか、単行本の執筆や編集等を行う。著書に『サイエンススクランブル』『我らチェルノブイリの虜囚』(いずれも共著)がある。2007年11月から2016年1月まで日本で唯一の外国為替証拠金取引(FX)の専門誌月刊「FX攻略.com」の初代編集長を務める。FXポータルサイト「エムトレ」アドバイザー歴任。
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