✔ メキシコペソの今後の見通しを予想したい方
✔ 少額で投資できる通貨を探している方
メキシコペソは、トルコリラ、南アフリカランドと並ぶ高金利通貨としてスワップ金利を目的とした投資家に人気の高い通貨のひとつです。
政策金利が8.25%と高金利な上に2019年6月現在で1メキシコペソ=5.4円と少額で投資できる手軽さが注目を集めています。
この記事では、メキシコペソの価格予想をチャートを見ながら説明し、2019年の金利予想と、今後の見通しについて詳しく解説しています。これからメキシコペソに投資しようと考えている方は必見の読み物になっています!
- メキシコペソは高金利通貨としてスワップ金利を目的とした投資家に人気
- メキシコの政策金利は高く、2019年現在ではトルコリラに次ぐ高金利通貨である
- メキシコペソは米国との関係が価格に大きく影響する
- 下降トレンドは継続中のためリスクに備えて低レバレッジを維持しながら投資
目次
メキシコペソは高金利・高スワップ通貨
メキシコペソはトルコリラ、南アフリカランドと並ぶ高金利通貨としてスワップ金利を目的とした投資家に人気があります。
高金利であるほか、2018年のトルコショックで新興国通貨が大幅下落する中、メキシコペソは大暴落を免れたことにより今注目されている通貨です。
政策金利が8.25%と高金利な上に2019年6月現在で1メキシコペソ=5.4円と少額で投資できる手軽さが注目を集めています。
メキシコペソは他の通貨に比べてどの程度高金利か
グラフの赤い線がメキシコペソの政策金利です。この10年間他の通貨と比べても高金利であることがグラフからも分かりますね。
高金利通貨といえば
- トルコリラ
- 南アフリカランド
- メキシコペソ
ですが、2019年現在ではトルコリラに次ぐ高金利通貨となっています。
メキシコペソ投資のスワップポイントはいくらか
メキシコペソ円を取引したらスワップポイントでどれくらい稼ぐことができるのでしょうか。
2019年5月の時点でメキシコペソ/円は5.5円付近を推移しています。
スワップポイントは各社によって差がありますが、1万通貨あたり16円程度得ることができます。
この金利が続けば30日で480円、1年間で5840円のスワップポイントを得ることができます。
さらに同じ条件でいくつかの投資パターンでシミュレーションしてみたいと思います。
投資条件は以下とします。
投資金額:50万円
1年間運用
為替レート、政策金利の変動は考慮しない
実効 レバレッジ | 1年後の資産額 | 年利 | ロスカットライン 1メキシコペソ | |
---|---|---|---|---|
10万通貨 | 1.1倍 | 558,400円 (+58,400) | 11.7% | 0.471円 |
20万通貨 | 2.2倍 | 616,800円 (+116,800) | 23.4% | 3.125円 |
30万通貨 | 3.3倍 | 675,200円 (+175,200) | 35.0% | 3.994円 |
40万通貨 | 4.4倍 | 733,600円 (+233,600) | 46.7% | 4.428円 |
50万通貨 | 5.5倍 | 892,000円 (+292,000) | 58.4% | 4.688円 |
10万通貨~50万通貨まで投資してこのような結果になりますが、40万通貨になるとレバレッジが4.4倍となりリスクが高くなります。
ロスカットラインが4.428円ですので急落した場合、強制ロスカットの危険性も出てきます。
50万円の元手で投資するなら30万通貨くらいでの投資がおすすめです。
安全運転で安心してスワップ投資を行いたい場合は、20万通貨まで枚数を落としても良いでしょう。
メキシコペソの今後の価格予想と見通し
それでは今後のメキシコペソの価格の見通しについて分析したいと思います。
中長期と短期、2つの方向性から今後の価格の行方を見てみました。
メキシコペソの中長期的な価格予想(対ドル・円)
【メキシコペソ/円】月足
メキシコペソ/円は月足では下降と保ち合い相場を繰り返しながら安値を更新している長期の下降トレンドです。
2016年の米大統領選でトランプ氏が当選したことが嫌気され、2016年11月には1メキシコペソ=4.87円まで下落しましたが、その後は保ち合い相場なっています。
2017年以降は三角保ち合いを形成しており保ち合いが放れる場面では上下どちらかに大きく動く可能性が出ています。
上昇なら6.2円、その後は7.4円が目標値となり、下降であれば2016年11月最安値の4.87円が一旦の目途、安値が更新されることがあればさらに下降する可能性があります。
【メキシコペソ/ドル】月足
メキシコペソ/ドルでも、現在は保ち合い相場となっており、横ばいが継続なら当面は0.05ドル~0.047ドルの間を行ったり来たりすることが予想されます。
