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ディズニー株に魔法?:増配、スポーツ・ストリーミング、テイラー・スウィフトも

ストーリーハイライト

2023年には、ウォルト・ディズニー(NYSE:DIS)はストリーミング事業が苦戦し、アクティビスト投資家がディズニーの取締役会を揺さぶるなどし、低迷していました。しかし今、ディズニー株は急騰し、ディズニーの見通しは驚くほど明るくなっています。

ディズニー映画お得意の魔法が、同社株を変えたのでしょうか。

増配と四半期好決算の発表が、企業の見通しを劇的に変えるとは驚きです。ディズニーは、「マグニフィセント・セブン」のような市場の寵児とはほど遠く、昨年は先行きの見えない古い企業のようでした。しかし、2024年は、ディズニーのカムバックストーリーになるかもしれません。

ディズニーは、テーマパーク、映画、テレビ番組、玩具、ストリーミングサービスなどを提供するグローバル企業です。テーマパーク事業は確かに新型コロナウイルス流行で打撃を受けましたが、最近の数四半期で投資家を悩ませてきたのは、同社の不採算ストリーミング事業でした。

それだけでなく、ある有名なアクティビスト投資家は、ディズニーの取締役会に変更を加えようと、実質的にディズニー経営陣の首を絞めてきました。これはディズニーにとって大きなプレッシャーですが、同社の最新動向を見れば、多くの投資家は胸をなで下ろすでしょう。

ディズニーで最近起こっていること

かつてディズニー株は、ほとんど株価が動かない退屈な安全株と考えられていました。最近、ディズニーは注目すべき展開でエキサイティングな会社になっており、株価は急速に上昇に転じています。

まず、アクティビスト投資家のネルソン・ペルツ氏から始めましょう。ペルツ氏はディズニーのボブ・アイガーCEOの強敵です。ペルツ氏はディズニーの取締役会を揺さぶり、取締役会の席を得ようとしています。

しかし、アイガー氏は取締役会の席をペルツ氏に渡していません。そして、ディズニーの業績が改善すれば、アイガー氏がペルツ氏の圧力に抵抗するのは容易になっていくでしょう。

テイラー・スウィフトの売上効果に期待

そして、スーパースターのテイラー・スウィフトが、ディズニー・ストリーミング部門のサポートとなる可能性があります。具体的には、スウィフトのコンサート映画『The Eras Tour』をストリーミングサービス「Disney+」で間もなく公開する予定です。ディズニーのストリーミング部門は依然として利益を上げおらず、スウィフトの映画が同社に迅速な売上をもたらす可能性があります。

さらに、ディズニーのストリーミング部門は、ディズニーのスポーツ専門チャンネル子会社であるESPN、フォックス(NASDAQ:FOX)、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(NASDAQ:WBD)の新たな提携によって、大きな後押しを受けるかもしれません。これらの企業が手を組み、スポーツに特化したストリーミング・プラットフォームを設立しようとしています。

ストリーミング部門の改善と増配

スウィフトのニュースやスポーツ・ストリーミングの提携は注目されますが、ディズニーの株価が2月7日の時間外取引で6%上昇した理由はそれだけではありません。市場はディズニーの2024年度第1四半期(2023年10-12月期)の業績と、インカム(配当収入)投資家にとって絶好の機会にも注目しました。

2024年度第1四半期の売上高は235億ドルで、アナリストのコンセンサス予想238億ドルをわずかに下回りました。しかし、調整後EPS(1株当たり利益)は1.22ドルで、ウォール街のコンセンサス予想0.99ドルを軽々と上回りました。

そして、ここが一番良いところです。ストリーミング部門の純損失は、前年同期の9億8,400万ドルから1億3,800万ドルへと大幅に縮小しました。さらに、ディズニーの経営陣は、「2024年度第4四半期には、総ストリーミング事業が黒字化する見込みです」と断言しました。

そしてディズニーの取締役会は、次回の配当を、前回の配当より50%高い0.45ドルにすると発表しました。

アナリストによると、ディズニー株は「買い」ですか?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が15人、「中立」が5人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は108.29ドルで、今後12カ月で9.2%の上値余地を示唆しています。

結論

ディズニーがアクティビスト投資家を寄せ付けず、株主を魅了する最善の方法は、やはり魔法ではなく、好業績で株主を満足させ、ストリーミング事業における収益ギャップを埋める希望を提供することです。

投資家は、増配、Disney+に導入されるスウィフトの映画、そしてESPNをスポーツストリーミングコンテンツの有力な供給源にする新たなパートナーシップを考慮すべきでしょう。こういった状況を踏まえ、アナリストはディズニー株に対して強気になっています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Disney Stock (NYSE:DIS): Dividend Hike, Sports Streaming, and Taylor Swift, Too原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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