株の取引などで証券会社の職員や関係者がインサイダー情報を元に取引をして、インサイダー取引で逮捕される報道を見たことあるかと思います。
暗号資産(仮想通貨)の取引において、インサイダー取引が存在するのかを調査しました。
目次
インサイダー取引とは?
インサイダー取引とは、株式において
「上場会社または親会社・子会社の役職員や大株主などの会社関係者、および情報受領者(会社関係者から重要事実の伝達を受けた者)が、その会社の株価に重要な影響を与える「重要事実」を知って、その重要事実が公表される前に、特定有価証券等の売買を行うことをいい、金融商品取引法で規制されています」(カブドットコム証券より引用)。
出典:https://kabu.com/rule/insider_trading.html
暗号資産(仮想通貨)にインサイダー取引はない!?その理由とは
暗号資産(仮想通貨)には現在インサイダー取引がありません。
「ありません」、というのは、暗号資産(仮想通貨)でインサイダー取引のようなことを行っても、インサイダー取引に該当しないということになっているという意味です。
では、なぜインサイダー取引に該当しないのでしょうか。
暗号資産(仮想通貨)はいまだ法規制されていない
現在のところ、暗号資産(仮想通貨)は「有価証券」や「法定通貨」に該当しないという見解がとられているからです。暗号資産(仮想通貨)は現在のところ、法規制を受けていないのですね。
しかし暗号資産(仮想通貨)が盛り上がってきていますので、今後は何かしら法的な規制が入る可能性もあります。
実はFXにもインサイダー取引の概念がない
FXにもインサイダー取引という概念がありません。
株式市場の場合は日本限定で規模が小さいため、インサイダー取引を行うことで莫大な利益をあげることができます。
しかし一方でFX市場は株式市場に比べて規模が大きく、インサイダーを行ったところで利益を得ることができないため、規制の必要がないと考えられています。
暗号資産(仮想通貨)が有価証券扱いになるとインサイダー取引の対象に
先ほども書いたとおり、現在暗号資産(仮想通貨)は有価証券扱いをされていないため、インサイダー取引の対象となっていませんが、今後法的に扱いが変わり、規制対象になる可能性も考えられます。
ただし現段階でも有価証券ではないかと言われ調査対象となっている暗号資産(仮想通貨)があります。
「イーサリアム」です。
米国証券取引委員会がイーサリアムを有価証券に格上げするか検討に入ったとのことです。その理由は、イーサリアムの創始者の交通事故死という噂により価値が急落したことで、有価証券的位置にいるという意見が出たためです。
このように暗号資産(仮想通貨)であっても、有価証券扱いにされると、インサイダー取引の対象となってしまいます。
暗号資産(仮想通貨)のインサイダー疑惑で市場を騒がせた2つの事件
また有価証券扱いをされていなくても、実際にインサイダー疑惑がかけられ、炎上した事例もあります。
いくつか紹介しましょう。
暗号資産(仮想通貨)による株式取引サービス「VALU」の事例
VALUとは、自分の価値を「模擬株式」として販売できるサービスです。某人気Youtuberが自身のVALUを売りに出しており高騰していましたが、仲間のYoutuberや支援者が、自身が持っているこのYoutuberのVALUを一気に全VALUを売りに出したことが発端です。それにより一気に下落し、多額の儲けが出たと推測されます。
当初関係者は強気の姿勢を取っていましたが、インサイダーではないかと騒ぎが大きくなり活動停止にまで追い込まれました。
bitFlyerのLISK上場時に「知っていた」ツイートの事例
暗号資産(仮想通貨)取引所bitFlyerにおいて、Lisk上場でのインサイダー取引疑惑が浮上しました。発端となったのはあるツイートでした。
ツイート内で「LISKのビットフライヤー上場 かなり前から知っていたおかげで死ぬほど儲かりました」と発言しています。
このツイートは一体何を意図したものは分かりませんが、注目を集めて、大きな物議を醸すこととなりインサイダー疑惑、インサイダー情報自体いいのかという話が出ました。
暗号資産(仮想通貨)投資を行うなら知っておきたい正しい情報の集め方
暗号資産(仮想通貨)の種類は多様で、特に初心者は全ての暗号資産(仮想通貨)情報を把握することは不可能です。
また適切に集めることができないと騙されたり、知らず知らずのうちにインサイダー疑惑をかけられることもあります。
情報の集め方は様々です。
①Twitter
ご存知のとおり、多くの人が利用するSNSです。
その分暗号資産(仮想通貨)に精通している人もしていない人も暗号資産(仮想通貨)情報をつぶやいています。情報の見極めを行い、フォローするよう心掛ける必要があります。
見極めるコツとして「ポジショントークを行わない」ということがあります。
ポジショントークとは、市場心理を揺さぶるような発言のことです。あくまで冷静な意見や事実のみを述べているアカウントからの情報収集を心掛けましょう。
②LINEコミュニティ
LINEコミュニティにおいてもTwitterと同様のスタンスで見極めながらコミュニティを選ぶことが重要です。実際にLINEコミュニティはICO詐欺の温床となっています。
ICOとはInitial Coin Offeringの略で、暗号資産(仮想通貨)で事業を立ち上げる際のお金を集める仕組みのことをいいます。ICOのメリットとして金融機関の借り入れに比べて、信用力が低くても比較的簡単に資金調達が可能です。ICOでは株式と同様に一般人が出資できます。
ICO詐欺の例として「セミナー参加」「縁故販売」などがあり、儲かるということを巧みに話してお金を騙し取る手法です。
③個人ブログ
「暗号資産(仮想通貨)で○○万円稼ぐ方法!」というキャッチコピーを、誰でも一度は見たことがあると思います。
実際に暗号資産(仮想通貨)で利益を上げた人の手法等を紹介しているブログは数ありますが、全てが真実であるとは限りません。
仮に真実だとしても、ブログの著者のやり方で必ず成功する訳ではないので、内容を鵜呑みにして大金をつぎ込むようなことは厳禁です。
また、Twitterにも共通して言えますが、個人が発信する情報にはどうしても偏りがあります。
一つの暗号資産(仮想通貨)ブログからだけでなく、なるべく多様なメディアから、客観的な情報を収集するよう心がけましょう。
全ての情報を信じるより自分の判断を大切にしよう
暗号資産(仮想通貨)の関する情報はTwitter・LINE・ブログだけでなく、様々なツールで様々な人が発信しています。
発信者の中には適当な情報を発信していたり、敢えて誘導するような内容を書いている人もいます。
暗号資産(仮想通貨)は実体がないことから初心者が慣れるには時間がかかることもあり、こういった悪意のある情報に騙されることもあります。
実際に詐欺事件も起きていますので、全ての情報を簡単に信じるのではなく、上昇の選別を行ったり、信頼できる書籍等で確認するという癖をつけましょう。
そして最後は、しっかりと自分で判断を下せるようになりましょう。
暗号資産(仮想通貨)の現在とこれから
暗号資産(仮想通貨)が流行って、これからどんどん市場が拡大していくと考えられます。
暗号資産(仮想通貨)自体は歴史が浅いものではありませんが、様々に取り上げられたことで一般の人も暗号資産(仮想通貨)に興味を持ち始めた人も多くいることで注目され始めました。
これから暗号資産(仮想通貨)市場が拡大していくことで、法整備もされていくでしょう。
まだまだ変革途中の暗号資産(仮想通貨)です。
噂や誤った情報に流されないで、しっかりとメディアリテラシ―を持ち対応していきましょう。
仮想通貨のリスク