0.05ドルをしっかりと上抜ければ0.065ドルが上値の目途となり、保ち合いの下値0.047ドルを下抜けるようであれば安値更新もあり得ます。
メキシコペソの短期的な価格予想(対ドル・円)
【メキシコペソ/円】週足
週足では現在水平線AとBの間を行ったり来たりしている保ち合い相場です。しかし、200日移動平均線の下に価格が表示されていますので、現時点では下降トレンドです。
その200日移動平均線ですが、ちょうど2019年4月に上昇の上値を押さえ、その後チャートは下降しています。Aの水平線で折り返して上昇しても再び移動平均線に押し戻される可能性があります。
移動平均線を上抜けることができれば上昇トレンド転換の可能性が出てきます。転換後はさらに高値を目指していくことになります。
【メキシコペソ/ドル】週足
対ドルでも、移動平均線が価格を押し戻した直後であり、再び折り返して移動平均線付近に価格が到達したらそのポイントは重要ポイントとなります。
素直に押し戻されて下降すれば保ち合い相場は継続、もしくは下抜けて安値更新もあり得ます。
移動平均線を上抜ければ0.058円付近が上値の目標となりますが、移動平均線をすんなりと上抜ける可能性は低いものと見ます。
移動平均線上で攻防があり、その後上昇転換か下降継続かが決まるでしょう。
メキシコの政策金利予想と見通し
メキシコの政策金利は現在8.25%と高金利通貨の中でもトルコに次ぐ水準となっており、メキシコとしても高金利な状態となっています。
スワップ投資の場合、政策金利は投資成績に関わる重要なチェックポイントとなりますが、今後メキシコの政策金利はどのように推移していくのでしょうか。
米国の政策金利と相関関係にある
メキシコは米国の隣国で貿易も米国が主要相手国になり、景気が米国の影響を受けやすくなりますが、政策金利も米国の影響を色濃く受けます。
図を見ると米国の政策金利とメキシコの政策金利がほぼシンクロしているようにも見えます。このように米国で利上げが実施されるとメキシコも利上げを実施する傾向があるというのがメキシコの金融政策の特徴です。
米国は2019年以降の金融政策をこれまでの利上げ方針から転換して据え置く方針としています。
市場では徐々に利下げをしていくのではないかとも言われていますので、メキシコの政策金利も利下げへ転換していく可能性があります。
実際、メキシコは高い格付けを得ている割に金利が高い傾向にあり、今後は高金利が課題になるとされています。
金利予想1 メキシコ中銀は利下げを行いたいとみられるが当面は慎重姿勢との見方
メキシコ中銀は2018年12月20日に政策金利を8.25%に引き上げてから据え置いています。
米国が2019年の政策金利を据え置く方針へと転換したことで今後のメキシコ中銀の動向には注目が集まるでしょう。
米国の政策金利に追随するような金利政策をしているメキシコですが、中銀は未だ緩和姿勢を明示していません。
現在のメキシコは国内景気の減速感が現れており、中銀としては利下げを行いたいとみられます。
最近は収束してきたとはいえ
- 未だインフレ警戒が継続中である
- 新政権の政策についての警戒感がある
から金融政策を慎重に行っており、今後しばらくは据え置きとの見通しがあります。
金利予想2 米国や他国に追随して利下げ方針へ転換するとの見方
米国が金利据え置き方針に転換したことにより、今後米国が利下げを行っていくのではとの見方から各国が利下げを始めています。
メキシコもこれに追随する可能性があり、ここ最近のインフレ率がメキシコ中銀の目標値の上限内まで収まってきたことも利下げの可能性を示唆しています。
2019年 メキシコペソの上昇の見通しは?
メキシコペソは現在下降トレンドを描きながら横ばいの状態が続いていますが、これは国内外の上昇要因、下降要因が絡み合っていることから来るものです。
特に原油価格、米国との政治的・経済的関係が大きく影響するのがメキシコペソの値動きの1つの特徴ですが、ここでは特にメキシコペソの上昇に影響するポイントを上げていきます。
メキシコペソの上昇を左右するポイントは
最近のメキシコペソ軟調の要因は
- 米中貿易摩擦の長期化への懸念
- 原油安
によるものから始まっています。
世界経済収縮の懸念が排除されれば原油の供給過剰状態も解消され、メキシコペソの下落リスクも軽減されます。
どの程度上昇の余地があるのか
上昇の最初の目途は5.8円を超えたところですが、ちょうど移動平均線と価格が重なりますのでこの地点に到達すると押し戻される可能性があります。
5.8円をしっかりと上抜ければ5.9円、5.95円が目先の目標値です。
しかし、注目すべき点は6/10に窓が開いたことです。
アノマリーの1つにすぎませんが、窓が開いたら閉まる「窓閉めの法則」というものがありますので、一旦5.50付近までは下落する可能性に注意しておきたい所です。
メキシコペソの価格変動の特徴は?
