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億万長者のケン・フィッシャー氏、アップルとマイクロソフトに巨額投資

ストーリーハイライト

フィッシャー・インベストメンツの創業者で、億万長者のケン・フィッシャー氏は、株に対して引き続き強気です。

フィッシャー氏は、顧客から市況に関する様々な懸念の電話を受けており、最も一般的なものは、「米10年物国債が5%の利回りを維持しているのに、なぜ投資家はリスクを取って株式市場に留まる必要があるのか?」というものです。

しかし、フィッシャー氏は、インフレ(現在3.24%)と税金を考慮すると、このようなリターンからはあまり何も残らないと指摘しています。一方、不安定なマクロ環境にもかかわらず、S&P500種指数は年初来で20%も上昇しています。

長期目標のためには株式投資が必要

フィッシャー氏は、投資によって個人的に約75億ドルの資産を築いた人物ですが、歴史は彼の味方であるとも述べています。「1926年以来、インフレ率は年平均3.0%です。一方、株式の上昇率は年率10.1%でした。ほとんどの人は、長期的な目標、つまりインフレと税金を上回る資金を調達するために株を必要としています」

だから、フィッシャー氏は株に投資しています。しかし、ただの株ではありません。彼は最も優れた銘柄に大きく投資しており、アップル(NASDAQ:AAPL)とマイクロソフト(NASDAQ:MSFT)は彼の2大保有銘柄です。この2メガキャップ株は今年、市場全体をアウトパフォームしており、「マグニフィセント・セブン(超大型株7銘柄)」クラブの一角を形成しています。

TipRanksのデータベースで追加情報を確認すると、アナリストのコンセンサス評価は、両銘柄とも「強気買い」です。もう少し掘り下げて、多くのアナリストは両社が今後も好調を維持すると考えている理由を探ってみます。

アップル

アップルは世界で最も時価総額が大きい企業であり、フィッシャー氏の投資はそれを反映しています。アップルは、彼のポートフォリオの5.2%を占める最大のポジションを形成しています。現在、彼は53,634,713株のアップル株を保有しており、その価値は103億3,000万ドル以上です。

スマートフォンの時代を切り開き、アップルの売上高の約半分を占めるアップルのフラッグシップ製品であるiPhoneがなかったら、世界はどうなっていただろうと想像するのは難しいです。しかし、もちろんアップルはiPhoneだけではありません。ハードウェア(Macbook、iPad)からウェアラブル(アップルウォッチ)、そしてますます重要性を増しているサービス事業まで、あらゆるものを提供しています。

実際、2023年度第4四半期(7-9月期)決算発表において、サービス部門の売上高は過去最高の223億ドルに達し、ウォール街が予想した213億5,000万ドルを上回り、前年同期比で16%の伸びを示しました。

しかし、その他の指標は低下し、総売上高は前年同期比1%減の895億ドルとなりましたが、これはアナリスト予想を上回りました。また、売上高の落ち込みにもかかわらず、EPS(1株当たり利益)は1.46ドルとコンセンサスを0.07ドル上回りました。

厳しいマクロ環境下で強靱性を発揮

J.P.モルガンのアナリスト、Samik Chatterjee氏は、アップルの「厳しいマクロ環境下での強靱性」を評価しています。同氏は、「アップルは、ハードウェア製品の構成比上昇やサービス収入の構成比上昇による売上総利益率の拡大、営業費用に対する厳格な規律、堅調な自社株買いなどを通じて、収益の上振れを実現し続けています」と述べています。

これらのコメントにより、Chatterjee氏は「オーバーウェイト(=買い)」レーティングを維持し、225ドルの目標株価は、今後12カ月で最大17%の上値余地を示唆しています。

ウォール街アナリストの大多数もこれに同意しており、コンセンサス評価は「強気買い」です。しかし、平均目標株価の201.99ドルは、現在の水準から5%の小幅な上値余地しかありません。

マイクロソフト

フィッシャー氏が2番目に投資しているのは、アップルと常に市場支配を争っているテックのライバル、マイクロソフトです。フィッシャー氏は24,978,283株のマイクロソフト株を保有しており、その時価総額は92億3,000万ドルで、彼の保有株全体の約4.5%を占めています。

アップル同様、マイクロソフトは人々の日常生活に常に登場し、同社のウィンドウズ・オペレーティング・システムは世界で最も広く使われているオペレーティング・システムで、アクティブユーザー数は13億人と推定されています。さらに、世界中の企業で利用されているMicrosoft 365製品群、Microsoft Teams、Edgeウェブブラウザ、Xboxゲーム機など、数え切れないほどの製品があります。

また、クラウドサービスのAzureもあり、その優れた成長により、2024年度第1四半期(2023年7-9月期)決算はアナリスト予想を上回りました。Azureを中心とするクラウドサービスの売上高は、前年同期比29%増(為替変動の影響を除くと28%増)となり、インテリジェント・クラウドの売上高は243億ドルに達しました。

売上高は前年同期比12.8%増の565億ドルとなり、市場予想を19.5億ドル上回りました。同様に、EPSも2.99ドルと予想を0.34ドル上回りました。

オープンAIへの投資で大きなチャンスの初期段階に

ここで、マイクロソフトが大きなチャンスの初期段階にあることにも触れておくべきかもしれません。同社は生成AIのChatGPTを展開しているオープンAIに多額の投資を行っており、AI革命の最前線に位置づけられており、最近ではMicrosoft 365のAIアシスタントツールCopilotの一般提供を開始しました。

これはEvercoreのアナリスト、Kirk Materne氏が指摘している点で、AI分野における同社の優れたポジショニングに注目しています。「我々は、マイクロソフトのビジネスの広範な性質(GPUの利用、Azure OpenAI Serviceなど)だけでなく、Copilotのアプリケーション固有のユースケースを考えると、AI革命においておそらく唯一最も有利な立場にあるベンダーであると見ています」と5つ星アナリストは説明しています。「マイクロソフトのAIストーリーは、2024年度にはさらに強くなるでしょう」

Materne氏は、目標株価を432ドルとした上で、「アウトパフォーム(=買い)」レーティングを付けています。目標株価は、今後12カ月で最大12%のリターンをもたらす可能性があります。

全体としては、過去3カ月間のアナリストレーティングは、ほぼ全てがポジティブなもので、「買い」が33人で「中立」は1人にすぎず、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の413.55ドルは、今後12カ月で12%程度の上値余地を示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Billionaire Ken Fisher Pours Billions Into 2 ‘Magnificent Seven’ Stocks — Apple and Microsoft原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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