✔ トルコリラの今後を予測したい方
✔ トルコリラについて詳しく知りたい方
トルコリラはスワップポイントも高く大変魅力的な通貨ですが、近年その通貨価値は徐々に下がっています。
そのため「今投資するのは不安」「上昇の兆しはあるのか」など、不安に思っている人も少なくありません。
そこで今回は、トルコリラについて詳しく紹介していくので今後の投資に役立ててください。
- トルコリラの特徴は政策金利が高く、投機的な通貨として扱われていること
- トルコリラは投資通貨として「スワップポイントが非常に高い」メリットがあり、「世界情勢に振り回されやすい」デメリットがある
- トルコは2018年10月以降政策金利を24%に設定しこの数字は当面下がることはないと予想されている
- GDPや経済発展の可能性は高く、アメリカの利上げの鈍化や原油安の恩恵があるので、今後は緩やかな上昇に転じる可能性が高い
トルコリラとは?
トルコリラはトルコ共和国で使われている通貨です。
その歴史は古くオスマン帝国時代から使われていた通貨が現在のトルコリラの起源で、発行された当初はオスマン・リラと呼ばれていました。そして何度も改名されて、現在のトルコ共和国で使用されているものになったのです。
トルコリラの最大の特徴は政策金利が高く、投機的な通貨として扱われていることです。
日本は政策金利が約0.1%くらいですが、トルコ共和国の場合政策金利が20%を超えていて、ほとんどの国よりも高いことがわかります。そのため、スワップ狙いの個人投資家に人気があり、日本の投資家もトルコリラに投資をすりようになりました。
また、最近では「新興国通貨なのでリスクオンの相場に弱い」、「資源輸入国のため原油価格の変化に影響を受けやすい」というイメージがあります。
最近の事例だとウクライナ情勢が緊迫してロシア問題が泥沼化した時に、投資家がトルコなどの新興国から資金を引き上げ、大きく値段が下がったことも記憶に新しいです。
(投資通貨としての)トルコリラのメリット
トルコリラ最大のメリットは「スワップポイントが非常に高い」ということです。
スワップポイントとは、政策金利の差を利用してもらえるお金のことで、トルコは2018年10月以降政策金利を24%に設定しこの数字は当面下がることはないと予想されています。
ですから、他国の金利が低く設定されている通貨を売って、トルコリラを保有することで多くのスワップポイントを手に入れることが可能です。
(投資通貨としての)トルコリラのデメリット
トルコリラのような新興国通貨は、南アフリカランドやオーストラリアドルなどの資源国通貨と同じく、世界情勢に振り回されやすいです。
例えば、世界経済が不況に陥った場合は、今までトルコなどの新興国に投資していたお金を、投資家は安全資産であるアメリカ国債や日本円などにシフトさせます。
そうするとトルコリラの価値は下落していくので、スワップポイント狙いなどで投資をしていた人たちは、スワップポイントの価値よりも大きなダメージを受ける可能性が高いです。
トルコリラのチャート。これまでと今後
では、トルコリラがどのような動きをしてきたか、2016年〜2018年までのトルコリラ円のチャートを見ながら振り返ってみましょう。また、世界情勢などを考慮した2019年の見通しなども紹介します。
2016年のトルコリラチャート
2016年のトルコリラ円は高値が41円程で、安値は30.6円程度です。
1年間でなんと値段が11円近くも下がっていることがわかります。大きな要因は、2015年末にアメリカが利上げを行なったためです。
この時点では利上げ幅が緩やかなであるという見方が強かったのですが、急激なスピードで投資マネーは徐々にドルへシフトし、一年を通して下降トレンドでした。
2017年のトルコリラチャート
2017年のトルコリラ円は、高値が33.10付近で同年の11月には28.00円程度まで下落しました。
下げ幅は2016年に比べると半分程度でしたが、相変わらず通貨下落に歯止めはかからず前年同様に下降トレンドを維持していました。
またこの頃には、米ドルのさらなる利上げの噂が市場に流れ始めていたため、さらなる下落の可能性もあるのではないかと危惧されていました。
2018年のトルコリラチャート
2018年はトルコにとって激動に1年と言って良いほど通貨が下落した年で、トルコリラ円の高値が30.28円だったのに対し、なんと一時15.59円程度まで下落してしまったのです。
この下げの要因は、アメリカのとの対立や米ドルの金利上昇などで、特にアメリカとの対立は市場に大きなインパクトを与え、リスクオンの意識が高まりトルコの通貨価値下落に繋がりました。
しかし、同年の後半にはトルコの政策金利が20%を超える大幅な引き上げが行われたため、通貨の下落は一時的に止まり、年末にはアメリカと対立が始まる前の水準まで通貨価値を戻しています。
2019年ののトルコリラはどうなる?
