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今年高パフォーマンスの2大テック株ETFの戦い:勝者は?

ストーリーハイライト

長らくテック株ETF(上場投資信託)の代名詞とされてきた「インベスコQQQトラスト(NASDAQ:QQQ)」は、驚異的な1年となりました。しかし、あまり話題になっていないテック株ETFである「SPDR NYSEテクノロジーETF(NYSEARCA:XNTK)」は、2023年にQQQをアウトパフォームしました。投資家にとって今後、これら2つのトップテックETFのうち、どちらがより良い選択となるでしょうか?

今年はナスダック市場にとって素晴らしい年となり、ナスダック100指数(NDX)に投資成果が連動するように設計されているインベスコ QQQトラストは、年初来で55.3%の急上昇を記録しています。

2023年は、XNTKのパフォーマンスがQQQを上回る

QQQの好調ぶりが話題になっていますが、2023年に別のテクノロジー指数ETFがQQQを上回ったのをご存知ですか?ニューヨーク証券取引所(NYSE)のテクノロジー・セクターを代表するSPDR NYSEテクノロジーETFは、それほど大きく取り上げられてはいませんが、年初来で70.9%も上昇しています。

これら2つの急上昇しているテック株ETFのうち、今後投資家のポートフォリオに組み込む価値があるのはどちらでしょうか?その答えを検討してみます。

QQQ ETFの戦略は?

QQQはナスダック100指数に連動した投資成果を目指しており、投資家に「ナスダックに上場する非金融大手100社の業績へのアクセス」を提供しています。

広く保有されているこのETFは1999年に運用を開始し、現在では運用資産が2,289億ドルと、株式市場で最大級のETFとなっています。

QQQ は四半期ごとにリバランスされ、毎年再構成されます。

XNTK ETFの戦略は?

XNTKは、手数料および費用控除前において、NYSEテクノロジー指数(米国の主要なテクノロジー関連企業35社で構成される指数)のトータルリターン・パフォーマンスに概ね対応する投資成果を提供することを目指します。

この指数には、情報技術セクターの企業と一般消費財セクターのテクノロジー関連銘柄が含まれます。

他の多くのETFと異なり、XNTKは年1回のリバランスで均等配分されます。このため、後述するように、他の多くの人気テック株ETF のように、一握りのメガキャップ・テック銘柄に支配されることはありません。

XNTKは2000年に設定され、QQQよりはるかに小規模で、運用資産は6億5,220万ドルです。

ポートフォリオの比較

QQQは101銘柄を保有しており、上位10銘柄でETFの45.7%を占めています。

以下は、TipRanksの保有銘柄ツールを使ったQQQの上位10銘柄の概要です。

一方、XNTKは37銘柄を保有しているだけですが、上位10銘柄の構成比は30.1%とQQQより低くなっています。

以下は、TipRanksの保有銘柄ツールを使ったXNTKの保有上位10銘柄の概要です。

ご覧の通り、QQQはアップル(NASDAQ:AAPL)やマイクロソフト(NASDAQ:MSFT)などのメガキャップ・テック株や、アマゾン(NASDAQ:AMZN)、メタ・プラットフォームズ(NASDAQ:META)、テスラ(NASDAQ:TSLA)、エヌビディア(NASDAQ:NVDA)、アルファベット(NASDAQ:GOOG)(NASDAQ:GOOGL)などの「マグニフィセント・セブン」メンバーが大きなポジションを維持しています。

XNTKは、これらのトップテック銘柄の一部も保有していますが、全体に占める割合は低くなっています。例えば、アップルとマイクロソフトはQQQのポートフォリオの17.9%を占めていますが、XNTKのポートフォリオではわずか5.4%です。

