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フェデックス株:まちまちの業績にもかかわらず株価上昇、コスト削減が奏功

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不透明な経済情勢下、国際的な総合貨物輸送企業であるフェデックス(NYSE:FDX)は、売上高減少に直面しています。しかし、同社のコスト管理はうまく機能しているとみられ、株価は上昇しています。

 

フェデックスは米国ではブランド力のある宅配便企業ですが、最近は景気が良くなく、顧客が買い物を控えると宅配便が減るので、フェデックスにとっては大きな問題となっています。

それでもフェデックスは積極的にコスト削減策を実施しています。同社の最新の四半期決算を見れば、この効果が一目瞭然です。

フェデックスの株価が上昇した理由

興味深いことに、フェデックスが3月21日に発表した2024年度第3四半期(2023年12月-2024年1月)決算はまちまちでしたが、同社の株価は決算発表後7.3%上昇しました。市場は特定のデータに注目し、他のデータを無視する(または少なくとも許容する)ことがあります。

売上高は減少、コンセンサス予想も下回る

まずは悪いニュースから。フェデックスの売上高は前年同期比2.3%減の217億ドルとなり、6四半期連続で前年同期を下回りました。さらに、この結果はコンセンサス予想を3億8,000万ドル下回りました。

また、2024年度通期についても、フェデックスは「前年比で1桁台前半の売上高減少」になると予想しています。したがって、売上高業績という点では、フェデックスは今回、特別な好材料をもたらしたわけではありません。

では、フェデックスの売上高と見通しがあまり芳しくないにもかかわらず、株価が上昇したのはなぜでしょうか?同社は、株主が喜ぶようなポジティブなニュースも提供しました。

ラジ・スブラマニアムCEOが説明したように、同社は「変革」を進めていており、これは、よりスリムで効率的な企業に変えるということでしょう。

「変革」により、EPSはコンセンサス予想を上回る

少なくとも、フェデックスの最終損益には前向きな「変革」が見られました。第3四半期 のEPS (1株当たり利益)は 3.86ドルとなり、コンセンサス予想の3.46ドルを上回りました。この結果、フェデックスは前四半期にコンセンサス予想のEPSを下回った後、再び軌道に乗りました。

もう一つの朗報は、フェデックスの最大部門であるエクスプレス(貨物航空の配送業務)のマージンが大幅に拡大したことです。具体的には、エクスプレスの営業利益率は前年同期の1.2%から2.5%に改善しました。

フェデックス、コスト削減で奏功

フェデックスの予想を上回るEPSは素晴らしいものですが、今日の株価上昇を促したのは、コスト削減策によって実現したエクスプレスの利益率改善かもしれません。エバーコアISIのアナリスト、ジョナサン・チャペル氏は、「株価の好反応は、エクスプレスのマージンが予想を容易に上回ったことによるものです」と説明しています。

利益率を改善するコスト削減策とは、ロイターのレポートによると、航空機の駐機および飛行時間の短縮、より少ない機体でより多くのフライトを行うためのその他の努力が含まれています。

アナリスト、売上高の連続減少の中での営業利益増加を評価

TDコーウェンのアナリスト、ヘレン・ベッカー氏の見解では、フェデックスの「コスト削減イニシアチブは機能しています」。その証拠に、同社の営業利益は、売上高が減少しているにもかかわらず、3四半期連続で増加しています。したがって、景気が脆弱で売上高が減少していても、フェデックスは効率化を図ることでうまく対処しています。

フェデックスのGAAP(米国会計基準)ベースの営業利益は前年同期比19%増の12億4,000万ドル、調整後(非GAAPベース)では16%増の13億6,000万ドルでした。フェデックスに懐疑的な人たちでさえ、この困難な時期における素晴らしい業績であることを認めざるを得ません。

アナリストによると、フェデックス株は「買い」?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が11人、「中立」が4人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価は307.50ドルで、今後12カ月で8.2%の上値余地を示唆しています。

フェデックス株の売買でどのアナリストに従うべきか迷っている場合、(1年間の時間枠で)最も収益性の高いアナリストはStephensのJack Atkins氏で、1レーティングあたりの平均リターンは20.71%、成功率は66%です。

結論

フェデックスの売上高減少には注意が必要ですが、他にはポジティブな面が多くあります。最も重要なのは、同社の効果的なコスト削減策が奏功していることです。以前は多くのトレーダーがフェデックスに関心を示していませんでしたが、現在は潮目が変わりつつあるようです。従って、フェデックス株は今日買われています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、FedEx Stock (NYSE:FDX): Delivering Gains Despite Package of Mixed Results原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
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