セキュリティの高いネットワークの接続方法として知られる「VPN(Virtual Private Network)」。
仮想の専用回線を設け、重要なデータなどを特定のネットワーク参加者どうしてやり取りできる仕組みですが、政府や企業などから制限を多く受けるなど問題もあります。
仮想通貨Orchiは、従来のVPNが抱える問題をブロックチェーンを用いて解決しようと誕生しました。
本記事では「仮想通貨Orchidとは?」をテーマに、基本~最新情報に加え、今後の価格推移に関する考察まで徹底解説をお届けします。
目次
仮想通貨Orchidとは?
Orchid(オーキッド)とは、ブロックチェーン技術を用いて、政府や企業による支配からインターネットを解放し、安全かつ自由な通信を実現しようとするプロジェクトです。
具体的にはOrchid Marketと言われるピアツーピアの帯域幅交換マーケットを作り、利用者間で帯域幅を売買するVPNサービスを提供します。
VPNサービスは政府や企業の制限を強く受けます。海外に行くとサービスが利用できなくなったり、企業によってアクセスの監視がされるケースもありました。本来国境などが存在しないインターネットに、境界線が設けられているのです。
加えて従来のVPNサービスには問題が数多くありました。月額制のサービスは使わなくても毎月同じ料金を支払わなければならないため、ときに実際の通信量に見合わない金額を支払うことになる場合もあります。また無料VPNはセキュリティ面や通信速度、安定性などの点で問題を抱えていることがあります。
Orchidを用いることで特定の管理者を持たない環境でVPNを利用できます。使った分だけ料金を支払い、自分で回線の権限を有し、プライバシーも確保される真に自由なインターネットが提供されるのです。
仮想通貨Orchidに関する最新情報まとめ
リリース日 | 概要 | 情報ソース |
2020年12月22日 | Orchidが2020 Innovation Awardsを受賞 | https://blog.orchid.com/orchid-honored-with-cnet-2020-innovation-award/ |
2021年2月12日 | Orchidアプリのバージョン0.9.23の公開 | https://blog.orchid.com/orchid-learns-three-new-languages/ |
2021年3月25日 | xDAIと統合、iOS/MacOS向けのアプリを発表 | https://blog.orchid.com/get-started-with-orchid-on-android-for-just-1/ |
Orchidが2020 Innovation Awardsを受賞
2020年12月22日、OrchidはCNETが決める2020 Innovation Awardsに選ばれました。
CNETは家電製品やテクノロジーについての記事やブログなどを掲載する、アメリカの大手Webマガジンです。CNETは毎年優れた製品に対して、Innovation Awardに選出しています。
2020年はInnovation Awardに5つ選出されました。Orchidはそのうちのひとつです。他の受賞製品はCOVID-19のmRNAワクチンやPlay Station5のDual Senseコントローラー、Apple MacBook Air M1、Eero 6 メッシュルーターです。Orchidが最新技術や世界的、社会的な問題に関する製品と同じくらい高く評価されていたことが分かります。
CNETのRae Hodge記者はOrchidに対してレビューを記しており、世界的なメディアでOrchidの詳細が明らかとなりました。
Orchidアプリのバージョン0.9.23の公開
2021年2月12日、OrchidはOrchidアプリのバージョン0.9.23の公開を発表しました。バージョン0.9.23では新たに対応する言語を増やしています。
それ以前には、Orchidは英語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語の4か国語に対応していました。この4つの言語だけで7.5億人をカバーすることが可能です。
しかしOrchidの求められるシチュエーションは多岐に渡ります。Orchidもロシア企業によってネットワークを制限されたウクライナや政府によって接続サービスが制限されるドバイ、経済危機に陥るベネズエラなどを例に挙げたことがあり、言語の壁に囚われない重要性が窺えます。
バージョン0.9.23では新たにロシア語、中国語、日本語、韓国語、インドネシア語の5か国語に対応し、合計で9つの言語に対応できるようにしました。特に新バージョンでは母語話者人数が世界一を誇る中国語を中心に、アジア圏へのサポートが手厚くなっています。
xDAIと統合、iOS/MacOS向けのアプリを発表
2021年3月25日、OrchidはxDAIとの統合とiOS/MacOSで利用できるOrchidのアプリケーションを発表しました。
アプリケーションを利用することで、スマートフォンなどから簡単にVPNを利用できます。
そのうえ料金も安価で、わずか1ドルほどからサービスの利用が可能です。Orchidはトークンを保有していなくてもアプリ内購入で利用できる、ブロックチェーンベースとしては初となるコンシューマーアプリとなりました。
OrchidはEthereumのブロックチェーン上にサービスを展開していましたが、手数料(GAS代)の高騰によってコストの増加に悩まされていました。そこで手数料を低下させるため、EthereumベースのスケーリングソリューションであるxDAIと提携したのです。
2021年5月24日にはiOS/MacOSに続いてAndroidOSに対応したアプリケーションも公開しており、サービスの拡大が続いています。
