リング署名とは
2001年に発表されたHow to Leak a secretという論文の中で、「組織内で、匿名で内部告発するための素晴らしい方法」の技術としてリング署名(Ring Signature)が紹介されています。
リング署名はあるグループの中の”誰か”からの取引やメッセージであることがわかるが、あるグループの中の誰からなのかは特定できないという、特徴を持つデジタル署名の技術です。
例えば、ホワイトハウスで政府の闇を暴くリークがあったとします。
ホワイトハウスの誰かが署名したメッセージであることはこの仕組みを使えばわかります。そのため、本当の”リーク”であるということはわかるのですが、具体的に誰からのメッセージなのかはわからないという仕組みになっています。
似た署名形式:グループ署名
よく似た署名方式でグループ署名(Group Signature)というデジタル署名の方式があります。
リング署名と同様に、グループの中で誰かが署名をすることができ、それは誰か特定の署名である必要がないという仕組みです。
大企業で稟議をあげる際に、社内の誰かが署名していることさえわかれば良いという場合に効率が良い方法として考案されました。
より匿名性の高いのがリング署名
リング署名とグループ署名との大きな違いは、以下です。
1. グループの管理者が必要ないこと
2. 誰が署名したかという匿名性が確保される
グループ署名の場合は、管理者がメンバーを新たに追加する必要があったり、万が一の際に誰が署名したのかを確認する方法があったりしますが、リング署名はそのような必要ない仕組みになっていて、高い匿名性が担保されています。
暗号資産(仮想通貨)で活用されるリング署名
ByteCoinで最初に利用
このリング署名は2012年にByteCoinで暗号資産(仮想通貨)で最初に実用化されました。
ただ、ShadowCash(シャドーキャッシュ)という暗号資産(仮想通貨)が、匿名性を維持しながらも追跡可能なリング署名のシステムを運用していましたがシステム上に欠陥があり、一部の取引に影響がでました。
Moneroでの活用
バグの修正が行われ、2017年の1月より暗号資産(仮想通貨)Monero(モネロ)でこのリング署名を採用して公開されています。
Moneroの売りは、その匿名性ですがそれを裏で支えるのが、このリング署名の仕組みだということを覚えておいて損はないでしょう。
また、Moneroではさらに、リング署名にワンタイムキーを組み合わせることで取引が追跡できないようになっています。
最後に
リング署名の特徴を2つあげると以下です。
- 正しい権利や身元からの署名であることがわかる
(本当にホワイトハウスの人かどうか) - 完全に匿名で、誰からの署名かわからない
この一見、相反する項目を両方担保することができるのがリング署名の画期的なところです。
1400を越える暗号資産(仮想通貨)で、どの通貨が生き残るのか。
暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンの仕組みに関連する署名の仕組みにも注目してみましょう。
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