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バフェット銘柄のオクシデンタル・ペトロリアムは今「買い」か?

ストーリーハイライト

エネルギー優良銘柄のオクシデンタル・ペトロリアムは、エネルギーセクターへのエクスポージャーを求める投資家にとって堅実な選択肢であると考えられます。分散された事業展開と大型買収により、市場サイクル全般で良好なパフォーマンスを発揮するとみられます。

オクシデンタル・ペトロリアム(Occidental Petroleum, NYSE:OXY)は、著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK.B)のポートフォリオに含まれます。バークシャーはオクシデンタル株を2億4,800万株保有しており、これは同社の発行済み株式の28%を占め、かなり大きな比率です。

今後に様々なカタリスト

このバフェット銘柄は2024年5月に「買い」であると考えられます。これは、オクシデンタルの米中堅石油・ガス生産会社クラウンロックの買収、化学事業の拡大、低炭素プラットフォームの大きな可能性によるものです。

バークシャーは2020年以降、オクシデンタル・ペトロリアムへの投資を増やしており、現在その価値は約160億ドルに達しています。オクシデンタルはバークシャーの株式ポートフォリオの4.4%を占め、2024年には最大のポートフォリオ企業のひとつになっています。

オクシデンタル・ペトロリアムの概要

オクシデンタル・ペトロリアムは、石油と天然ガスの探査、生産に従事しています。主に以下の3つの事業セグメントがあります。

  • 石油・ガス:石油・コンデンセート(天然ガスに含まれる液体炭化水素)、天然ガス液、天然ガスの探鉱、開発、生産
  • 化学:基礎化学品およびビニールの製造・販売
  • ミッドストリーム(中間部門)・マーケティング:石油、コンデンセート、天然ガス液、天然ガス、電力などの収集、加工、輸送、貯蔵

2024年第1四半期の業績は?

第1四半期の調整後EPS(1株当たり利益)は0.63ドルで、アナリスト予想の0.58ドルを上回りました。売上高は前年同期比12.7%減の62億ドルでした。同期に7億ドルのフリーキャッシュフローを創出し、期末時点では使途自由のキャッシュ13億ドルを保有しています。

第2四半期の総生産量は日量123万~127万BOE(石油換算バレル)の見込みで、第1四半期の日量117万BOEを上回ります。第2四半期の生産量ガイダンスの中間値は、2021年以降、四半期ベースで最高の生産量となります。

投資家は、石油・ガス株は景気循環株であり、収益は非常に変動しやすいエネルギー価格に左右されることに留意する必要があります。原油価格が上昇すれば、エネルギー株の収益は大幅に上昇することを示唆しています。オクシデンタル・ペトロリアムを含むいくつかのエネルギー企業は、価格上昇により2022年に過去最高益を計上しました。

オクシデンタル・ペトロリアムの大型買収

2023年12月、オクシデンタル・ペトロリアムは、現金と株式の組み合わせにより、クラウンロックを120億ドルで買収する計画を明らかにしました。クラウンロックは、シェール資源が豊かなパーミアン盆地の中心部に資産を保有しています。この買収により、パーミアン盆地におけるオクシデンタルのプレゼンスはさらに強化されるとみられます。

オクシデンタル・ペトロリアムは、原油価格が1バレルあたり平均70ドルと仮定した場合、この買収によりフリーキャッシュフローに10億ドル追加されると見込んでいます。現在、原油価格は80ドル前後で推移しているため、フリーキャッシュフローへの追加は11億ドル以上となり、オクシデンタル・ペトロリアムにとって大きな前進となるはずです。

化学事業は重要な推進力

前述の通り、オクシデンタル・ペトロリアムには化学事業部門があり、これによって日々の原油価格の変動に伴う収益変動の一部を相殺することができます。同社はこの部門の生産能力を拡大し続けているため、安定したキャッシュフローを創出し始めています。

低炭素プラットフォーム

さらに、オクシデンタル・ペトロリアムは、低炭素エネルギー・ソリューション・プラットフォームを構築しています。2024年に6億ドルを投じてテキサス州に直接空気回収(DAC)プラントを建設し、2025年半ばの操業開始を目指しています。DACプラントは毎年50万トンの炭素排出を回収する予定で、商業化も可能です。

オクシデンタル・ペトロリアムは10億ドル以上を投じて、2023年にDAC技術を支えるカーボン・エンジニアリング社を買収しました。炭素回収事業は、今後数十年の間に大きな売上高と利益をもたらす可能性があります。実際、オクシデンタルは、炭素回収事業からの収益が、長期的には石油・ガス事業と同程度になると予想しています。

負債は懸念材料か?

オクシデンタル・ペトロリアムの第1四半期末の長期債務は190億ドルでした。クラウンロック買収が完了すれば、この数字は290億ドルに増加する可能性があります。しかし同社は、45億ドルから60億ドル相当の資産売却を目指す売却プログラムを発表しました。オクシデンタルは150億ドルの元本負債水準の維持を目指しているため、売却資金はバランスシートのレバレッジ解消に充てられる予定です。

2024年第1四半期の支払利息は2億8,400万ドルで、これは同社の7億ドルのフリーキャッシュフローを考えると、容易に返済可能です。さらに、長期有利子負債対EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)倍率は1.4倍で、それほど高くはありません。

オクシデンタル・ペトロリアム株の目標株価は?

TipRanksによれば、オクシデンタル・ペトロリアム株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が2人、「中立」が12人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価は71.69ドルで、今後12カ月で14.1%の上値余地を示唆しています。

結論

オクシデンタル・ペトロリアムの第1四半期の利益とキャッシュフローは、原油・天然ガス価格の下落により打撃を受けました。しかし、同社には複数のカタリストがあり、株主への利益還元につながるはずです。非石油事業の拡大可能性を考えると、オクシデンタル・ペトロリアム株はエネルギーセクターへのエクスポージャーを得たい人にとって、優れた投資選択であると考えられます。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Occidental Petroleum (NYSE:OXY): Is This Buffett Stock a Buy Now?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
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