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仮想通貨Aragonとは?基本情報・将来性・価格推移まとめ

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多くの仮想通貨が掲げる非中央集権。
管理者のないプラットフォームには、DAO(分散型自立組織)が欠かせません。

投票権により、ユーザー同士で方針を決めるDAOは、透明性と公平性がメリットです。
しかしながら、仕組み上、運営への負担が課題になります。

仮想通貨Aragonは、DAOの構築を助け、運営者の負担や透明性の高さなどDAO全体を支援するプロジェクトです。

本記事では「仮想通貨Aragonとは?」をテーマに基本~最新情報、価格推移から今後の予想まで徹底解説をお届けします。

当記事で用いるチャートは高機能分析プラットフォーム「TradingView(トレーディングビュー)」の提供するBinaceのANT/USDT・ANT/BTCチャートを用いて分析をしております。仮想通貨は1年365日を通して動く市場の為、執筆時点(2021年7月時点)での個人トレーダーによる分析となります。仮想通貨(暗号資産)取引に関しては余裕資金・自己判断で行いましょう。

仮想通貨Aragonとは?

Aragonとは、分散型自律組織(DAO)の構築や、DAOの運営負担の軽減、高い透明性の維持をするためのオープンソースソフトウェアを提供するプロジェクトです。

DAOは中央に管理者を置かず、コミュニティの参加者による投票とプログラムによって組織を運営する組織形態です。BitcoinやEthereumの登場によってその可能性が示されましたが、1からDAOを構築するのは簡単ではありません。

そこでAragonはAragon clientというDAOを構築するためのツールキットを提供しています。更にDAO間を相互につなぐAragon network、Aragonを活用して発行した仮想通貨のICOで得た資金を管理するAragon AssociationなどもDAOの運営をサポートします。

またAragon Courtという仕組みも特徴的です。Aragon CourtはDAOでの紛争を解決するサービスです。Aragonの利用者が陪審員となり、争いを調停します。特定の管理者や政府などによる規制を受けないDAOにとって、争いを調停する第三者機関の存在は円滑な運営に欠かせません。

仮想通貨Aragonに関する最新情報まとめ

リリース日概要情報ソース
2021年1月11日AragonはVocdoniの運営会社を買収
2021年1月12日AragonOneのCEOであるJorge Izquierdoが辞任
2021年7月14日AragonはUno Reとの提携を発表

仮想通貨Aragonに関する最新情報をまとめました。

2021年は、Aragonのプロジェクトは大きな節目の年になったと言えるでしょう。
CEOの解任や、不正をめぐるメンバーの解体を経て、新体制を構築する動きを見せています。

悪材料がある中で、Aragonが独裁的な運営をしない、公平性のある運営体制も確認でき、ユーザー同士で動く新しい経済の形が見れた意味のある上半期です。

タイムリーに問題が起きている、保険業界に対し、優れたブロックチェーン技術を取り入れる新しい動きも見られました。

それでは、2021年最新のAragonに関する情報を見てみましょう。

AragonはVocdoniの運営会社を買収

2021年1月11日、Aragon AssociationはVocdoniの運営会社であるDvoteLabsOÜの買収を発表しました。

Vocdoniはブロックチェーン技術を用い、自治体や行政、企業、なんらかの協会などあらゆる形態の組織に適した普遍的な投票ソリューションを提供するプロジェクトです。

従来のブロックチェーン技術ではアドレスを追跡することで投票者を突き止めることができます。そこでVocdoniはゼロ知識証明という技術を用いて投票の匿名化を実現しました。

プロジェクト同士の統合と言うと、仮想通貨間をブリッジでつなぐなどの形式が多いです。

しかし、Aragonは運営会社を買収することでAragon AssociationとDvoteLabsOÜからメンバーを出し合った新会社を設立しました。AragonとVocdoniはロードマップこそそのままですが、中長期的に両者を統合し、既存の形態の組織とDAOを結びつけることを目標としています。

