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「配当貴族」のマクドナルド株:増配の加速は今後も継続へ

ストーリーハイライト

マクドナルド(NYSE:MCD)の増配傾向は最近加速しており、これは今後も続くと考えられます。巨大なファストフード・レストランのフランチャイズを展開する同社は最近、配当を約10%引き上げました。同時に発表された第3四半期決算は、非常に成熟した事業にもかかわらず、売上高と利益を大きく成長させ続けるマクドナルドの能力を再び示しました。

マクドナルドの増配ポテンシャルを検証

「配当貴族(25年以上連続で増配している企業)」のマクドナルドの配当実績は、素晴らしいものです。同社は1976年以来、毎年四半期配当を引き上げており、現在では49年間連続の年間配当引き上げを誇っています。非常に興味深いのは、マクドナルドがこれほど長期にわたる増配実績を特徴とするにもかかわらず、増配ペースが最近加速していることです。

以下は最近の年間増配率です。下のチャートは四半期配当(単位:ドル)の推移です。

2023年増配:9.9%

2022年増配:10.1%

2021年増配:7.0%

2020年増配:3.0%

マクドナルドはここ数年、2020年~21年と比べると、大幅な増配を行っています。増配の原動力は、純利益の伸びが顕著に加速したことに象徴される、ここ数四半期の同社の優れた業績にあります。

この堅調な業績については、インフレがメニュー価格にプラスの影響を与えています。同時に、資本負担の軽さを特徴とするロイヤリティ重視のビジネスモデルが、低コスト維持に極めて重要な役割を果たしています。その結果、売上高の増加とコストの抑制の組み合わせが、利益を押し上げただけでなく、配当の大幅な増加にもつながりました。さらに詳しく見てみましょう。

好調な業績が示す配当成長ポテンシャル

マクドナルドの第3四半期決算は、売上高が前年同期比14.0%増の66.9億ドルとなりました。これは、前年同期の5.3%増よりも顕著に高く、前四半期の13.6%増も上回っています。調整後EPS(1株当たり利益)も前年同期比19%増の3.19ドルと驚異的な急上昇を見せ、同社の史上最高を更新しました。

売上高成長率:力強い勢い

第2四半期の好調な勢いは第3四半期にも引き継がれ、レストラン網の拡大と既存店売上高が顕著な伸びを示しました。第3四半期末の店舗数は41,198店で、昨年の39,980店から3%増加しました。一方、既存店売上高も8.8%増と好調でした。既存店売上高の増加と店舗数の増加が相まって、全体の売上高の14%増につながりました。

既存店売上高の伸びがインフレ率を上回ったことは注目に値します。これはつまり、他の多くの飲食店がこの1年で大幅な値上げを行った中、マクドナルドは多少の値上げをしても、何とか消費者の懐具合に見合った価格を維持し、大幅な増収につなげています。

利益率が急上昇、強力な増配を後押し

マクドナルドの第3四半期は、好調な売上高と同社のフランチャイズビジネスモデルによる優れたコスト管理により、利益率が急上昇しました。営業利益率は47.6%に上昇し、前四半期の47.2%、前年の47.3%からさらに拡大しました。これにより、注目すべき増配への道を開きました。

マクドナルドの売上高と利益率拡大の強力な相乗効果により、EPSは著しく上昇しました。調整後EPSは19%増の3.19ドルでした。過去4四半期に約26.9億ドルの戦略的自社株買いを実施したことも、EPSを押し上げる一因となりました。

EPSがこれほど大幅に増加したため、経営陣が自信を持って2桁近くの増配に踏み切った理由が分かります。マクドナルドには平均以上の増配余地が十分にあると思われるので、この傾向は続くと考えられます。具体的には、同社の業績と継続的な勢いに基づき、ウォール街は今年通期のEPSが11.79ドルになると予想しています。今年の増配を考慮しても、配当性向は57%となります。

アナリストによると、マクドナルド株は「買い」か?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」22人、「中立」5人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は310.42ドルで、今後12カ月で15.9%の上値余地を示唆しています。

マクドナルド株を売買する上でどのアナリストに従うべきか迷っているのであれば、(1年間のタイムフレームで)最も正確にこの株をカバーしているアナリストは、Evercore ISIのDavid Palmer氏で、1レーティングあたりの平均リターンは15.6%、成功率は91%です。

結論

マクドナルドの目覚ましい増配トレンドは、これまでの増配の一貫性の記録だけでなく、堅調な財務実績に裏打ちされた最近の加速を反映しています。力強い売上高成長を維持し、コストを効果的に管理し、優れた利益率を維持する同社の能力は、クイックサービス・レストラン業界で際立っています。

マクドナルドは49年間連続増配という驚異的な実績を持ち、予想配当性向は57%で、今後も平均を上回る増配を続けると思われます。このため、安定した配当収入を望み、長期的な成長に強気の投資家にとって、この銘柄は魅力的な選択肢になると考えられます。しかし、投資家は、しばしば割高な水準で推移するマクドナルドのバリュエーションに留意する必要があります。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、McDonald’s Stock (NYSE:MCD): Dividend Growth Acceleration is Here to Stay原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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