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有望な中型株ETFに注目:今後ビッグテックのリターンを上回る可能性

ストーリーハイライト

ビッグテック株が近年好調なのは誰もが知るところです。しかし、この流れはそろそろ終焉を迎える可能性があり、投資家は他の魅力的な選択肢にも目を向け始めています。その好例が、「インベスコS&P中型株クオリティETF」(Invesco S&P MidCap Quality ETF (NYSEARCA:XMHQ)が投資対象としている、質の高いミッドキャップ(中型株)です。

インベスコ (NYSE:IVZ) が運用する総資産44億ドルのこのETFは、過去3年、5年の実績が非常に優れています。また、現在はあまり知られていないものの、市場の勝者としての地位を静かに確立しつつある多様な銘柄群へのエクスポージャーを投資家に提供します。

投資手法

ETFスポンサーのインベスコによると、XMHQは「S&Pミッドキャップ400クオリティ・インデックス」に連動する投資成果を目指します。同インデックスは「修正時価総額加重インデックスで、S&Pミッドキャップ400インデックスの構成銘柄のうち、3つの独自ファクターに基づいて計算されたクオリティスコアの高い約80銘柄で構成されています」。

XMHQでは、企業が「資産と財務を慎重に活用し、競合他社よりも高い売上高とキャッシュフローを上げている」かどうかを、ハイクオリティの定義としています。

3つのファクターを考慮し、80銘柄に投資

XMHQは、以下の3つのファクターを考慮して銘柄群を構成しています。各企業のROE(自己資本利益率)、収益の質に関する指標(売上高回転率等)、財務レバレッジ比率です。

XMHQはこの3つのファクターを使って、S&P 400ミッドキャップ指数の各銘柄のクオリティスコアを作成し、上位80銘柄に投資します。

これらの80銘柄は、クオリティスコアと時価総額を乗じて加重され、スコアの高い銘柄に「相対的に大きなウェイト」が割り当てられます。同ETFに含まれるミッドキャップ株の時価総額は現在、30億ドルから201億ドルの範囲となっています。このように投資プロセスはやや複雑ですが、次のセクションで実際にどのように運用されているかを見てみましょう。

市場を上回るパフォーマンス

XMHQの質の高いミッドキャップ株への投資戦略が、長期的に優れたリターンを生み出してきました。 2月29日時点で、3年年率リターンは13.5%、5年年率リターンはさらに高い17.3%となっています。XMHQのリターンは、いずれの期間においても市場平均を上回っています。比較のために、同じ日付でのバンガードS&P 500 ETF (NYSEARCA:VOO)の過去3年年率リターンは11.9%、過去5年年率リターンは14.7%となっています。

過去10年では、XMHQのリターンはVOOのそれに近いものとなっています。XMHQは過去10年間で12.5%の年率リターンをもたらし、VOOは12.7%の年率リターンとなっています。

質の高い銘柄群

XMHQは分散性に優れ、銘柄集中度が非常に低くなっています。同ETFは77銘柄を保有しており、上位10銘柄でも資産全体のわずか28.3%を占めるに留まります。以下は、TipRanksの保有銘柄分析ツールをもとにしたXMHQの上位10銘柄の概要です。

一部の投資家や市場関係者は、「マグニフィセント・セブン」やメガキャップ・テック株が、市場の注目を大きく集めていることを非難しています。確かにこれらの銘柄は好調を維持していますが、その他にも多くの機会があり、静かに素晴らしいリターンを生み出している様々な銘柄があります。XMHQは、そのような銘柄群への投資機会を提供してくれます。

このETFには、多くの投資家の注目を集めていないものの、過去1年に素晴らしいリターンを上げた銘柄が多く含まれています。例えば、トップ銘柄である家具・家庭用品のウィリアムズ・ソノマ(NYSE:WSM)は、過去1年で驚異的な171.4%の上昇を記録しています。同様に、上位10位に入るエナジードリンクメーカーのセルシウス・ホールディングス (NASDAQ:CELH) も、過去1年間で179.8%という素晴らしいリターンを上げています。

中型株、メガキャップ株より今後の成長余地大きく

このような質の高い中型株の魅力は、その規模からして、しばしば成長過程の初期段階にあり、メガキャップ株よりも今後の成長余地が大きい可能性があることです。

これはあくまで例ですが、時価総額200億ドル以下の企業であるセルシウス・ホールディングスのような銘柄が、今後数年で時価総額が倍増する可能性は、時価総額3兆ドルのアップル(NASDAQ:AAPL)や2兆ドル超のマイクロソフト(NASDAQ:MSFT)よりも高いと言えるでしょう。

XMHQはセクター別にもかなり分散されており、情報技術が占める割合はわずか9.4%です。割合が最も大きいのは工業セクター(31.9%)で、続いて一般消費財(15.8%)、金融(14.9%)となっています。

アナリストによれば、XMHQは「買い」か?

ウォール街に目を向けると、TipRanksによれば、XMHQのコンセンサス評価は「中程度の買い」です。これは、ポートフォリオで保有する各銘柄の過去3カ月間のコンセンサス評価に基づいており、53件の「買い」、25件の「中立」、0件の「売り」です。XMHQの平均目標価格の111.31ドルは、今後12カ月で1.8%の上値余地を示唆しています。

経費率は?

XMHQの経費率は0.25%と、コスト面ではかなりリーズナブルです。これは、XMHQに1万ドル投資した場合、年間の手数料が25ドルであることを意味します。一般的なインデックスETFに比べるとやや高めですが、それでも全ETFの平均経費率(現在0.57%)の半分以下です。

結論:市場で勝つためのさまざまな方法

XMHQは、市場を上回るリターンを得る方法は一つだけではないことを示しています。近年はビッグテックへの投資が成果を挙げていますが、XMHQが投資する質の高い中型株も同様に好調です。

過去3年間、5年間の好リターンと、他のETFではなかなか見られない有望株から成るXMHQは魅力的です。一般的なETFで見られるようなありふれた銘柄から離れてポートフォリオを分散させたい投資家にとって、XMHQは有効な手段となり得るでしょう。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、XMHQ: Looking for Great Returns Beyond Big Tech? Check Out This ETF原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
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