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米国株の人気配当ETFでより良いものは?

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シュワブ米国配当株ETF(NYSEARCA:SCHD)とインベスコS&P500高配当・低ボラティリティETF(NYSEARCA:SPHD)は、米大手資産運用会社の2つの人気配当ETFです。SPHDの配当利回りは4.5%で、SCHDの配当利回り3.5%より高くなっています。しかし、他の主要な分野ではSCHDが優位とみられます。それでは、調べてみます。

SCHDとSPHD ETFの戦略とは?

SCHDのスポンサーであるチャールズ・シュワブ(NYSE:SCHW)によると、SCHDの「目標は、手数料・経費控除前のダウ・ジョーンズ米国配当100指数のトータルリターンに可能な限り忠実に追跡すること」です。SCHDは2011年に運用を開始し、運用資産は520億ドルに成長しました。

一方、インベスコ(NYSE:IVZ)によると、SPHDは「S&P500低ボラティリティ高配当指数」に投資しており、この指数は「歴史的に高い配当利回りと低いボラティリティを提供してきたS&P500指数の50の証券で構成」されています。SPHDは2012年にスタートし、以来30億ドルの運用資産を積み上げています。

2つのETFのポートフォリオを比較

SCHDは102銘柄に投資し、上位10銘柄でポートフォリオの41.3%を占めています。以下はSCHDの上位10銘柄の概要です。

一方、SPHDは51銘柄に投資し、上位10銘柄でポートフォリオの28.3%を占めています。以下はSPHDの保有上位10銘柄の概要です。

SCHDの方が保有銘柄数が多いのに対し、SPHDは上位10銘柄への集中度が低いため、どちらのETFもそれなりに分散投資を行っています。この2つの配当ETFが取るアプローチの違いは、上位保有銘柄を見ると明らかです。

SCHD、成長と配当がミックスされた配当銘柄を重視

SCHDは、半導体製造・販売のブロードコム(NYSE:AVGO)や米ホームセンター大手のホーム・デポ(NYSE:HD)などに見られるように、成長と配当がミックスされた配当銘柄を重視しています。

これらの銘柄は必ずしも配当利回りが高いわけではありませんが(ブロードコムの配当利回りは1.7%、ホーム・デポの配当利回りは2.4%)、配当支払いと株価上昇の組み合わせにより、長年にわたって大きなトータルリターンを生成してきました。例えば、ブロードコムは過去 10 年間で 2,629% という驚異的なトータルリターンを記録し、ホーム・デポは過去 10 年間で 453.3% という大きなリターンを記録しています。

SPHD、配当利回りは高いものの、成長見通しが低い銘柄に偏る

一方、SPHDは配当利回りは高いものの、成長見通しが低い銘柄に偏っており、その例としては、最大の保有銘柄であるベライゾン(NYSE:VZ)、2番目に大きな保有銘柄であるAT&T(NYSE:T)などの通信株、それからサイモン・プロパティ・グループ(NYSE:SPG)のような不動産投資信託(REIT)が挙げられます。ベライゾン、AT&T、サイモン・プロパティの配当利回りはそれぞれ6.8%、6.7%、5.1%と高いです。

TipRanksのスマートスコア・システムは、両ETFに同じレーティングを与えています。スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的株式スコアリング・システムです。これは、8つの主要市場要因に基づいて銘柄を1から10までのスコアで評価するものです。8点以上がアウトパフォームと評価されます。

両ETFとも、スマートスコアは「中立」相当

SCHDの上位10銘柄のうち8銘柄がアウトパフォーム相当のスマートスコア8以上であるのに対し、SPHDの上位10銘柄のうちアウトパフォーム相当のスマートスコアは1銘柄のみで、残りは「中立」相当の評価となっています。それにもかかわらず、両ETFの全体的な保有銘柄に基づくと、スマートスコアはそれぞれ10点満点中7点で「中立」に相当します。

SCHDとSPHDは健全な運用戦略を採用していますが、以下で詳しく説明するように、一方のETFの方が、長期的に強力なリターンをもたらしています。

パフォーマンスの比較

SCHDのポートフォリオは、成長と配当利回りをミックスした銘柄に焦点を当てており、長期的にSPHDのポートフォリオよりも優れたリターンを生成しています。12月31日現在、SCHDは年率9.5%の3年トータルリターンを生成しているのに対し、SPHDの同時期のトータルリターンは8.7%です。

3年で見た場合には大きな差ではありませんが、SCHD のリードは長期になるほど顕著になります。過去5年間(12月31日現在)では、SCHDの年率14.0%のリターンは、SPHDの年率7.0%の2倍です。

また、10年間では、SCHDの年率リターンの11.0%(12月31日現在)は、SPHDの年率リターン8.7%を上回っています。

手数料の差

SCHDはSPHDよりも優れたリターンを投資家に提供していますが、2つのETFの比較では、SCHDの方が圧倒的な差で手数料が低いです。SCHDの経費率はわずか0.06%と超低水準です。SPHDの経費率の0.30%は全般的には妥当ですが、今回の比較ではSCHDより大幅に高くなっています。

SCHDに10,000ドルを投資した場合、毎年6ドルの手数料を支払うことになりますが、SPHDに同額を投資した場合、30ドルの手数料を支払うことになります。

両ETFが今後年率5%のリターンを上げ、現在の経費率を維持すると仮定すると、上記のSCHDの投資家は10年間で77ドルの手数料を支払うことになり、SPHDの投資家は同じ期間で381ドルの手数料を支払うことになります。

アナリストによれば、SCHDは「買い」か?

ウォール街に目を向けると、TipRanksによれば、SCHD構成銘柄の過去3カ月間のアナリスト・コンセンサス評価は、51件の「買い」、42件の「中立」、9件の「売り」で、ETFのコンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標価格の80.77ドルは、今後12カ月で6.7%の上値余地を示唆しています。

アナリストによれば、SPHDは「買い」か?

SPHD 構成銘柄の過去3カ月間のアナリスト・コンセンサス評価は、33件の「買い」、16件の「中立」、2件の「売り」で、ETFのコンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標価格の44.56ドルは、今後12カ月で5.1%の上値余地を示唆しています。

結論

SCHDとSPHDは、どちらも長期的に投資家にプラスリターンをもたらしてきた堅実な配当ETFですが、ここでは明らかに勝者がいます。SPHDはSCHDよりも高い配当利回りを特徴としていますが、長期的にはSCHDは大幅に低い手数料で優れたトータルリターンを提供しており、投資家にとってより優れた選択肢となっています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、SCHD vs. SPHD: Which Dividend ETF is Better?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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