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キャシー・ウッド氏が選好する「強気買い」バイオ株2銘柄

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著名投資家のキャシー・ウッド氏は、その独特の投資スタイルで有名です。高成長企業やディスラプター(既存の市場原理を破壊する可能性を秘めた企業)を好む同氏は、ウォール街の大物が恐れるような場所にも進んで足を踏み入れています。

イノベーターへの投資というウッド氏の手法に基づき、同氏が率いるアーク・インベストのポートフォリオを構成する、あまり注目されていない2つの銘柄についてご紹介します。

TipRanksのデータベースによると、これらの銘柄はアナリストのコンセンサス評価で「強気買い」と評価されています。その理由を見てみましょう。

プライム・メディシン (Prime Medicine, PRME)

今回ご紹介するウッド氏が投資している最初の銘柄は、同氏のイノベーション重視の投資スタイルに完璧に合致しています。プライム・メディシンは、遺伝子編集の最前線で活躍するバイオテクノロジー企業です。 2019年に設立された同社は、Prime Editingプラットフォームを中心とした革新的なアプローチをとっており、人間のゲノムを正確かつ柔軟に編集することを可能にしています。

従来の遺伝子編集テクノロジーであるCRISPR法はDNA(デオキシリボ核酸)に二本鎖切断を起こすのが一般的ですが、Prime Editingは「検索と置換」技術を用いた洗練された方法で特定部分の変更を行います。この方法により、意図しない突然変異のリスクが大幅に低減され、遺伝子治療の安全性と有効性が高まります。

プライムのテクノロジー、広範な遺伝性疾患の治療に役立つ可能性

プライム・メディシンの技術は、幅広い遺伝性疾患の治療に役立つ可能性があり、現在治療法が限られているか、または全くない分野において治療法を提供できる可能性があります。同社の開発範囲は、血液学、肝臓、眼、神経筋、肺などの主要な戦略分野に及んでいますが、パイプライン(新薬候補)のほとんどはまだ前臨床段階にあります。しかし、1つの薬剤が現在臨床に進んでいます。

ウッド氏は2024年第1四半期にアーク・インベストのプライムへの出資を大幅に増やし、285万株を追加取得しました。同社の保有株総数は現在599万株近くに達し、現在の価値は4,513万ドルです。

アナリスト、革新的な治療法に対する追い風を強調

シャルダンの五つ星アナリストであるGeulah Livshits氏は、プライムが提供する製品群を評価しています。

同アナリストは次のように述べています。「技術のプラットフォーム性により、プライムは同じ製造・デリバリー技術を用いて、後続のプログラムをより迅速に進めることができるでしょう。さらに、現在の規制環境は、希少疾患に対する革新的な治療法を非常に支持しており、FDA(米国食品医薬品局)は、このような治療法の開発を加速したいという要望を繰り返し表明しています。これらの要因により、プライムは現在のパイプラインを超えてプログラムを進めることで、持続的な成長を達成できると考えています」

Livshits氏はプライム株を「買い」と評価し、目標株価の17ドルは今後12カ月で140%という大きな上値余地を示唆しています。

ウォール街の見方は?

プライム株に対するLivshits氏の強気な見方は異常ではありません。TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、他の9人全員が「買い」で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は15.33ドルで、今後12カ月で最大104%の上値余地を示唆しています。

アブサイ (AbSci, ABSI)

次は同じくバイオテクノロジー分野から、ウッド氏のもう一つの注目銘柄をご紹介します。 アブサイは、現在の市場で最もホットなトレンドである「創薬における生成AIの活用」を行う企業です。

自らを「AI創薬企業」と称するアブサイのプラットフォームは、コンピューターシミュレーションのみで特定のエピトープ(抗体が抗原を認識して結合する構造単位)を標的とする高親和性抗体を生成します。

従来技術よりはるかに早く抗体医薬品候補を生成、コストも削減

同社は、従来の技術よりもはるかに速く抗体医薬品候補を生成できます。従来は手間のかかるステップを合理化することで、アブサイはコストを削減し、新しい生物学的製剤の市場投入までの時間を短縮し、医療における重要なニーズに対応することを目指しています。なお、パイプラインはまだ初期段階にあります。

ウッド氏のアーク・インベストは、第1四半期中にアブサイ株の新規ポジションを開始し、約328万株(1487万ドル相当)を取得しました。

アナリストもAIを活用した斬新な新薬開発戦略を評価

また、スコシアバンクのアナリスト、ジョージ・ファーマー氏もアブサイに注目しています。同氏は次にように述べています。「AIを活用した斬新な新薬開発戦略と、その基盤となる初期段階の生物製剤パイプラインの潜在的価値を捉えるために、アブサイ株を購入すべきでしょう」

ファーマー氏はアブサイ株に対して「アウトパフォーム(=買い)」のレーティングを付け、13ドルの目標株価は今後12カ月で182%の上値余地を示唆しています。

ウォール街の見方は?

ウォール街のアナリストの多くは、アブサイ株に対するファーマー氏の評価に同意しています。TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が4人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の8.75ドルは、今後12カ月で約90%の上値余地を示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Cathie Wood Pulls the Trigger on These 2 ‘Strong Buy’ Stocks原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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