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通信大手のベライゾン:さえない第2四半期決算にもかかわらず、依然として堅実な配当株

ストーリーハイライト

米通信大手のベライゾン(VZ)は依然として堅実な配当株であり、配当を求める投資家に魅力的なリターンを提供しています。さえない第2四半期決算は投資家の信頼回復にとって後退となりましたが、強力な配当方針を支える重要な要素については、小幅ながら前進が見られました。

第2四半期決算:まちまちな内容と市場の冷淡な反応

一言で言えば、第2四半期決算はまちまちでした。売上高はアナリスト予想を下回り、最終利益はコンセンサス通りで、営業指標は予想を上回り、損益ガイダンスは据え置きでした。この組み合わせは最終的に投資家を失望させ、株価の6%下落につながりましたが、その後短期間で回復しています。

調整後1株当たり利益(EPS)は1.15ドルとなり、前期比で減少が続いています。実際、ベライゾンは2022年第2四半期以降、通信業界の様々な逆風に直面し、前年同期比で収益を伸ばすことができていません。このため、株価の伸びは近年S&P500指数(SPX)を大きく下回っています。

投資家、売上高に失望

今回、投資家を実に失望させたのは売上高です。売上高は328.0億ドルで、市場予想の330.5億ドルを下回り、前年同期比でわずか0.6%の増加にとどまりました。売上高が伸び悩んだ要因は、ワイヤレス機器(スマートフォン、タブレット、ルーター)の売上高が前年同期の53億ドルから50億ドルに減少したことです。

しかし、重要なポイントは、同四半期に新たに14万8,000人のポストペイド(料金後払い)電話顧客と39万1,000人のブロードバンド顧客を獲得したことです。また、固定無線アクセス(FWA)事業部門は、年間売上高20億ドルに達する勢いです。それにもかかわらず、ベライゾンはまだ全体として大きな成長を遂げていません。

重要な要素の純負債、キャッシュフロー、配当

ベライゾンの事業運営方針は、配当を通じて株主に報いる能力に大きく依存しています。したがって、投資家は同社のレバレッジ管理とキャッシュフローの改善を注意深く監視しています。

ベライゾンの負債総額は1,493億ドルで、5Gの大規模な拡張により過去5年間で40%増加しました。しかし、第2四半期の純無担保負債は1,228億ドルで、2024年年初より約40億ドル減少しました。レバレッジ(純有利子負債/EBITDA)も年初の2.6倍から2.5倍にわずかに改善しています。こうした小幅な改善にもかかわらず、支払利息は高金利状況を反映して、前年同期の13億ドル以下から17億ドルに急増しました。

フリーキャッシュフローの成長促進へ

通年の設備投資ガイダンスは、2023年の187億ドルから減少し、170億ドル~175億ドルに据え置かれました。この設備投資の削減により、フリーキャッシュフローの成長が促進されるはずです。2024年上半期のフリーキャッシュフローは前年同期比7%増の85億ドルで、今年の配当は確実です。

ベライゾンの配当利回りは6.4%、配当性向は57%で、特に米国30年債利回りの4.28%と比較すると魅力的です。フリーキャッシュフローは配当を十分にカバーしており、今後数年間の設備投資も控えめであることが予想されるため、インカム志向の投資家には朗報です。

ベライゾン株の保有が依然として理にかなっている理由

多くの投資家にとって、売上高が2024年に0.9%、2025年に1.8%しか伸びないと予想される銘柄に熱狂するのは難しいでしょう。ベライゾンのようなディフェンシブ・プレイは、退屈に見えるかもしれません。

それでも、第2四半期決算発表後の落ち込みにもかかわらず、ベライゾンの株価は過去12カ月で30%以上上昇しています。これは、キャッシュフロー創出の改善と債務削減へのシフトを示しており、投資家に魅力的な配当利回りを提供する同社の能力を強化しています。

投資家は長期的にベライゾン株の保有を考えるべきでしょう。事業の成長は遅いかもしれませんが、ベライゾンは、特に配当を通じて、長期的にプラスのリターンを提供することができます。

アナリストによれば、ベライゾン株は「買い」か?

ウォール街アナリストのベライゾン株に対する見方はやや分かれています。TipRanksによれば、コンセンサス評価は「中程度の買い」で、これは過去3カ月間のアナリストレーティングの「買い」7人、「中立」7人に基づいています。平均目標株価は45.68ドルで、今後12カ月で11.8%の上値余地を示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Verizon Stock (NYSE:VZ): Still a Dividend Powerhouse Despite Q2 Setbacks原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
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