依然として低い水準の価値ですが、2019年3月のFOMCでアメリカは今年は利上げを行わない可能性が高いと発表されたことから、ドルからほかのところへ投資マネーが流れる確率が高いです。
もちろんトルコリラもその対象で、アメリカの経済の成長が強いままであれば、リスクオフ思考の投資家が増えてトルコリラへの投資が強まり、通貨価値の上昇が見込まれます。
また、依然として原油価格が安いのも好材料です。原油などの資源をほとんど輸入に頼っているトルコは、この価格に変動が国の財政負担のキーポイントで、原油価格の安い状況が続けさらなる経済発展が見込めます。
その結果、よりトルコに投資しようと考え、多くのお金が流れてきやすい状況になり、通貨価値も上昇していくでしょう。
トルコリラの金利政策は
現在トルコの政策金利は24%となっていて、2018年以降から過去最高水準を保っています。では、この先金利が上がったり、下がったりすることはあるのでしょうか。2つのパターンに分けて紹介します。
金利が今後上がる場合
今後金利が上がる場合は、「通貨価値の下落が止まらない場合」です。
通貨の価値が下がると輸出などは問題ないのですが、その反面輸入コストが上昇してしまいます。
原油価格が安い現在の状況が続けば良いですが、この先、万が一上がってしまった場合は財政を圧迫してしまうため、トルコには最悪の事態です。
そうならないためには自国通貨の価値をあげて輸入による負担を減らすのが得策で、最も手っ取り早い政策金利の引き上げをする可能性が高いです。
金利が今後下がる場合
今後国の財政が安定してきた場合、金利が下がる可能性があります。
財政が安定して都市開発やインフラの向上がが見込めるため、投資家は多少政策金利が下がったとしても資金をトルコから引き上げることはないでしょう。
つまり、スワップポイントは以前よりも下がりますが、通貨価値は緩やかに上昇していく可能性が高く、スワップポイントと為替差益を同時に得やすくなります。
トルコリラの経済情勢
では、まずトルコの経済状況を見ていきましょう。トルコの経済発展は通貨にも大きく影響するので、経済面が悪いとネガティブな印象を与えてしまいます。
トピック1 トルコの経済成長力は非常に強い
トルコはの経済成長率は凄まじく、1970年以降5%程度の高い水準を維持し、トルコショックが起こる前年の2017年には実質GDPが7.4%もありました。
日本の実質GDPは1%台なので、どれだけ高いかというのは一目瞭然です。
トピック2 軽工業から機械工業へのシフトで経済発展が見込める
トルコは近年軽工業から自動車産業などの機械工業にシフトしてきています。
機械工業が より発展すれば、国民の所得の向上などにもつながりより豊かな国になることが可能です。
トピック3 中東ではサウジアラビアに次ぐトップクラスの経済力
トルコは、2018年度のGDP国別ランキングでサウジアラビアに次ぐ第19位で、中東の中では2番目の位置につけています。
2018年はトルコショックがあったのに、これだけの順位を維持しているということは、かなり経済力のある国だということがわかりますよね。
トルコの財政状態
経済発展を行なっていく上で重要になるのが国の財政状況ですが、トルコの場合はどうなのでしょうか。
トピック1 2018年前半まで経常収支は赤字が続いていた
トルコは2018年の前半まで経常収支が常に赤字で、お世辞にも財政状況が良いとは言えませんでした。
トルコは2014年以降を見ても100億ドルの赤字になっている時が多く、投資家の不安材料につながっていました。
トピック2 2018年後半に経常収支が大幅に黒字転換
これまで大幅な財政赤字が続いていましたが、なんと2018年の7〜9月期の経常収支が14億ドルのプラスに転じたのです。
これはトルコにとっては大きなプラス要因で、2018年は8月以降単月でマイナスになったのは12月だけです。
また、2019年度は1月や2月にマイナスに転じたものの、以前のようなマイナスにはならず、今後の改善も期待できます。
トピック3 安定した財政状況はトルコリラにとってプラス材料
トルコは長年にわたる経常収支のマイナスをプラスに変え、2019年度もそこまで赤字幅が大きくないです。
この財政状況が続けば、投資家の信頼回復で投資の流入が期待できるようになり、さらに外貨準備高の増強にもつながります。
トルコの政治情勢
政治情勢の変化などは国の今後に大きく影響します。現政権はエルドアン大統領が政治を行なっていますが、どのような内容なのでしょうか。
トピック1 エルドアン大統領の起用は果たして正しかったのか?
エルドアン大統領の政治手腕は非常に良く、外交や投資誘致に非常に積極的です。
例えば、特に目立ったのが先進国へにアピールで、日本にも原子力発電所やインフラ事業などに協力してもらえるように訪日したりしました。
トピック2 エルドアン大統領に不満を持つ人も
エルドアン大統領は政治手腕はかなり良いのですが、失業率やインフレ率の上昇で国内からの不満が出ているのも事実です。
前回行われた地方選も与党が首都で敗北するなど、政治情勢の不安が徐々に現れてきています。
トピック3 政権交代もあり得る?
2019年の3月に実施された統一地方選で与党の支持率の低下が顕著に現れました。
このような流れが続くのであれば、近い将来トルコの政権が大きく変わることになるかもしれません。
今後まとめ
- トルコリラの特徴は政策金利が高く、投機的な通貨として扱われていること
- トルコリラは投資通貨として「スワップポイントが非常に高い」メリットがあり、「世界情勢に振り回されやすい」デメリットがある
- トルコは2018年10月以降政策金利を24%に設定しこの数字は当面下がることはないと予想されている
- GDPや経済発展の可能性は高く、アメリカの利上げの鈍化や原油安の恩恵があるので、今後は緩やかな上昇に転じる可能性が高い
トルコリラは、「チャート的にも安値付近を推移」「世界情勢の影響を受けやすい」などの不安があるものの、GDPや経済発展の可能性は高く、アメリカの利上げの鈍化や原油安の恩恵があるので、今後は緩やかな上昇に転じる可能性が高いです。
ですから、これを機会にトルコリラに投資してみてはいかがでしょうか。
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