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ルルレモンとナイキ:さえない業績で株価下落も「買い」の好機か?

ストーリーハイライト

人気のアパレル関連銘柄であるルルレモン・アスレティカ(NASDAQ:LULU)とナイキ(NYSE:NKE)は、最近発表した四半期決算が振るわず、株価が下落しています。しかし、ウォール街のアナリストは、依然として「中程度の買い」と見なしており、株価下落は好機と見ています。

ルルレモンとナイキは、アパレル小売業界では間違いなく最強のブランドです。最近の業績の低迷は、消費者の懐事情が厳しいことも一因でしょうが、それだけではないと思われます。

スポーツウェア市場の競争激化に直面

実際、ラグジュアリーブランドや化粧品などの一般小売分野を見ると、消費者は、必ずしも節約しているわけではなく、欲しいものにはお金を使っています。両社は、スポーツウェア市場での競争激化に直面していると言えるでしょう。

それでも、最近の決算後の急落(ルルレモンは16%、ナイキは7%)にもかかわらず、アナリストは両社に強気であり、強力なブランド力を活かし、今後業績を回復させるとみています。

ルルレモン・アスレティカ (NASDAQ:LULU)

ルルレモンのヨガウェアは、ミレニアル世代のブランドで、Z世代やアルファ世代はアロヨガやアスレタのような代替ブランドに移行しているのでしょうか?現時点では断言できません。ルルレモンのヨガウェアは常に最高級クラスのブランドですが、若い世代はより手頃な代替品を選ぶようになっており、ルルレモンが高利益率を維持できるかどうか疑問が出てきています。

美容企業のe.l.fビューティー(NYSE:ELF)を見てみましょう。その低価格とソーシャルメディアに焦点を当てた巧みなマーケティングで、若い消費者を取り込みました。

ルルレモンも、ソーシャルメディア・マーケティングでリードしています。しかし、同社の価格は手頃とは言い難く、特に若者が、100ドル以上するヨガパンツを買うことをためらうのは当然でしょう。

競合他社、低価格で魅力的なデザインとイノベーションを強調

確かに、ルルレモンのウェアは高品質で、革新的素材を使用しているため、価格は高めです。それに対し、お手頃価格のアスレタやハイエンドのアロヨガなどの競合他社は、魅力的なデザインと独自の「イノベーション」を打ち出しています。

現時点では、ルルレモンのライバルとしては、アロヨガが最も脅威だと考えられます。アロヨガは、ソーシャルメディアでの効果的なマーケティングだけでなく、カイリー・ジェンナーをはじめとする大物セレブからも注目されています。

ルルレモンには、忠実なファンが多いですが、若い世代を取り込むために新たな施策が必要とみられます。同社の優れた経営陣は、攻勢をかけようとしているのでしょう。

ルルレモン株の目標株価は?

TipRanksによれば、ルルレモンの過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が15人、「中立」が3人、「売り」が2人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均株価目標の516.16ドルは、今後12カ月で28%の上値余地を示唆しています。

ナイキ (NYSE:NKE)

大手シューズメーカーのナイキの株価は、四半期決算発表後に 100 ドルを割り、ここ数年の安値圏に戻ってきています。ルルレモンほど成長が期待されていないものの、最近の業績は買い手にとって魅力的なものではありません。売上高は横ばい状態が続いており、今後の業績も横ばいになる可能性が示唆されています。

過去5年間の株価上昇率はわずか19%で、ナイキがかなり長期的な低迷期にあるのは明らかです。人気モデル「ダンク」の新作だけでは、株価上昇は難しいでしょう。しかし、90ドル台前半には底値支持線があり、PER(株価収益率)は27.3倍と、過去平均より低く、割安感があります。

過小評価すべきでないナイキの革新力、注目される最新製品

消費者はナイキの現在の商品群に飽きてきているかもしれません。しかし、オン・ホールディングス(NASDAQ:ONON)のようなライバルがナイキの縄張りに切り込み始めているとしても、ナイキの革新力を過小評価すべきではありません。今後、同社には株価を再び上昇させる可能性のあるカタリストがあります。

注目すべきは、サステナブルな素材と高度な快適さを備えた最新の「エアマックスDN」です。それは、市場の期待を上回る可能性を秘めています。もしかすると、ナイキはこのシューズで勢いを取り戻すかもしれません。

ナイキ株の目標株価は?

ナイキ株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が18人、「中立」が9人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価の121.59ドルは、今後12カ月で29.5%の上値余地を示唆しています。

結論

ルルレモンやナイキのような有名ブランドは、新進気鋭のライバルに対して、高い利益率を維持できると思われますが、若い世代は必ずしもこういったブランドを選ぶわけではありません。

それでも、ナイキには、「ジョーダン」など時代を超えて愛される定番商品があるのが強みです。

一方、ルルレモンは、若い世代を取り込まなければ、成長が鈍化するおそれがあります。また、歴史が浅いブランドであるため、今後の展開が不透明な部分もあります。リスクは高いですが、リターンも大きい可能性がある銘柄と言えるでしょう。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、LULU, NKE: 2 Downward Dogs That Look Buyable Post-Earnings原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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