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プロクター・アンド・ギャンブル株:安定配当で退職者に好適

ストーリーハイライト

プロクター・アンド・ギャンブル (NYSE:PG)株は、他の多くの株式よりボラティリティが低く、そして同社は生活必需品を販売しています。その上、配当を安定的に出しており、退職を控え配当を重視している投資家には大きな可能性があります。

すべての投資家が株式市場をアウトパフォームしたいと考えているわけではありません。平均的な投資よりも、キャッシュフローがしっかりとしていて安定性の高い資産への投資を好む人もいます。

配当実績に加え、市場の調整局面でも株価は安定的に推移

投資家は定年退職が近づくにつれ、このようなタイプの銘柄を積み立てる傾向があります。社会保障、配当収入、その他の受動的な収入源は、前もって計画を立てれば、生活費を賄うのに役立ちます。プロクター・アンド・ギャンブル株は、市場の調整局面でも比較的安定しており、退職後を見据えた銘柄として有望とみられます。

多くの成長株やパンデミック人気株が暴落した2022年でも、プロクター・アンド・ギャンブル株の下落は10%弱にとどまっていました。そして、過去5年間で60%も上昇しています。

景気低迷時の回復力

プロクター・アンド・ギャンブルは、ホームケア製品に欠かせない数多くのブランドを展開しています。洗濯、ひげそり、ベビーケア、キッチンでの食べこぼしの掃除、その他の必需品に、多くの人が同社の製品を使用しています。

日本でも、紙おむつの「パンパース」、衣料用洗剤の「アリエール」「ボールド」、エアケア製品の「ファブリーズ」、ひげそりの「ジレット」、ヘアケア製品の「パンテーン」、化粧品の「SK-II」などがよく知られています。

プロクター・アンド・ギャンブルは、多くの企業がパンデミック後に業績が一時的に下降した2022年を含め、ほとんどの年で前年比1桁台の売上高成長率を報告しています。利益も毎年増加する傾向にありますが、直近の2024年度第2四半期(2023年10-12月期)は、ジレット関連の減損費用計上などで、希薄化後の1株当たり純利益は前年同期比12%減の1.4ドルとなりました。

優れた配当の歴史

配当株投資家は高い利回りと安定した支払いを重視します。プロクター・アンド・ギャンブル株は現在2.33%の配当利回りを提供しており、61.6%の配当性向は、同社が配当を引き上げる余地があることを示唆しています。

プロクター・アンド・ギャンブルは毎年増配しており、67年連続で増配していますが、最近の配当の伸びは緩やかです。例えば、同社は2023年に四半期配当を1株当たり0.9133ドルから0.9407ドルに引き上げ、前年比3.0%増となりました。同社は4月に再び配当を引き上げる予定です。

同社の連続増配記録は素晴らしいものですが、配当実績はさらに優れています。同社は133年連続で配当を支払っています。この歴史に匹敵する配当銘柄はほとんどありません。

より高い安定性

プロクター・アンド・ギャンブル株は現在、PER(株価収益率)27倍で取引されており、売上高と利益の成長率は定期的に1桁台です。バリュエーション指標は重要ですが、投資家は株式のベータ値の0.43も考慮すべきです。

ベータは、ベンチマークと比較した株式のボラティリティを表します。S&P 500 指数(SPX) のベータは1.00で、市場パフォーマンスのバロメーターです。ベータが低いほど、株価の劇的な変動が少ないことを意味します。ボラティリティが低いということは、株価が上昇している強気相場では役に立ちませんが、多くの銘柄が下落する弱気相場では役に立ちます。

忍耐強い投資家は、プロクター・アンド・ギャンブル株のバリュエーションが少し下がるのを待つのがよいでしょう。同社のPER27倍は割高に見えますが、長期投資家にとってはキャッシュフローを生み出す堅実な資産です。同社の配当方針と十分な配当性向は、安定が続くことを示唆しています。

アナリストによれば、プロクター・アンド・ギャンブル株は「買い」か?

TipRanksによれば、プロクター・アンド・ギャンブルの過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が16人、「中立」が5人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価の169.60ドルは、今後12カ月で4.5%の上値余地を示唆しています。

結論

プロクター・アンド・ギャンブル株は、退職を視野に入れ、安定的キャッシュフロー獲得を目指す投資家にとって魅力的な長期投資機会と考えられます。配当は、生活費を賄うのに役立ちますし、株式に再投資もできます。

なお、バリュエーションが高くなっているので、より良い取引を求める投資家は、株価が少し下がるのを待つのがよいかもしれません。

プロクター・アンド・ギャンブル株は、市場平均を大きく上回ることはないでしょうし、ストレスの少ない「退屈な」銘柄です。しかし、同社の素晴らしい配当実績と良好な財務状況は、増配が長期間続くことを示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Procter & Gamble Stock (NYSE:PG): Retire with Stable Dividends原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
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