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ナイキ株は勢いを取り戻せるのか?アナリストは様々な見解

ストーリーハイライト

ナイキの株価は、競争激化の中での売上高の伸び悩み、イノベーション不足により、過去1年間は市場全体に比べて低迷しています。ウォール街のアナリストは、ナイキの成長の可能性について様々な見解を示しています。

アスレチック・シューズとアパレルの大手ナイキ(NYSE:NKE)の株価は、過去1年間で25%近く下落し、広範な市場に遅れをとっています。同社は、革新的な商品の欠如により、新興プレーヤーや既存のライバルに市場シェアを奪われています。ウォール街のナイキ株に対する見方は分かれています。一部のアナリストは、同社が失った活力を取り戻すだろうと考えています。しかし、マクロ的な圧力や競争の激化など、いくつかの短期的な逆風を理由に慎重な見方をするアナリストもいます。

同業他社に遅れをとるナイキ

3月にナイキは、2024年度第3四半期(2023年12月~2024年2月期)の好業績を発表しました。欧州・中東・アフリカ部門の売上高は3%減少しましたが、中国の売上高は5%増加しました。

しかし、投資家はナイキのガイダンスに失望しました。同社は2024年度の通期売上高を約1%増と予想し、25年度上半期の売上高は1桁台前半の減少になると警告しました。

オン、ホカ、ニューバランス、ルルレモンなどが革新的製品を投入

冴えない見通しは、オンホールディング、ホカ(デッカーズ・アウトドア(DECK)が所有)、ニューバランス、ルルレモン(LULU)が投入している革新的な製品との競争激化の影響を反映しています。これらの企業は、快適なアスレジャー製品(スポーツウェアと普段着の要素を兼ね備えたファッション製品)を求める顧客のニーズに対応しています。

実際、ライバルのアディダス(ADDYY)は最近、カジュアルなスタイルで高品質の素材を使用した「テラス」スニーカーの需要に牽引され、好調な2024年第1四半期決算を発表しました。

「もっとスピードを上げなければならない」

ナイキは、消費者ニーズの変化に対応する必要があると認識しています。マシュー・フレンド最高財務責任者(CFO)は2024年度第3四半期の決算説明会で、「ナイキはもっとスピードを上げなければならない」と認めました。これを受け、同社は複数年にわたるイノベーション・サイクルを加速させています。

ナイキ株に対するアナリストの見解の相違

4月9日、パイパー・サンドラーのアナリスト、Abbie Zvejnieks氏は、ナイキ株の目標株価を98ドルとし、「中立」レーティングを繰り返しました。米国のZ世代6,000人以上を対象とした調査結果を受け、アナリストはナイキがアパレル、アスレチックアパレル、フットウェア、アスレチックフットウェアのすべてにおいて引き続き人気No.1のブランドであると指摘しています。とはいえ、パイパー・サンドラーは、ナイキのブランド全体のマインドシェア(商品や企業に対する消費者の認知度や人気の度合いを表す用語)の弱さも指摘しています。

特に、ナイキのフットウェアカテゴリーのマインドシェアは前年比で190ベーシス・ポイント(bps)低下しており、2023年秋からだと225bps低下しました。同様に、ナイキのアパレルのマインドシェアも前四半期比で70bps低下しています。

マインドシェアの低下はナイキの製品革新の遅れを反映

また、アスレチックフットウェアでは、ホカ、オンランニング、ニューバランスなどのブランドがシェアを獲得したため、ナイキブランドのマインドシェアは10代の高所得層で前四半期比330bps低下し、前年比だと510bps低下しました。Zvejnieks氏は、こうしたシェア低下は、ナイキの製品革新の遅れを反映していると考えています。

Zvejnieks氏の慎重なスタンスとは対照的に、バンク・オブ・アメリカのアナリスト、Lorraine Hutchinson氏は、ナイキ株を「中立」から「買い」に格上げし、目標株価を110ドルから113ドルに引き上げました。同アナリストは、コンセンサス予想は底打ちしつつあり、達成可能と指摘しています。同氏は、ナイキがビジネス変革のために「大胆な」ステップを踏んでいることを強調しています。

Hutchinson氏は、来るオリンピック、ナイキのインベスター・デー、そして経営陣の継続的な再編をナイキ株の潜在的カタリストと見ています。

ウォール街の見方は?

TipRanksによれば、ナイキ株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が15人、「中立」が13人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価の111.92ドルは、今後12カ月で18.4%の上値余地を示唆しています。

結論

ナイキにとっては、イノベーションの欠如、競争の激化、そして継続的なマクロ圧力が業績の重荷となっています。ウォール街は、目先の圧力を考慮し、ナイキ株に関して楽観的な見方をしつつ、慎重な姿勢を取っています。とはいえ、複数のアナリストは、同社が復活させたイノベーションへの注力と継続的なリストラ努力によって立ち直ると見ています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Nike Stock (NYSE:NKE): Will the Footwear Giant Regain its Mojo?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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