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アクティブ運用とパッシブ運用の長所を兼ね備えたETF

ストーリーハイライト

投資家はしばしば、アクティブ運用ETFとインデックス(パッシブ運用)ETFのメリットについて議論しますが、アバンティス米国株式ETF(NYSEARCA:AVUS)を使えば、両方の恩恵を受けられるとみられます。

運用資産58億ドルにおよぶ同ETFは、優れた分散投資や低い経費率といったインデックス投資の恩恵の一部と、より高い成果を創出するためのアクティブ運用を組み合わせた、差別化された戦略です。さらに、AVUS ETFの実績はまだ3年ですが、既に優れたパフォーマンスを上げています。

AVUS ETFの戦略は?

アメリカン・センチュリー・インベストメント傘下のファンド・スポンサーであるアバンティスによると、AVUSは、あらゆる時価総額の米国企業に幅広く投資し、バリュエーションが低く、収益率が高いと考えられる証券をオーバーウェイトすることで、期待リターンを高めるように設計されています。

AVUSは、ポートフォリオ・マネジャーが、より高いリターンを創出すると予想する銘柄に重点を置き、時価総額が小さいながらも、収益性が高く、バリュエーションが割安な銘柄に注目しています。また、時価総額が大きく、収益性が低く、バリュエーションが割高な銘柄などを、アンダーウェイトまたは除外しています。

実績あるインデックス運用戦略を採用しつつ、リターン向上のためアクティブ運用を若干ブレンド

AVUSは、インデックスに関連する恩恵(分散、低回転率、エクスポージャーの透明性)を追求しつつ、現在の価格情報を用いて投資判断を行うことで付加価値を高めようとしています。

基本的にAVUSは、実績があるインデックス運用戦略を採用しつつ、リターンを高めるためにアクティブ運用を若干ブレンドしています。

優れた分散投資

AVUSは2,273銘柄を保有しており、投資家に極めて優れた分散投資を提供しています。さらに、上位10銘柄の保有比率はETF全体の20.0%に過ぎず、一部ETFのように特定の大型銘柄に過度に集中することはありません。

また、AVUSは2,273銘柄を保有しているため、一般的なS&P500指数(SPX)ETF(S&P500指数構成銘柄の503銘柄を保有)よりもはるかに幅広い銘柄に投資できます。

上位10銘柄への集中度合いが低く、かつセクターも分散

さらに、上位10銘柄への配分が低いため、AVUSはバンガードS&P500 ETF (NYSEARCA:VOO)やSPDR S&P500 ETF Trust (NYSEARCA:SPY)のようなS&P500指数に投資する一般的な市場ETFよりも分散されており、集中度が低くなっています。これら2つの著名なETFは、それぞれ運用資産の30.8%と31.9%を上位10銘柄に割り当てています。

AVUSは投資セクターも分散しています。情報技術(IT)のウェイトが21%と最も高く、次いで金融が16%、一般が13%となっています。

以下は、TipRanksの保有状況ツールを使ったAVUS ETFの上位10銘柄の保有状況の概要です。

AVUSは「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるテック銘柄など、近年の株式市場を上昇させたメガキャップ銘柄の多くを保有しています。しかし、多くの大型株やバリュエーションが割高な銘柄をアンダーウェイトしているため、VOOやSPYなどのブロードマーケット・インデックスETFと比べると、これらの銘柄のウェイトが小さくなっています。

一方、ラム・リサーチ(NASDAQ:LRCX)とアプライド・マテリアルズ(NASDAQ:AMAT)は、AVUSが強みに注目しオーバーウェイトしている銘柄の好例です。

AVUSのオーバーウェイト銘柄に注目

ラム・リサーチとアプライド・マテリアルズはいずれも半導体製造工程で使用される装置を製造する企業で、時価総額はそれぞれ1,141億ドルと1,435億ドルです。両社はAVUSの上位30銘柄にランクされており、ユナイテッドヘルス(NYSE:UNH)やメルク(NYSE:MRK)のような時価総額がはるかに大きい銘柄(それぞれ時価総額4,564億ドル、3,044億ドル)を上回っています。

実際、ラム・リサーチとアプライド・マテリアルズが過去1年間で76.0%、50.7%上昇している一方で、ユナイテッドヘルスとメルクはそれぞれ1.7%、15.6%上昇しているにすぎません。特定の銘柄をオーバーウェイトしてもうまくいかなかった例もあると思われますが、全体として、AVUSがリターンを増やすために何をしようとしているのかの大まかな見当がつきます。

ラム・リサーチとアプライド・マテリアルズも、TipRanksのスマートスコアでそれぞれ10と8を誇っています。スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的株式スコアリング・システムです。8つの市場主要要因に基づき、銘柄を1から10までのスコアで評価します。8点以上はアウトパフォームと評価されます。

これまでのところ、戦略の奏功を示す実績

AVUSは2019年9月にローンチしたため、実績はそれほど長くはありません。しかし、ここ数年のパフォーマンスは良好です。

2023年12月31日時点では、3年間で10.5%の年率リターンを創出しています。これは、同期間にそれぞれ10.0%および9.9%の年率リターンを創出したVOOおよびSPYのような大規模なブロードマーケットETFよりもわずかに優れていました。

費用対効果の高い経費率

AVUSの経費率はわずか0.15%で、投資家にとって費用対効果の高い選択肢となります。0.15%の経費率とは、投資家が毎年1万ドルの投資に対して支払う手数料がわずか15ドルであることを意味します。経費率が0.15%のままで、ETFが今後年率5%のリターンを上げると仮定すると、初めに1万ドルをETFに割り当てた場合、10年間で支払う手数料はわずか192ドルです。

経費率0.15%は、多くの広範な市場インデックスETFの手数料(例えば、前述のVOOは0.03%、SPYは0.09%)より少し高いですが、それでも全体から見れば非常に低いものです。アクティブ・ファンドやパッシブ運用ファンドの多くは、これよりはるかに高い手数料を課していますが、結果はそれほど大きく異なるものではありません。

アナリストによれば、AVUSは「買い」か?

ウォール街に目を向けると、過去3カ月間のAVUS構成銘柄に対するアナリスト・コンセンサス評価は、1,546件の「買い」、654件の「中立」、74件の「売り」で、AVUS自体のコンセンサス評価は「中程度の買い」です。AVUSの平均目標価格の90.57ドルは、今後12カ月で9.4%の上値余地を示唆しています。

結論

AVUSは、十分に分散されたポートフォリオ、費用対効果に優れた経費率、好調な3年間のトータルリターンを誇り、投資家がポートフォリオ構築の1ブロックとして利用できるタイプのETFです。このETFは、広範な市場インデックスETFに投資する恩恵の多くを投資家に与えるだけでなく、アクティブ運用を追加することで、長期的にやや高いリターンを生み出す可能性があります。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、AVUS ETF: Best of Both Worlds — Active and Passive Investing原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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