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ストーリーハイライト
バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)とシュワブ米国配当株式ETF(SCHD)は、米国市場で最大かつ最も成功している配当株ETFの2つです。どちらも著名な投資会社が提供するETF(上場投資信託)で、優良配当株式の強力なポートフォリオを特徴としています。また、費用対効果の高い商品で知られる企業らしく、低コストの経費率を実現しています。
さらに素晴らしいことに、両方ともTipRanksのスマートスコアシステムによる「パーフェクト10」のETFスマートスコアを獲得しています。
どちらも投資家にとって有力な選択肢ですが、この直接比較ではどちらが優れているのでしょうか?
VYM ETFの戦略とは?
2006年に開始されたVYMは、低コストのインデックスファンド大手であるバンガードの人気配当株ETFで、運用資産総額は600億ドルを超えています。
バンガードによると、VYMは「配当利回りの高い企業普通株式の投資収益を測定する」指数に連動するとのことです。
SCHD ETFの戦略とは?
SCHDは2011年に設定され、運用資産総額は658億ドルで、VYMよりもやや大きくなっています。
スポンサーであるチャールズ・シュワブ (SCHW) によると、SCHDは「配当の質と持続可能性に焦点を当てた指数に連動する」としています。そしてSCHDは「財務比率に基づいて、同業他社と比較してファンダメンタルズが堅固であると判断された銘柄に投資する」としています。
VYMのポートフォリオの評価
VYMは538銘柄を保有しており、かなり分散されています。上位10銘柄で構成される割合は、わずか24.7%です。
以下は、TipRanksの保有ツールを使用した、VYMの上位10銘柄の概要です。
VYMのトップ10銘柄には、配当で知られるセクターの優良配当株が含まれています。ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、メルク(MRK)、アッヴィ(ABBV)、エネルギー大手のエクソンモービル(XOM)、金融大手のJPモルガン(JPM)などです。
しかし、VYMの最大の保有銘柄は半導体株のブロードコム(AVGO)です。 配当利回りがわずか1.3%のテック株がVYMのような高配当株ETFの最大の保有銘柄であるというのは奇妙に思えるかもしれませんが、ブロードコムはVYMにとって優れた保有銘柄であり、過小評価されている配当株です。
ブロードコムは過去13年間連続で配当を支払い、その額を増額してきました。さらに、過去10年間で驚異的な年率換算総リターン2,300%以上を創出し、VYMとその保有者に恩恵をもたらしています。
SCHDのポートフォリオの評価
SCHDはVYMほど分散化されていません。101銘柄の株式を保有しています。また、上位10銘柄でポートフォリオの40.7%を占めているため、より集中化されていますが、それでも妥当な数字です。
SCHDの上位10銘柄については、以下の表をご覧ください。
VYMと同様、SCHDはアルトリア(MO)、シェブロン(CVX)、ブリストル・マイヤーズ(BMY)など、実績のある優良配当株を多く保有しています。
最大の保有銘柄は、世界最大の資産運用会社のブラックロック(BLK)です。ブラックロックの配当利回りは1.9%で、配当株ETFの主要銘柄としては、やや場違いのように思えるかもしれませんが、それ自体が強力な配当銘柄です。ブラックロックは過去20年間配当を支払い、14年連続で配当額を増やしています。ブラックロックは過去10年間で、290%近い素晴らしいトータルリターンを記録しています。
パフォーマンス比較
この2つのETFは、長期的にわたりいずれも優れたパフォーマンスを上げています。
VYMは過去3年間(10月31日時点)で年率9%という好調なリターンを記録しており、同期間のSCHDの年率6.7%を上回っています。
さらに長期に目を向けると、VYMの過去5年間の年率換算リターンは10.8%と、好調です(10月31日現在)。しかし、SCHDは逆転し、過去5年間の年率換算リターンは12.7%とVYMを上回るパフォーマンスを達成しています。
VYMは過去10年間で9.9%のリターンを達成しています(10月31日現在)。SCHDは同期間において年率換算で11.5%のリターンを達成しており、VYMを上回っています。
過去3年間ではVYMの方がパフォーマンスが優れていますが、5年および10年というより長いスパンでのパフォーマンスを考慮すると、SCHDに軍配が上がります。
配当の比較
VYMは2.8%という堅実な配当利回りを誇り、これはS&P 500の現在の利回り1.4%の2倍です。
しかし、SCHDの配当利回りは3.4%とさらに高く、このカテゴリーではVYMを上回っています。
両方のETFは、配当支払いと増配において、優れた実績を誇っています。VYMは設定当初から17年連続で配当を支払い、過去13年間は毎年増配しています。一方、SCHDは12年連続で配当を支払い、設定当初から毎年増配しています。
両ファンドとも平均以上の配当を支払っており、配当を継続的に支払い、その規模を拡大してきたという長期にわたる実績がありますが、SCHDのより高い配当利回りが魅力的です。
コスト比較
注目すべきは、VYMとSCHDの経費率がどちらも0.06%と全く同じであることです。つまり、1万ドルをいずれかのファンドに投資した場合、投資家が負担する手数料は年間わずか6ドルということになります。
VYMやSCHDのような低コストETFを活用することが、長期的に資産を増やし、守っていくためのカギとなります。今後、ETFが毎年5%のリターンを生み出し、現在の経費率を維持すると仮定すると、いずれかのETFに投資した場合、今後10年間に支払う手数料はわずか77ドルとなります。
アナリストのVYM評価は?
TipRanksによれば、ウォール街のVYMのコンセンサス評価は「中立」です。これは、ポートフォリオで保有する各銘柄の過去3カ月間のコンセンサス評価に基づいており、「買い」651銘柄、「中立」370銘柄、「売り」54銘柄です。VYMの平均目標価格は157.49ドルで、今後12カ月で20.5%の上値余地を示唆しています。
アナリストのSCHD評価は?
SCHDのコンセンサス評価は「中立」で、これは保有201銘柄の過去3カ月間のコンセンサス評価に基づいており、「買い」104銘柄、「中立」85銘柄、「売り」12銘柄です。平均目標価格は33.49ドルで、今後12カ月で17.0%の上値余地を示唆しています。
結論
この2つの配当ETFには多くの共通点があります。運用資産額も類似しており、経費率も同一です。銘柄選択の違いはありますが、いずれも有名な優良配当銘柄で構成されたポートフォリオとなっています。 配当の安定した支払いと成長という優れた実績と平均以上の配当利回りを誇りますが、この2つのETFの差はわずかであり、現時点ではSCHDの利回り3.4%(VYMの2.8%に対して)の方が配当投資家にとってはより魅力的な選択肢となります。
さらに、両ETFは長年にわたり好調なパフォーマンスを維持してきましたが、近年はVYMがSCHDを上回るパフォーマンスを記録しています。しかし、過去5年および10年ではSCHDがVYMを上回るパフォーマンスを記録しており、長期パフォーマンスという観点ではSCHDが勝者であり、配当ETFのトップ同士の直接対決ではSCHDが総合的な勝者であるといえるでしょう。
本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、VYM vs. SCHD: Which Is the Better ETF for Dividend Investors?の原文翻訳を中心にまとめています。
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