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半導体株が下落基調の中、どの銘柄の押し目買いがベストか?

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年初からの堅調なスタートを経て、半導体株はこのところ下落傾向にあります。しかし、ウォール街は、勢いが鈍化しているにもかかわらず、半導体セクターに対して依然強気です。

先週金曜の取引で、ASML、アプライド・マテリアルズ、マイクロン・テクノロジーなどのテック・半導体銘柄が大きく下落したこと受け、AI株ブームが崩れ去るのではないかと懸念する声があります。AI関連銘柄は調整局面に入っている可能性はありますが、それでも、多くの企業がAI分野で優位に立とうと躍起になっている現状では、AIの追い風は簡単には収まらないでしょう。

マイクロソフト、AIハードウェア強化で180万個のGPU調達を目指す

例えば、マイクロソフト(NASDAQ:MSFT)は、今後1年間でAIハードウェアに多額の投資を行う計画を公言しています。ビジネス・インサイダーによると、マイクロソフトは2024年12月までに180万個のGPU(画像処理半導体)調達を目指しています。

このマイクロソフトのGPU大量購入は、AI関連半導体の需要が冷え込んでいるのではなく、新たなハードウェアや野心的なAI戦略に伴い、今後さらに高まる兆候と考えられます。

ということで、TipRanksの比較ツールを使い、最近の市場低迷で割安で買えると見られる半導体株3銘柄をチェックしてみましょう。

ASML (NASDAQ:ASML)

先端半導体製造に必要な超紫外線リソグラフィー(EUV)装置のメーカーであるASMLの株価は、1,000ドル強のピークから最近は18%急落し、数年にわたる株価上昇局面が終わりました。最近の半導体業界全体の低迷も下落要因の一つですが、ASMLの第1四半期の受注が予想を下回ったことがさらに響いています。

同四半期決算は、全般的にはわずかながら予想を上回ったものの、半導体関連への需要が急増するという期待が大きすぎたことがあります。今、そういった期待が少し後退したことで、長期的な視点を持つ投資家には、今後も力強い成長が予想される銘柄を少し割安な価格で手に入れるチャンスが到来したかもしれません。

長期的な売上高大幅増予想に注目

ASMLは、2025年には300億ユーロから400億ユーロと予想される売上高が、2020年代末には440億ユーロから600億ユーロにまで増加すると予想しています。実際、AIブームが今後何年にもわたり続く中で、最も大きなリターンをもたらす可能性があるのは、こういった長期的展望かもしれません。

予想株価収益率(PER)38.7倍というASMLの株価は、過去の水準から見た場合、割高な方かもしれません。しかし、長期的なAI関連の追い風の大きさを考えると、このプレミアムは支払う価値があると思われます。

ASML株の目標株価は?

TipRanksによれば、ASML株に対するアナリストのコンセンサス評価は「強気買い」で、過去3カ月間に6人のアナリスト全員が「買い」を付けています。平均目標株価の1,069.40ドルは、今後12カ月で22.6%の上値余地を示唆しています。

アプライド・マテリアルズ (Applied Materials, NASDAQ:AMAT)

アプライド・マテリアルズもまた、ここ数週間で急落している半導体装置サプライヤーです。年初からの上昇後、ここに来て10%以上下落しており、調整局面で拾うべき銘柄として注目されます。

直近の第1四半期決算は予想を大きく上回り、中国関連で力強い成長が見られました。中国の半導体メーカー各社が、急増するAIチップ需要に全力で対応しようとしており、ファウンドリー(半導体受託生産施設)の新設や生産投資の拡大を進めています。こうした半導体製造に不可欠な装置を提供するアプライド・マテリアルズには、中国からのさらなる成長が期待されます。

数年にわたる安定的な成長を享受へ

他のウェハー製造装置企業と同様、アプライド・マテリアルズも、AI半導体メーカーが享受しているような急激な成長ではなく、数年にわたる安定的な成長を享受する可能性があります。ASMLを大きく下回る予想PER22.9倍というアプライド・マテリアルズの株価は魅力的です。

もちろん、同社の中国市場への依存は、地政学的リスクの源泉となります。そのため、投資家はこれらのリスクを慎重に評価する必要があります。

アプライド・マテリアルズ株の目標株価は?

TipRanksによれば、アプライド・マテリアルズ株のアナリスト・コンセンサス評価は「強気買い」です。これは、過去3カ月間のアナリストレーティングである、19人の「買い」、4人の「中立」、1人の「売り」に基づきます。平均目標株価の228.24ドルは、今後12カ月で20.5%の上値余地を示唆しています。

マイクロン・テクノロジー (Micron Technology, NASDAQ:MU)

最後に紹介するのは、主要AIシステムで必要とされる高性能メモリへの需要増から恩恵を受けるメモリ半導体メーカーのマイクロンです。株価は4月に入ってから沈んでおり、3月末の史上最高値から17%近く下落しています。

結局のところ、マイクロンは、AIの追い風を受ける圧倒的なメモリー・サプライヤーです。3月後半の最新の四半期決算発表を受け、株価が大幅上昇した後、かなり下落していますが、アナリストは強気です。

さらに最近、マイクロンがバイデン政権のCHIPS法のおかげで、ニューヨーク州とアイダホ州の新半導体工場に61億ドルの資金を得る予定と発表しました。マイクロンへの中長期的な追い風が高まっています。

マイクロン株の目標株価は?

TipRanksによれば、マイクロン株に対するアナリスト・コンセンサス評価は「強気買い」です。これは、過去3カ月間のアナリストレーティングである、25人の「買い」、1人の「中立」、1人の「売り」に基づいています。平均目標株価の126.96ドルは、今後12カ月で16.4%の上値余地を示唆しています。

結論

半導体株は、AIに焦点を当てた直近の売りに巻き込まれたのかもしれません。しかし、長期的な成長軌道は依然として健在であり、買い手にとって、かなりかなり値ごろ感のある価格で銘柄を手に入れるチャンスが訪れています。アナリストは、この3銘柄の中では、ASML株が今後1年間で最も上昇する可能性が高い(22.6%)と予想しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、AMSL, AMAT, MU: Which Semiconductor Stock Is the Best Dip Buy?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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