AragonOneのCEOであるJorge Izquierdoが辞任

2021年1月12日、Aragonの開発を主導するAragonOneのCEOであるJorge IzquierdoがDAOでの意見の衝突を機に辞任したことを発表しました。

Izquierdoは数か月もの間多忙に仕事をした後、医師の勧めに従って2週間の休暇を取っていました。この休暇の間もAragon Associationで多くの採択が行われましたが、Izquierdoはその決定に同意せず、修正を求める案も決議されなかったため辞任に至っています。

開発を主導する組織のCEOの意見ですら他の構成員と同様に、コミュニティ内で賛同されなければ採択されないのはDAOのあり方としては正しいものと言えるでしょう。

この辞任以前、2021年1月8日にはAragon Networkの財務の不透明さが指摘されたことで12名のスタッフが辞任しており、CEOの辞任も合わせて新しいスタートを切るきっかけとなりました。

なおIzquierdoはCEOを辞任した後もコミュニティの一員としてAragonに参加する予定です。

AragonはUno Reとの提携を発表

2021年7月14日、AragonはUno Reとの提携を発表しました。Uno Reはブロックチェーン技術を用いて再保険プラットフォームを構築するプロジェクトです。Covid-19の流行により、保険会社は500億ドルから800億ドルもの損失を被ったと試算されており、再保険会社への注目が集まっています。

Uno ReはAragonを用い、DAOを利用した再保険システムの運用計画を立てています。DAOを利用することでポートフォリオの評価や保険会社の請求に対する意思決定などをすべて自動化し、仲介者を排除することが可能です。直接DAOが意思決定を行うため、より柔軟な保険商品を導入することができます。また再保険会社への投資には高い自己資本要件が求められますが、Uno Reの場合はわずか500ドルほどで投資に参加できるようになります。

DAOでは意見の不一致が生じた場合の紛争調停が課題ですが、AragonはUno Reが有する、専門家によって構成される紛争解決管理機関がDAOにおいて不一致を如何に解決するかを調査する予定です。

仮想通貨Aragonの将来性

Aragonの将来性は高いと言えるでしょう。現在主流となっている中央集権的な組織構造は、契約内容を自動化することで完全なCtoCビジネスを実現可能です。更にDAOには組織や企業、国家などのあり方を変える潜在能力も秘めています。

実際に、Aragonを用いてDAOを構築した組織は1700を超え、DAO内で運用される資産も9億ドルに迫っています。ただし競合するプロジェクトも登場しているため、今後は差別化を図る必要があるでしょう。

またAragonは新たなサービスを打ち出しています。Aragon Voiceという投票ソリューションは、これまでAragonにあった投票機能を更に発展させたものです。匿名での投票に加え、エンドユーザーがトークンを所有しなくても投票が可能となります。

更に既存のAragon Clientを発展させたAragon Governは2021年7月中にメインネットへ実装される予定です。Aragin GovernはOptimistic Governanceと言われる仕組みを実装した先駆的なフレームワークです。Optimistic Governanceは異論さえなければ投票なしで提案を実行できるため、スピード感のあるDAO運営を可能にしています。

Argagonのネイティブトークン「ANT」

AragonのネイティブトークンであるANTは、Aragonのガバナンストークンとして機能します。ERC20を活用して開発されました。

ANTはAragon Network内で提案に対して投票を行うために必要です。Minimeという機能を用い、既存のERC20規格に投票機能を付け加えています。Aragon Courtで陪審員になるためにもANTが必要です。ANTをANJというトークンに交換し、一定量のANJを保有することで陪審員になる権利を得られます。

また近年ではEthereumの利用が拡大することで、GAS代の高騰が懸念されています。実際に、2021年2月には提案を作成するために60ドルものGAS代が必要になることがありました。これではDAOの運営に支障が出ます。

このことからAragonではANTトークンをバージョンアップさせたANTv2が公開されました。ANTv2はGAS代が3倍も安くなったほか、オフチェーンでの投票にも対応しています。