XNTK、半導体企業が上位保有銘柄、ウーバーやアリババなども保有

XNTKの上位保有銘柄は、ブロードコム(NASDAQ:AVGO)を筆頭に、マイクロン(NASDAQ:MU)、ラムリサーチ(NASDAQ:LRCX)、インテル(NASDAQ:INTC)、アプライド・マテリアルズ(NASDAQ:AMAT)など、半導体企業が中心です。

しかし、XNTKは半導体銘柄に限らず、ウーバー(NYSE:UBER)、ネットフリックス(NASDAQ:NFLX)、ブッキング・ホールディングス(NASDAQ:BKNG)などの銘柄も保有しています。また、アリババ(NYSE:BABA)やPDDホールディングス(NASDAQ:PDD)のような中国の主要テック株へのエクスポージャーも投資家に提供しています。

両ETFともスマートスコアは良好

なお、両ETFとも、主要構成銘柄のTipRanksスマートスコアは良好です。スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的株式スコアリング・システムです。8つの市場主要要因に基づき、銘柄に1から10までのスコアを与えます。8点以上がアウトパフォームとなります。QQQの上位10銘柄のうち7銘柄がアウトパフォーム相当のスマートスコア8以上であり、XNTKも同様です。そして、ETFとしてのスマートスコアは、両ETFとも8となっています。

結論として、両ETFは若干異なるように見えますが、スマートスコアは両者を高く評価しています。どちらにも、最近市場を上昇させた革新的な企業が多く含まれており、投資家に長期的な成長テーマへのエクスポージャーを提供します。

パフォーマンス

両ETFは2023年に驚異的なパフォーマンスを記録しており、長期的にも強力なパフォーマーと考えられます。

11月30日現在、QQQの過去3年間のリターンは年率9.7%です。過去5年間のリターンは18.9%、過去10年間のリターンは17.4%です。

XNTKを見ると、過去3年間の年率リターンが5.8%でQQQを下回っていますが、過去5年間の年率リターンは19.3%でQQQをわずかに上回っています。過去10年間では、同じ17.4%のリターンでQQQに匹敵しています。

手数料の比較

投資家がETFを比較すべきもう一つの分野は、手数料です。この場合、QQQはXNTKより少し割安です。QQQの経費率は0.20%ですが、XNTKは0.35%です。

これは、投資家がQQQに1万ドル投資する場合、毎年20ドル支払うのに対し、XNTKに1万ドル投資する場合、毎年35ドル支払うことを意味します。

アナリストによれば、QQQは「買い」か?

ウォール街に目を向けると、QQQ構成銘柄に対する過去3カ月間のアナリストのコンセンサス評価は、「買い」が88件、「中立」が14件、「売り」が0件で、QQQ自体のコンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標価格の434.11ドルは、今後12カ月で5.8%の上値余地を示唆しています。

アナリストによれば、XNTKは「買い」か?

XNTKの構成銘柄に対する過去3カ月間のコンセンサス評価は、「買い」が31件、「中立」が6件、「売り」が0件で、XNTK自体のコンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標価格の171.34ドルは、今後12カ月で4.0%の上値余地を示唆しています。

投資家が押さえておくべきテック株ETFは?

これらのテック株ETFはどちらも、世界トップクラスのテック企業の多くから成る、強力で評価の高いポートフォリオを特徴としています。どちらも過去10年間、投資家に優れたリターンを創出してきた強力なパフォーマーです。QQQがXNTKより割安であることが決定的な違いですが、全体から見ればどちらも妥当な経費率となっています。

実際のところ、どちらも優れたテックETFであり、経費率の低さではQQQがやや有利ですが、投資家は両方を保有するのが得策でしょう。QQQを保有することで、投資家はマグニフィセント・セブンを多く含むナスダック100指数へのエクスポージャーを得ることができます。XNTKは、同様のテーマを投資家に提供しますが、趣が異なり、QQQにはない半導体やウーバー、アリババなどの銘柄へのエクスポージャーがあります。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、QQQ vs. XNTK: Battle of Two Top Tech ETFs原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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