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アナリストが注目する、今後回復が予想される高成長テック株3銘柄

ストーリーハイライト

今年の株式市場回復の多くは、「マグニフィセント・セブン」のようなメガキャップ・テック株に集中しており、ほとんどの成熟テック株にとっては比較的静かな1年となっています。しかし、メガキャップ・テック株が上昇の牽引役となってから数カ月が経過し、回復基調にある別クラスのテック株が牽引力を取り戻し始めており、さらなる上値余地の可能性があります。ブロック、ドラフトキングス、インテュイットのような高成長テック企業の一部は、2022年に大きく下落し、その下落分のほとんどをまだ回復していません。

今回は、TipRanksの比較ツールで、ウォール街が引き続き高く評価している上記の3つの魅力的な高成長テック株を詳しく見てみましょう。

ブロック (NASDAQ:SQ)

ブロック(旧スクエア)は金融サービス・ソフトウェア企業で、伝説的なジャック・ドーシー氏が経営するフィンテックのピュアプレイです。株価は過去2年間で大暴落し、2021年のピークから直近の2023年10月の谷まで、85%以上の価値を失いました。

高金利という逆風がブロックに重くのしかかり、デジタルウォレットや決済分野での競争も激化しています。しかし、たとえブロックがフィンテック業界で群を抜く何かをまだ持っていないとしても、キャッシュアプリのユーザーベース(とネットワーク効果)は、引き続き極めて有効です。

様々な暗号化プロジェクトのポテンシャルがあり、四半期業績も好調で、ブロック株のバーゲンハンティングをする絶好のタイミングと思われます。持続的な上昇を後押しするようなカタリストはあまりありませんが、ブロックの低いバリュエーションと、決済エコシステムにおける潜在的な価値は注目されます。

堅調な第3四半期決算を発表

先週、ブロックは堅調な第3四半期売上高と利益を発表し、キャッシュアプリとスクエアで業績を伸ばしました。決算発表には、ガイダンスの引き上げ(第4四半期の総利益は19.6~19.8億ドルを予想)や10億ドルの自社株買い計画も含まれていました。決算発表の翌日、株価は10%超上昇しました。

確かに、ドーシー氏と同社は最近、話題になることがありません。しかし、ここから四半期ごとの成長を後押しする新機能やイノベーションの可能性を軽視するのは間違いかもしれません。現在の低い株価水準は、今後3年間に経済が徐々に回復するにつれ、再び上昇する可能性があります。

現在、予想PER(株価収益倍率)は18倍強ですが、キャッシュアプリとスクエアのユーザーベースだけで、もっと高いPERが正当化されると考えられます。

ブロック株の目標株価は?

直近3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が25人、「中立」が8人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価71.69ドルは、今後12カ月で37.2%の上値余地を示唆しています。

ドラフトキングス (NASDAQ:DKNG)

ドラフトキングスは、米国のデジタルスポーツ・エンタテインメントゲーム運営企業で、スポーツ関連のギャンブルやゲームをオンラインで提供しています。同社の株価は、2021年から2022年にかけて大きく崩れましたが、今年に入ってからは大勝利を収めており、年初来で225%上昇しています。同社は最近、驚異的な第3四半期決算を報告し、ガイダンスも引き上げました。売上高は前年同期比57%増の7億9,000万ドルで、月間ユニークプレイヤー数は230万人でした。オンラインカジノブームが到来しており、ドラフトキングスはその最前列に座っています。

長期投資家にとっては十分な上値余地

モルガン・スタンレーのアナリスト、Stephen Grambling氏は、決算発表の前に「買い」を表明していました。決算後の株価はさらに上昇しているものの、デジタルゲーム・ブームに乗ろうとする長期投資家にとっては、株価はまだ十分な上値余地があるとみられます。

その印象的なブランドおよびマーケティング・キャンペーンを考えると、ドラフトキングスは、オンライン・スポーツ・カジノブームを利用できるだけでなく、他のライバルから市場シェアを奪うことができる企業と見られます。

ドラフトキングス株の目標株価は?

直近3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」23人、「中立」4人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。39.71ドルの平均目標株価は、今後12カ月で10.2%の上値余地を示唆しています。

インテュイット (NASDAQ:INTU)

インテュイットは、時価総額1,460億ドル規模の成熟した金融ソフトウェア大手で、中小企業・自営業者や個人に対して、会計・財務ソフトを提供しています。同社は会計ソフト「QuickBooks」に新たなイノベーションを取り入れようとしており、株価は年初来で33%以上上昇し、年末に向けさらに上昇する可能性があります。生成人工知能(AI)は、インテュイットにとって大きな成長テコとなるとみられます。

中小企業の会計ストレスをAIで軽減

中小企業の会計は、カスタマイズされたチャットボットの助けを借りれば、ストレスが大幅に軽減される分野になるでしょう。インテュイットのAI担当副社長Nhung Ho氏によると、AIアシスタントは、ユーザーに対して「より少ない作業でより多くのお金を稼ぐ」ことを目的としているだけでなく、正確な会計結果に対する「完全な自信」を与えることを目指しています。

インテュイットにおけるAIの可能性と中小企業顧客の生活向上へのコミットメントを考えると、一見割高に見える59.5倍の実績PERには、まだまだ伸びしろがあるとみられます。

インテュイット株の目標株価は?

直近3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」21人、「中立」3人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価580.41ドルは、今後12カ月で11.1%の上値余地を示唆しています。

結論

マグニフィセント・セブンは、おそらくいつまでも株価の大幅上昇を続けることはないでしょう。ブロック、ドラフトキングス、インテュイットのような高成長テック株は、失われた時間を取り戻すのが早いかもしれません。この3銘柄のうち、ウォール街が最も大きな上昇を見込んでいるのはブロック株で、今後12カ月で40%近い上昇可能性を見ています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、SQ, DKNG, INTU: 3 Recovering Tech Stocks Analysts Love原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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