仮想通貨Orchidの将来性
Orchidは将来的には分散型VPNサービスとして既存のVPSサービスにない強みを活かしてシェアを獲得することが期待されます。CNETにも高く評価されており、その未来は望みが持てるものでしょう。
Orchidの中核的なサービスはOrchid Marketと言われる分散型の帯域幅マーケットプレイスです。
従来のVPNサービスでは顧客と回線の提供者が1対1の関係でした。そのため監視や利用データの収集なども容易に行うことができました。
しかしOrchid Marketでは利用者が帯域幅の提供者と利用者に分かれます。
そこで双方のプライバシーを保護し、改ざんなどの不正を防ぐために中継点を経由し、更にプロキシまで経由して帯域幅と料金のやり取りをする仕組みを整備しました。
この仕組みからOrchidでは利用者のプライバシーが完全に保護され、自由度と匿名性の高いインターネットの利用を実現しています。ですがそれゆえに回線が悪用され、ハッキングなどに利用される危険性もある点は大きな課題と言えるでしょう。
Orchidのネイティブトークン「OXT」
Orchid Marketで大きな役割を果たすのが、ネイティブトークンのOrchid(OXT)です。
OXTはERC20を利用して開発され、Orchidにおいては利用料金やブロックの承認などに使われます。
まずOrchid Marketにおける決済がOXTの代表的な使い道です。VPNの利用者は、Orchidアプリのアカウントを作成し、ウォレットにOXTを入金することで購入およびVPNの利用が可能となります。
一方Orchid Marketにおいて帯域幅の提供をする場合は、OXTを一定額アカウントにステーキングしなくてはなりません。
すると利用者が購入した分の料金がステーキングに追加されます。更にOXTはコンセンサスアルゴリズムとしてPoSを導入しているため、帯域幅の提供者は同時にブロックの承認者としての役割も果たします。
帯域幅の提供者は帯域幅を売った利益に加えて、ステーキング報酬まで手に入れることが可能です。より多くのOXTを預けるほど報酬を得る機会が増える仕組みになっており、このインセンティブによってOrchid Marketに流通する帯域幅を確保しているのです。
仮想通貨Orchidの価格推移と今後
Orchid/OXTの基本情報 | |
Orchid/OXTの価格 | ¥26.85 |
一日の出来高 | ¥3,010,959,411 |
マーケットドミナンス | 0.01% |
市場ランキング | 153位 |
時価総額 | ¥18,332,473,987 |
直近1年間の高値/安値 | ¥112.66/¥16.46 |
最大供給 | データなし |
※価格等の情報は2021年6月25日時点のCoinmarketcapより引用
仮想通貨Orchid(OXT)の価格推移に注目してみましょう。
主な取引市場は、OXT/USDTのペアによって行わており、海外取引所Binanceが全体の2割程度と多く取引されています。
上場以降、一時的に1OXT=1USDTを超える展開がありましたが、2021年3月からはビットコインの失速に相関する形で、1OXT=0.2USDT近辺で価格が推移している状況です。
仮想通貨の市場ランキングでは、150位程度とマイナーなアルトコインに分類されており、出来高の少なさから値動きが激しい特徴があります。
直近1年間で700%以上の変動率で、投機的な側面で見ると期待値は大きい印象です。
仮想通貨Orchid(OXT)は今後上がる?
仮想通貨Orchid(OXT)は、4月の高値を中央とした「ヘッド&ショルダートップ」の転換サインを形成し、大きな下降トレンドを発生しました。
しかし、2021年6月現在は一旦は底値を付けた可能性が高いと考えられます。
直近の安値は、主要取引所Binance上場以降の最安値圏に到達しており、日足レベルで2本連続陽線、買われる動きが見られました。
テクニカルツールRSIでは、売られ過ぎの水準である30%を付け、反発する動きも確認できます。
したがって、一旦は底値に到達した可能性が考えられるのです。
一方で、前述した通り、仮想通貨の中でもマイナー銘柄に位置するOXTトークンは、イーサリアムベースのERC20トークンということもあり、単体で価格上昇を見せる可能性は高くありません。
ビットコインあるいは、イーサリアムの値動きから総合的に戦略を決めるのが良いでしょう・
仮想通貨Orchidとは? まとめ
今回は「仮想通貨Orchidとは?基本情報・将来性・価格推移まとめ」のテーマでした。
この記事のポイントは以下の通りです。
- 仮想通貨Orchidは、政府や企業による支配を受けないVPNサービスを展開するプロジェクト
- Orchidでは、ブロックチェーンを活用することで利用者と提供者がVPNネットワークを運用する
- Orchidの独自トークンは、ERC20規格で作成された「OXT」
- VPN利用者は、支払いにOXTを使い、提供者はOXTを得て、ステーキングもできる
- Orchidのアプリはリリースされており、実用段階まで進んでいる
OrchidによるVPNサービスの展開は、意外にも仮想通貨で競合のいない市場と言えるでしょう。仮想通貨プロジェクトでは、Braveを始めネットワークを活用するブラウザへ目線を向けたケースが多く、Orchidの様に根本的なネットワーク構造に言及するケースはないからです。ただし、ブロックチェーンの性質上、利用者同士がネットワークンの運営を支えるため、今後はOrchidがシェアをどの程度まで拡大できるかが焦点になるでしょう。
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