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市場を席巻する半導体ETF、長期的にも市場を上回るパフォーマンス

ストーリーハイライト

投資家がAI(人工知能)の長期的な可能性に注目していることから、半導体株が市場を席巻しており、ヴァンエック半導体ETF (NASDAQ:SMH)は過去1年間で67.9%上昇しています。

そして、SMHのパフォーマンスは一過性のものではありません。このETFは長い間、市場を打ち負かす素晴らしい結果を出してきました。アナリストは、ヴァンエックが提供するこの運用資産146億ドルのETFを、その強力な長期パフォーマンス、アウトパフォーム相当のスマートスコアを持つトップ半導体銘柄の集中ポートフォリオ、および半導体業界の長期的な成長見通しに基づいて、強気で評価しています。

SMH ETFの戦略とは?

ヴァンエック半導体ETFについてヴァンエックは、「常に進化し続けるこのセクターにおいて、個々の銘柄の勝者を選ぼうとするのではなく、半導体の設計・製造から製造機械に至る業界のバリューチェーン全体にまたがる、流動性の高い米国上場半導体企業の上位25社へのエクスポージャーを提供します」と説明しています。

長期的な成長可能性

最近のAIの進歩は、半導体株に対する投資家の興奮に火をつけました。ドイツ銀行リサーチは、AI半導体市場は2027年までに1,194億ドルに達すると予測しています。

同リサーチは、次のように述べています。「データの増加、機械学習、スマートデバイスのような強力なトレンドは、AI導入が様々な業界に確実に広がっています。エヌビディア(NASDAQ:NVDA)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(NASDAQ:AMD)、マーベル・テクノロジー(NASDAQ:MRVL)、ブロードコム(NASDAQ:AVGO)などのAIテック大手は、依然として大きな競争優位性を保持しています。これらの企業は、自動運転車やヘルスケア・アプリケーションなどの開発を通じて、AIの機会を拡大できる立場にあり続けます」

興味深いことに、同リサーチは、SMHのようなETFを通じてこの分野にアプローチする正当な理由を示しています。1つの企業に依存するのではなく、「ソリューションの分散化が、より健全な成長経路を提供する」と示唆しています。

SMHのポートフォリオ

半導体業界の方向性に賭けるSMHのポートフォリオは、特に分散化されているわけではありません。保有銘柄数は25に過ぎず、上位10銘柄でETFの72.3%を占めています。しかし、AI革命をリードするトップ半導体銘柄群へのターゲット・エクスポージャーを望むなら、SMHはその多くを提供します。

以下は、TipRanksの保有銘柄ツールを使ったSMHの上位10銘柄の概要です。

エヌビディアは、過去1年間で220%以上急騰し、現在ではETFの4分の1を占めています。このエヌビディアやこのリストの他の多くの企業の半導体を製造している台湾積体電路製造(TSMC、NYSE:TSM)も、9.7%のウェイトを占める重要な保有銘柄です。

当ETFの戦略は、半導体のバリューチェーン全体に投資することであり、そのため、半導体製造プロセスで使用される複雑な機械や装置を製造、販売するラム・リサーチ(NASDAQ:LRCX)、アプライド・マテリアルズ(NASDAQ:AMAT)、ASMLホールディングN.V.(NASDAQ:ASML)などにも投資しています。

その他の注目すべき上位10銘柄には、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、ブロードコム、インテル(NASDAQ:INTC)といった半導体関連銘柄が含まれています。

上位10銘柄のうち9銘柄が、アウトパフォーム相当のスマートスコア

これらの銘柄は強力なスマートスコアを備えています。スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的株式スコアリング・システムです。8つの市場主要要因に基づき、銘柄を1から10までのスコアで評価します。8以上がアウトパフォーム評価となります。驚くべきことに、SMHの上位10銘柄のうち9銘柄が、アウトパフォーム相当のスマートスコア8以上を獲得しています。

SMH自体も、アウトパフォーム相当のETFスマートスコア8を誇っています。

きらめくパフォーマンス

半導体は昨年、投資家の注目を集め、SMHは過去1年間で67.9%上昇しましたが、長期にわたってもスター・パフォーマーであったことが重要です。

半導体業界は循環的であるとの評判があり、確かに浮き沈みはありますが(例えば、テック株全体が弱気相場に入った2022年には、当ETFは33.5%の損失を計上しました)、長期投資家は長年にわたって素晴らしい成果で報いられてきました。

1月31日現在、SMHは3年間で18.8%の年率リターンを創出しています。これだけでも目覚ましいパフォーマンスですが、32.1%という驚異的な5年間の年率リターンをあげています。

驚異的な設定来リターン

さらに、SMHは、過去10年間の年率換算リターンが26.1%、2011年の設定来の年率換算リターンが24.7%という驚異的な数字を記録しています。

これらの結果は、より広範なS&P500指数(SPX)や、テック中心のナスダック100指数(NDX)のパフォーマンスを凌駕しています。

例えば、1月31日現在では、バンガードS&P500ETF(NYSEARCA:VOO)のリターンは、3年ベースで年率11.7%、5年ベースで14.2%、10年ベースで12.6%です。これらは素晴らしいリターンですが、SMHのリターンには及びません。

一方、1月31日現在、ナスダック100指数に連動する投資成果を目指すインベスコQQQ トラスト (NASDAQ:QQQ)のリターンは、3年ベースで10.6%、5年ベースで20.7%、10年ベースで18.1%です。繰り返しますが、これらは素晴らしいリターンですが、SMHの成績にはまだ及びません。

長期保有者に大きなリターンをもたらす

累積ベースで見ると、SMHは長期保有者に信じられないほどの富をもたらしました。10年前に10,000ドルをこのETFに投入した投資家は、10年後(1月31日現在)ほどで105,000ドル以上の投資価値を持つことになります。2011年12月の設立時にSMHに10,000ドルを投じた投資家は、1月31日現在で160,000ドル近くの投資価値があることになります。

SMHの経費率は?

SMHの経費率は0.35%で、投資家は10,000ドルの投資に対して毎年35ドルを支払うことになります。これは決して安くはありませんが、中程度であり、過剰に高いというわけでもありません。SMHの経費率は、他の2大半導体ETFであるiシェアーズ半導体ETF(NASDAQ:SOXX)とSPDR S&P半導体ETF(NYSEARCA:XSD)と同じであり、これらのETFが同じ投資資金を奪い合うのは偶然ではないでしょう。

アナリストによると、SMH は「買い」?

ウォール街に目を向けると、SMHのコンセンサス評価は「強気買い」です。これはポートフォリオで保有する各銘柄のコンセンサス評価に基づいています。保有26銘柄のうち、「買い」が21件、「中立」が5件です。SMHの平均目標価格の211.61ドルは、今後12カ月で4.9%の上値余地を示唆しています。

今後の見通し

SMHは過去1年は非常に好調でしたが、良好なパフォーマンスはそれ以前にもさかのぼります。過去3年、5年、10年と、多少の変動はあったものの、長期的にはS&P500指数とナスダック100指数の両方を大きく上回ってきました。

SMHはまた、素晴らしいスマートスコアを持つトップ半導体銘柄の強力なポートフォリオです。半導体産業は長期的に大きな可能性を秘めており、このテーマ集中型ETFは、半導体産業へのエクスポージャーを得る効果的な方法です。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、SMH: This Semiconductor ETF Is Taking the Market by Storm原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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