仮想通貨Aragonの価格推移と今後

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Aragon/ANTの基本情報
Aragon/ANTの価格¥375.20
一日の出来高¥900,640,301
マーケットドミナンス0.01%
市場ランキング184位
時価総額¥14,870,274,961.52
直近1年間の高値/安値¥1624.54/¥146.24
最大供給データなし

※価格等の情報は2021年7月16日時点のCoinmarketcapより引用

Aragonは、ネイティブトークン「ANT」が多くの取引所に上場しています。
日本国内の取引所には未上場なものの、Binance、Huobi Grobal、Krakenなど世界的には多くの取引所に上場している銘柄です。

ANTの取引割合は、他のアルトコインと比べて少し変わっています。
2017年以降、USDTのシェアが大きくなり、アルトコインをBTCで取引する割合は減ってきました。

しかしANTは、ANT/BTCとANT/USDTがほとんど同じ割合で取引されています。
実際の取引割合では、BinanceのANT/BTCが全体の14%、同じくBinanceのANT/USDTが全体の11%です。

ANTの20%以上は、Binanceの取引が占めており、BTC建て、USDT建ての両方が多く取引されています。

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底値に到達するも、BTCの相関が問題

ant-usdt-2ANT/BTC週足チャートでは、ビットコイン建ての価格推移は底値をついた可能性が高いです。

2019年6月には、1ANT=最安値0.0000394BTCを付けたものの、ボラティリティの小さいレンジ相場を経て、底固めを見せました。

2021年7月現在では、底値圏のレンジ上限で買われる動きも確認でき、長期的なトレンド転換点である逆三尊のチャートパターンが週足レベルで確認できます。

したがって、長期的な目線としては上がる可能性が高いでしょう。
ただし、前回の急騰では史上最高値を更新した6月の終値で強く頭を押さえつけられていることから、前回高値では一定の売り圧に警戒すべきです。

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ant-usdt-3BTC建てでは、上目線が強いANTトークンですが、USDT出ては大きな節目を迎えています。

上記のチャートは、BTC/USDT(オレンジ)とANT/USDT(ローソク足)の比較チャートです。

USDT建ての価格推移は、ビットコインとのほぼ完璧な相関関係が見られています。
ビットコインの価格推移は、下降トレンドの最中にあるものの、安値まで余裕があり、長期的な上昇トレンドが崩れる可能性は低いです。

しかしながら、ANT/USDTがビットコインと相関し、さらに安値を深く掘った場合は、史上最安値更新となり、明確な買い支えポイントがない危険な状態になってしまいます。

ANTトークンは、対BTC、対USDTで異なるシナリオを想定して取引戦略を考える必要がありそうです。

仮想通貨Aragonとは? まとめ

今回は「仮想通貨Aragonとは?基本情報・将来性・価格推移まとめ」のテーマでした。

この記事のポイントは以下の通りです。

  • 仮想通貨Aragonとは、DAO(分散型自立組織)を包括的に支援するプロジェクト
  • Aragonの導入により、運営負担の軽減や高い透明性の維持が可能となる
  • 2021年初めは方針をめぐるCEOの辞任など大きな動きが目立った
  • 価格推移からは、BTC建てとUSDT建てで2つの目線がある
  • USDT建てでは、早い段階でビットコインとの相関関係が崩れなげれば、大きな下落のリスクがある
  • BTC建てでは、ANTトークンが底値に到達した可能性が高く、史上最高値まで上がるシナリオが想定できる

DAO(分散型自立組織)は、仮想通貨の基本理念である管理者を持たない経済の仕組みを作るのに欠かせません。

一方で、ユーザー主体で動くプラットフォームでは、管理コストやユーザーの獲得が難しいです。

AragonではDAO構築を容易にするツールの提供など、多くの仮想通貨がDAOの仕組みを導入しやすくできます。今後は、CEO辞任を受け、新体制がどういった戦略で動くのか要注目です。

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この記事のライター
大学卒業後、大手外資系コンサルティング会社でPMOとして勤務。暗号資産やFXなどの金融商品を題材としたライターとしても活動。pythonやjavascriptを活用し、暗号資産の自動売買プログラムの開発も行う。
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