米国株

シティグループ株:40%上昇の後、さらなる上値余地

ストーリーハイライト

米大手銀行持ち株会社のシティグループ(NYSE:C)の株価は、長年市場全体をアンダーパフォームしてきましたが、このところ52週安値から40%以上上昇しています。しかし、この上昇の後でも、さらなる上昇余地が十分にあるとみられています。

極めて割安なバリュエーション、平均を上回る配当利回り、経費削減の着実な進展に基づき、一部のアナリストは米国第4位の銀行株に強気です。さらに、高い評価を得ているバリュー投資家が同社株のポジションを保有しており、経営陣とその再建計画を支持しているようです。

再建計画が進行中の兆候

シティグループの株価は、過去5年間足踏み状態にあり、市場全体が急騰する中、結局は横ばいのままでした。

この低迷の一因は、同行の業績が予想を下回ってきたことにあります。最近発表されたシティグループの2023年第4四半期決算もこの傾向に沿ったもので、18億ドルの損失を計上しました。

しかし、明るい兆しも見られ、投資家やアナリストは全体的には好意的な反応を示しました。ひとつは、経営陣が2023年通期の収入を前年比4%増の800億~810億ドルと見込んでいることです。

経費の大幅削減を着実に進める

さらに、同社は経費の大幅削減を目指しており、これに向けゆっくりと、しかし着実に前進しています。経営陣は2024年の経費削減額を535億~538億ドルと予想しており、これは昨年から1%の削減となります。さらに先には、より野心的な510~530億ドルの削減をターゲットとしています。

シティグループは以前、従業員数を約10%削減するプログラムを発表し、レイオフや幹部ポジションの廃止を開始しており、これらの目標に真剣に取り組んでいます。

この方策はアナリストにも好評です。ウェルズ・ファーゴ(NYSE:WFC)のアナリスト、Mike Mayo氏は、「数年に一度の転換期」の真っ只中にあるシティグループをトップ・バンク・ピックとし、「オーバーウェイト(=買い)」のレーティングと70ドルの株価ターゲットを維持しています。バンク・オブ・アメリカ(NYSE:BAC)も、シティの「買い」レーティングを維持し、目標株価を60ドルから65ドルに引き上げました。

大物投資家も好転を支持

著名なバリュー投資家の何人かは、シティグループの経営陣と再建策を信じています。

直近四半期では、エドガー・ワッヘンハイム3世氏率いるグリーンヘブン・アソシエイツがシティグループのポジションを22%増やし、同社にとって3番目に大きな保有株となりました。13F提出時点で、シティグループ株はグリーンヘブンのポートフォリオの9%近くを占めています。

ワッヘンハイム氏は最近、バロンズ誌に次のように語っています。「私たちは、シティグループの株価が非常に割安であると強く考えています。ジェーン・フレイザー氏がシティの比較的新しいCEOとして素晴らしい仕事をしていると多くの情報筋から聞いています」

バフェット氏、コスト削減と再建計画の継続を要請

これはかなり説得力のある信任投票であり、ウォーレン・バフェット氏も同意しているようです。最近行われたフレイザー氏との昼食会で、バフェット氏は新CEOに対し、コスト削減と再建計画を継続するよう述べたと報じられています。バフェット氏のバークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK.B)は、直近の13F提出時点で5,500万株以上を保有する大株主です。

圧倒的な割安感

経営再建の努力に加えて、バリュー投資家は、シティグループの株価が信じられないほど割安であることを知っています。シティグループの株価は、2024年の予想利益のわずか9倍と、市場全体に対して大幅なディスカウントとなっているだけでなく、簿価に対しても大幅なディスカウントとなっています。同行の株価は簿価のわずか0.56倍です。

また、この指標に基づくと、シティグループは「4大銀行」であるバンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース(NYSE:JPM)よりもはるかに割安です。バンク・オブ・アメリカの株価は簿価で取引されているのに対し、ウェルズ・ファーゴとJPモルガン・チェースの株価は簿価を上回って取引されています。これらの銘柄はシティグループよりも優れた業績を上げているため、ある程度のディスカウントは確かに正当化されますが、ディスカウントはこの先上昇の余地があることを示しています。

堅実な配当

この極めて割安なバリュエーションに加え、シティグループは配当利回りも魅力的です。現在の配当利回りは3.9%で、S&P500指数(SPX)平均の2倍以上です。シティグループの配当利回りは、3%を下回る同業大手4行のどの配当利回りよりも高いです。

また、シティグループは11年連続で配当を支払っており、配当性向は37.2%と保守的なため、配当は安全とみられます。

アナリストによれば、シティグループ株は「買い」か?

ウォール街に目を向けると、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が7人、「中立」が10人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価の60.47ドルは、今後12カ月で11.75%の上値余地を示唆しています。

今後の見通し

シティグループはこれまでアンダーパフォーマーでしたが、株価は勢いを取り戻しつつあり、著名な投資家数名はその転換の可能性を考えているようです。経費削減および再建計画、極めて割安な株価純資産倍率、そして平均を上回る配当利回りを根拠に、アナリストは強気です。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Citigroup Stock (NYSE:C): More Room for Upside after 40% Rally原文の翻訳を中心にまとめています。

米国株
この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
最新記事