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キューリグ・ドクター・ペッパーとペプシコ:大幅に下落した飲料株に注目

ストーリーハイライト

最近のオゼンピック(食欲抑制効果もある糖尿病治療薬)に関する懸念は、食品・飲料株に打撃を与えています。それでもウォール街は、他の市場とともに下落を続ける食品・飲料セクターに対して楽観的な見方を示しています。

先週、パウエルFRB議長の発言で10年物米国債金利が一時5%を超えたため、株式市場は広範に下落しました。キューリグ・ドクター・ペッパーやペプシコのような飲料株で回復力のある生活必需品株は、通常、市場の乱高下に耐えるものですが、最近は困難に直面しています。これは、マクロ的な要因だけでなく、食品・飲料株特有の逆風によるものです。逆風とは、オゼンピックをはじめとする減量薬とその消費への影響です。

肥満治療薬の効果は過大評価か

このような肥満治療薬は、体重を減らしたい人々の間で人気があるものの、現時点では非常に過大評価されているようです。そのため、最近の食品・飲料株の売りは、荒い経済変動を乗り切ろうとする投資家にとって、数多くのチャンスを生んでいるのではないかと思います。

そこで、TipRanksの比較ツールで、2つの飲料株が、市場の直近の大幅下落後、どのような状況になっているかを確認してみましょう。

キューリグ・ドクター・ペッパー (NYSE:KDP)

キューリグ・ドクター・ペッパー株は2022年8月の高値41.31ドルから28%下落しています。時価総額400億ドル規模の飲料会社である同社の売りは、他の多くの食品・飲料株よりもかなり前に始まりました。

キューリグ・ドクター・ペッパーの株価は、予想PERわずか15倍で取引されていて、ノンアルコール飲料業界の平均である19.4倍を大きく下回っています。もちろん、同社のコーヒー部門は、オゼンピックをはじめとする減量薬の影響を受けにくいです。

コーヒー部門の今後に強気

オゼンピックは脂肪分の多い食品への需要を抑えるかもしれませんが、多くの人は依然として朝のカフェインを必要としています。その点、キューリグのコーヒー部門(米国で人気の「キューリグKカップ」は、カプセル式コーヒーシステムで1杯ずつ抽出が可能)は、このところインフレによるコスト上昇の逆風にさらされていますが、費用が正常化すれば、今後の経営安定の柱になる可能性があります。

コーヒー部門は直近四半期では不調となったものの、UBSのアナリスト、Peter Grom氏は同部門の今後について強気です。実際、彼は同部門が新年度の収益拡大に貢献する可能性があると考えています。

米国ではKカップは早抽出コーヒーの代名詞のようなものですが、この分野には競争があります。ネスプレッソは近年、市場のプレミアム分野に本格参入しており、同社がさまざまな小売業者と提携し、ネスプレッソのシステムを小売店舗に導入することになれば、潜在的な脅威となります。今のところ、ネスプレッソは少なくともコーヒーシステムに関しては消費者直販の道を歩んでいるため、Kポッドが小売店舗を支配しています。

キューリグ・ドクター・ペッパー株の目標株価は?

過去3カ月のアナリストレーティングは、「買い」8件、「中立」5件、「売り」1件で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価35.64ドルは、24.4%の上値余地を示唆しています。

ペプシコ (NASDAQ:PEP)

ペプシコは優れた飲料株というだけでなく、かなり強力なスナック事業も展開しています。通常、飲料とスナックは、不安定な市場環境においては素晴らしい組み合わせとなります。しかし、オゼンピックの影響を懸念する声が高まる中、ペプシコ株は今回は市場の動揺を免れていません。実際、今年に入ってからの株価は市場よりも悪く、S&P500種株価指数(SPX)の10.5%の上昇に対し、年初来では約9%の下落となっています。

ペプシ株は予想PER19.6倍で取引されており、キューリグ・ドクター・ペッパーの15倍よりは割高ですが、ノンアルコール飲料業界の平均(予想PER19.4倍)と同水準です。同業他社にも素晴らしい定番商品がたくさんありますが、「ペプシ」ブランドは依然としてプレミアムに値します。したがって、現在のバリュエーションは割安に見えます。

第3四半期の1株当たり利益は2.25ドルで、アナリスト予想の2.15ドルを10セント上回りました。経営陣はガイダンスも引き上げましたが、株価はごく短期間の上昇にとどまりました。現在の株価160ドルのペプシコ株は、ますます揺れ動く市場環境の中で格好のディフェンシブ株と考えられます。

ペプシコ株の目標株価は?

過去3カ月のアナリストレーティングは、「買い」が10件、「中立」が7件で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価189.00ドルは、18.1%の上値余地を示唆しています。

結論

オゼンピックへの懸念があったとしても、キューリグ・ドクター・ペッパーやペプシコのような銘柄の価値は曇らないでしょう。強力なブランド力は、特にインフレが沈静化するにつれて輝きを増すでしょう。アナリストはこの2銘柄のうちでは、キューリグ・ドクター・ペッパーの方が上値余地が大きいと見ています。

 

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、KDP, PEP: 2 Deeply Discounted Beverage Stocks to Watch原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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