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ウォール街主要投資会社の2024年トップピック3銘柄

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毎年、この時期には、ウォール街の調査会社や株式アナリストは、来年の「トップピック」や「ベストアイデア」を発表します。このほど、主要投資サービス企業であるコーウェン社が「2024年のベストアイデア」を発表しました。

ヘルスケアからハイテク、必要な公共事業まで、様々なセクターの銘柄を集めた興味深いリストで、アストラゼネカやデータドッグのような大手企業も含まれています。

それでは、コーウェンのアナリストコメントに加え、TipRanksのプラットフォームを使って、ウォール街アナリストがこれらの銘柄をどのように予想しているかも見てみましょう。

アストラゼネカ(AZN)

英国に本社を置くアストラゼネカは、昨年の売上高が443.5億ドルで世界第9位の製薬会社です。新旧両方の医薬品の開発、製造、マーケティングに加え、医療セクター向けのその他のバイオテクノロジー製品も手掛けています。

アストラゼネカの事業(ポートフォリオに含まれる既存薬の販売と新薬開発の両方)は、いくつかの医療カテゴリーに分かれています。これらには、循環器、消化器、神経科学、腫瘍学、呼吸器専門分野のポートフォリオや、炎症性疾患および感染性疾患の治療に関する業務が含まれます。

全体として、アストラゼネカはカテゴリーを問わず50以上の承認済み医薬品を市場に送り出しています。アストラゼネカのパイプライン(研究開発段階の医薬品)には167のプロジェクトが含まれています。

有望な新製品とパイプラインがあり、高成長市場に参入

アストラゼネカの業績に目を向けると、2023年第3四半期の売上高は、前年同期比5%増の115億ドルとなりましたが、アナリスト予想を約4,000万ドル下回りました。非GAAP(米国会計基準)ベースのEPS(1株当たり利益)は4%増の1.73ドルで、予想を91セント上回りました。2023年通年の売上高予想については、従来の1桁台前半から半ばの増加から1桁台半ばの増加に引き上げました。

コーウェンのアナリスト、Steve Scala氏は、アストラゼネカの全体的な取り組みと将来見通しの健全な組み合わせを評価しています。「アストラゼネカには有望な新製品とパイプラインがあり、多くの高成長市場に参入しています。EPS成長率は業界平均を上回り、上振れの可能性もあります。アストラゼネカの見通しは製薬業界で最も強力なものの一つですが、バリュエーションは製薬セクター平均並みです」とScala氏は述べています。

Scala氏は、「アウトパフォーム(=買い)」レーティングを付けており、86ドルの目標株価は、今後12カ月で32%の上値余地を示唆しています。

過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が5人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」となっています。81.5ドルの平均目標株価は、今後12カ月で25%の上値余地を示唆しています。

アイトロン (ITRI)

次にご紹介するのは、IoT(モノのインターネット技術)と既存の公益事業業界の両方に取り組む興味深いテック企業、アイトロンです。同社は、公益事業会社がより効率的にサービスを提供できるよう、ハードウェアとソフトウェアの両面から製品群を開発しています。

アイトロンの製品は、電力・ガス・水道会社などが通信ネットワークを構築し、メーター管理と請求を自動化し、サービス提供の正確な記録を保持することを可能にします。アイトロンのハードウェアとツールは、地方自治体と公益事業会社が一緒になって公共事業および水道管理をよりよく監督することを可能にするため、公共サービスを削減することなく公共のエネルギー使用を削減するという野心的な目標を達成することを可能にします。

直近の業績上振れで、アイトロンの底力を示す

こういった分野の市場は拡大しており、アイトロンの最近の業績がそれを示しています。先日発表された2023年第3四半期の売上高は、前年同期比33%増の5億6,100万ドルで、予想を2,070万ドル上回りました。非GAAPベースの希薄化後EPSは、予想を47セント上回る98セントとなりました。これは大幅な上振れで、同社の底力を示しています。

コーウェンのアナリスト、Jeff Osborne氏は、アイトロンが半導体セクターからの逆風にもかかわらず、素晴らしい年初来の業績を達成したことを評価しています。同氏は、アイトロンが、分散型インテリジェンス(DI)と分散型エネルギー管理ソリューションを引き続きアピールすることで、2024年も同社の勢いは続くと見ています。

Osborne氏は、「アウトパフォーム(=買い)」レーティングを付けており、目標株価の95ドルは、今後12カ月で35%の上値余地を示唆しています。

コーウェンの見方は強気ですが、ウォール街アナリストのコンセンサス評価は「中立」です。過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が3人、「中立」が5人、「売り」が1人です。平均目標株価の76.14ドルは、今後12カ月で8.5%の上値余地を示唆しています。

データドッグ (DDOG)

最後にご紹介するのは、クラウドソフトウェア企業、データドッグです。同社は、サブスクリプションモデルを通じて、クラウド監視システムを顧客に提供しています。ウェブサイトの監視、追跡、セキュリティから得られるリアルタイムのデータ分析を提供するよう設計された、さまざまな観測ツールを提供しています。

データドッグは、常に製品と事業の拡大に取り組んでおり、11 月にもいくつかの発表を行いました。同社は、クラウドアプリケーション向けの監視・セキュリティプラットフォームで利用できるツールを拡充したこと、グーグルクラウドとの既存の戦略的パートナーシップを拡大したこと、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)サーバーレスアプリケーションの観測可能性とセキュリティのサポートを拡充したことを発表しました。これらは重要な動きであり、クラウドの世界におけるデータドッグのポジションを強化するものです。

堅調な第3四半期決算発表を受け、株価急騰

データドッグは11月初旬に堅調な2023年第3四半期決算を発表し、これを受けて株価は28%も急上昇しました。売上高は前年同期比25%増の5億4,754万ドルで、予想を2,330万ドル上回りました。非GAAPベースの希薄化後EPSは、予想を11セント上回る45セントでした。今後の見通しも良好で、第4四半期の売上高ガイダンスは、コンセンサス予想の5億4,395万ドルに対し5億6,400万ドル~5億6,800万ドルの範囲とし、非GAAPベースEPSガイダンスは、コンセンサス予想の0.34ドルに対し0.42ドル~0.44ドルとしています。

コーウェンのアナリスト、Andrew Sherman氏は、「好調な第3四半期と見通しから、第4四半期に業績が再加速する可能性が高く、2024年には20%台半ばの成長可能性を見ています。バリュエーションが魅力的です」と述べています。

Sherman氏のスタンスは「アウトパフォーム(=買い)」であり、目標株価は140ドルで、今後12カ月で18.5%の上値余地を示唆しています。(Shermanの実績はこちらをクリック)

コーウェンはデータドッグに強気ですが、ウォール街では楽観的な見方と中立的な見方が入り交じっていて、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価は116ドルで、当面はレンジ相場が続くと予想されています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、These 3 stocks are Cowen’s best ideas for 2024 including AstraZeneca and Datadog原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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