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弱気相場で検討すべき「強気買い」テック株3銘柄

ストーリーハイライト

テック株の売りは収まりつつあるかもしれませんが、以下の3銘柄は「強気買い」のコンセンサス評価を受けており、本格的な上昇が始まる前の今こそ買いのチャンスとみられます。

テック株の急落は、記録的な速さで反転しているようです。それでも、最近の取引でほとんどの銘柄が享受した安心感による株価上昇にまだ参加していない、「強気買い」評価のテック株が存在します。ウォール街アナリストの確信と多くのカタリストを背景に、エヌビディア、スノーフレイク、バイドゥ(百度)の3銘柄は、8月が終わる前に買い物リストのトップに位置づけるに値するとみられます。

それでは、TipRanksの比較ツールを使用して、各銘柄を検証し、最も評価の高いテック株がどれなのかを判断してみます。

エヌビディア(NVDA)

AI企業トップのエヌビディアの株価は、多くのアナリストが最新の反落局面での「買い」を推奨し、輝かしい反発のチャンスを狙っているため、再び上昇しています。株価の上昇ペースを考慮すると、第3四半期が終了する前に、さらに高値を更新する可能性が高いでしょう。多くのアナリストはこの株に対して強気な見方を維持しています。

次世代GPU(画像処理半導体)Blackwell生産の軽微な遅延は、些細な設計エラーによるものです。しかし、ウォール街では時折、恐怖と不安が蔓延し、株価が下落しているという理由以外に正当な理由がないにもかかわらず、一部の投資家が売却に走ることがあります。先のエヌビディア株の下落も、主にセンチメントの急激な変化が原因と考えられます。

エヌビディアのROIに対する投資家の不安は時期尚早か?

約2週間後(8月28日)には、エヌビディアの次の四半期決算が発表されます。期待は高まるでしょうが、バンク・オブ・アメリカのアナリストは、エヌビディアのROI(投資利益率)に対する投資家の不安は「時期尚早で結論を出すには早すぎる」と考えています。

急成長している企業、特に時価総額が数兆ドル規模の企業であればなおさらです。とはいえ、AIブームがどこまで続いているのかを判断するのは非常に難しいことです。もしこれが数年続くブームだとしたら、毎年最新半導体(来年はエヌビディアのBlackwellシリーズ、その次はRubin)にアップグレードする必要があるでしょう。そうなると、株価について懐疑的な見方をしている人々は、今後も間違った判断をし続ける可能性があります。

エヌビディアの予想PER(株価収益率)が44倍程度で、著しく高くはないことから、BlackwellとRubinが失敗すると考えるのでない限り、バブルというのは当てはまらないでしょう。

エヌビディア株の目標株価は?

TipRanksによれば、エヌビディア株のコンセンサス評価は「強気買い」で、過去3カ月間のアナリストレーティングの「買い」37人、「中立」4人に基づきます。平均目標株価は144.17ドルで、今後12カ月で22.1%の上値余地を示唆しています。

スノーフレイク (SNOW)

スノーフレイクは、現在市場で最も敬遠されているクラウドおよびAIソフトウェア株の1つでしょう。ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイ($BRK.B)が前四半期にスノーフレイクのポジションを売却したことで、データウェアハウスおよびAIインフラ企業である同社を損切りする大きな理由が1つ増えました。しかし、依然としてAIブームに乗る最も説得力のあるソフトウェアの1つとしてスノーフレイクが際立っているため、多くのアナリストは強気な見方を維持しています。

スノーフレイクのAIテックと人材は、今日すぐにでも結果を見たい投資家からひどく過小評価されているようです。バフェット氏の売却とAT&T (T)におけるサイバー攻撃との関連が、今四半期(2024年8月21日締め)への重荷となるなか、逆張り投資家として参入するのにこれほど良いタイミングはないとみられます。

AI能力強化のための買収や提携を積極的に模索

AI対応製品(CortexとArctic)の素晴らしいラインナップに加え、同社はAI能力をさらに強化するための買収や提携も積極的に模索しています。最近では、カナダの非公開AI企業Cohereとの提携可能性を検討しています。このような取引は両社にとって大きな勝利となる可能性があります。Cohereはあまり知られていないAI企業ですが、ChatGPTを開発したOpenAIに挑戦しようとしています。一方、スノーフレイクはクラウドシーンにおいて、生成AIを活用したデータインテリジェンスプラットフォームのデータブリックスを追い詰めています。

もしスノーフレイクがCohereと提携したり、同社(直近の資金調達ラウンドで55億ドルの評価額)を完全に買収できれば、同社は2021年のピーク時から68%の価値を失った後、盛り返して地盤を固めることができるかもしれません。

スノーフレイク株の目標株価は?

TipRanksによれば、スノーフレイク株のコンセンサス評価は「強気買い」で、過去3カ月間のアナリストレーティングの「買い」25人、「中立」8人に基づきます。平均目標株価は200.97ドルで、今後12カ月で57.8%の上昇余地があることを示唆しています。

バイドゥ(百度、BIDU)

執筆時点において、バイドゥ株は市場で最も下落率の大きい銘柄の1つであり、2021年に記録した史上最高値から75%以上下落しています。11.1倍の実績PBR(または8.5倍の予想PBR)のバイドゥ株は、最先端AIモデルへのエクスポージャーを得るための最も安価な方法である可能性が高いでしょう。

低迷する株価と、中国で最高レベルのAI能力を考慮すると、アナリストは強気な見方を維持しています。しかし、バイドゥ株がポートフォリオでその価値を証明するには、多くの時間と苦痛を伴う可能性があります。

中国政府の国産AIモデル使用推進から恩恵

バイドゥのAIモデル「Ernie」は、世界最高のAIではないかもしれません。しかし、バイドゥの成長エンジンとなるためには、世界最高である必要はありません。なぜなら、中国政府は、自国の規則や規制に従う国産AIモデルを国民に使用させたいと考えているからです。確かに、ChatGPTはErnieを圧倒する可能性もありますが、中国市場でシェアを獲得することはできないでしょう。

つまり、バイドゥのErnieは「中国のチャットGPT」になる可能性があります。AI搭載のスマートフォンやPCが普及するにつれ、中国政府が中国のルールに従うのに苦労すると思われるグローバルAI企業を締め出すことで、バイドゥが最も利益を得る可能性があります。

バイドゥ株の目標株価は?

TipRanksによれば、バイドゥ株のコンセンサス評価は「強気買い」で、過去3カ月間のアナリストレーティングの「買い」13人、「中立」3人に基づいています。平均目標株価は141.29ドルで、今後12カ月で63.6%の上値余地を示唆しています。

結論

以上のテック銘柄は、最近の下落を受けて、買い時を迎えているようです。AIチップの優位性が今後も続くとみられるエヌビディア、AI技術とツールを絶えず改良しているスノーフレイク、中国で好まれるAIモデルになる可能性があるバイドゥなど、いずれも中期的に期待できる材料が豊富です。

多くのアナリストは、この3社の中で、今後1年間に最も上昇余地があるのはバイドゥ(63.6%)であると見ています。しかし、地政学上のリスクを考慮すると、スノーフレイクが優れているとみられます。現在の水準から58%近く上昇する可能性が示唆されている点も評価できます。最近、スノーフレイクについてはネガティブなニュースばかりでした。しかし、驚くほど好調な四半期決算が発表されれば、2桁台の反発につながる可能性もあります。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、NVDA, SNOW, BIDU: 3 “Strong Buy” Tech Stocks to Consider on Weakness原文翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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