メキシコペソの価格変動は中南米に位置する地理的要因と、原油をはじめとする資源の産出国であること、大国である米国の状況が為替に影響しやすいという特徴があります。
米国との関係が価格に大きく影響する
メキシコは北側の国境で米国と接しており、貿易相手国も米国が中心となります。
主に自動車部品などの工業製品を米国に輸出しており、米国への輸出はメキシコの輸入全体の80%以上を占めます。
このため、米国の景気がメキシコの景気にも大きく影響します。
為替も米ドルの値動きに連動するように推移していくのがメキシコペソの価格変動の特徴の1つです。
メキシコペソと原油価格は相関関係にある
【メキシコペソ/ドル 月足】
【WTI原油先物 月足】
メキシコペソの変動のもう1つの特徴は原油価格との関連性です。原油といえば中東を思い浮かべますが、実は中南米も世界有数の原油の産地です。
メキシコの主な輸出産品は原油となりますので、メキシコペソは原油価格に大きく影響を受けます。
上のチャートがメキシコペソ/ドル、下の価格がWTI原油先物のそれぞれ月足チャートです。原油価格が下降した時、メキシコペソも下げ、原油価格が横ばいのとき、同じようにメキシコペソも横ばいとなっています。
つまり、メキシコペソは原油価格と相関関係にあると言えます。
慢性的な経常赤字も海外からの資本流入でカバー
メキシコは近年慢性的な経常赤字に陥っています。
しかし、海外からの資本流入が多く外貨準備高が高水準なためにリスクは限定的と見られています。
海外からの資本は主に
- 米国で働くメキシコ人の海外送金、
- 海外投資家によるメキシコ株式市場等への投資
- メキシコ国内に拠点を置く海外企業の直接投資
などです。
メキシコペソの為替市場規模も大きいことも海外からの投資流入が多い理由となり、売買規模の拡大が流動性を拡大し、安定的な市場を創り出していますので、他の南米諸国に比べてリスク局面でも限定的な動きに収まることも多いという特徴があります。
メキシコペソの変動(下落)におけるリスクは?
メキシコペソの変動は、次の3つが要因となると考えられます。
- リスク1 トランプ米大統領の発言
- リスク2 原油安の進行によるリラ安懸念
- リスク3 オブラドール大統領の政権運営への懸念
リスク1 トランプ米大統領の発言1つで急落するリスクあり
アメリカでトランプ大統領が就任して以来、メキシコペソはトランプ大統領の発言に振り回される場面が見られます。
2019年5月30日、トランプ大統領は不法移民対策が不十分だとしてメキシコの全輸入品に追加関税を課すと発表しました。
これが大きなペソ売りに発展し、対米ドルでは2018年12月以来、対円では2018年6月以来の安値をつけました。
結局、追加関税回避のための交渉が行われ、追加関税の実施は見送られました。
しかし、またいつトランプ大統領が同じような発言をするとも限りません。
トランプ大統領の発言は前触れなく行われるため、メキシコペソにとってはトランプ氏の存在は大きなリスクとなります。
リスク2 原油安の進行によるリラ安懸念
原油価格指標の代表格である米WTI先物は2019年4月23日の1バレル=66.60ドルを天井として下落基調にあります。
2019年6月6日には一時50.60円まで下落し、1月以来の安値となりました。
メキシコは国家収入のおよそ3割を石油関連が占めていますので、原油価格の下落はペソ安にもつながります。
原油安の主な原因は世界の景気減速による需要の減少と米国の原油生産量の増加による供給過剰です。
原油価格が上昇基調に反転するには世界景気の減速懸念が後退するか、OPEC加盟国等による原油の協調減産を延長するなど、供給過剰の懸念が後退することなどが条件となります。
リスク3 オブラドール大統領の政権運営への懸念
2018年12月に発足したオブラドール政権の左派色の強い運営方針が不安材料とされています。
オブラドール政権では銀行の手数料引き下げなど国民受けを狙った政策が不安視されています。
ほかにも大統領選の公約では年金支給額の倍増、教育の無償化などばらまき政策と取られるような公約を掲げており、政権が本格的に始動する2019年以降の不安材料になっています。
メキシコペソ予想総括まとめ
- メキシコペソは高金利通貨としてスワップ金利を目的とした投資家に人気
- メキシコの政策金利は高く、2019年現在ではトルコリラに次ぐ高金利通貨である
- メキシコペソは米国との関係が価格に大きく影響する
- 下降トレンドは継続中のためリスクに備えて低レバレッジを維持しながら投資
メキシコペソの短期的な見通し
トランプ大統領による追加関税発言、オブラドール政権の政策への不安、原油安の影響から短期的には好材料は多くありません。
そのため、メキシコペソの為替レートは短期的には下降へ向かいやすい状態です。
目先では追加関税問題が一旦収束し、上昇材料が出てきてはいますが、まだまだトランプ大統領の今後の発言によっては一時的に急落する可能性はまだ払拭されていません。
メキシコペソの中長期的な見通し
中長期的な見通しとしてはやはり米国の景気と原油価格が大きなポイントとなります。
米国の景気が好調になれば、メキシコの景気もつられて好調になり、ペソ高へつながる材料となります。また、原油価格の下降トレンドを反転させるために、供給過剰の懸念が後退することが条件となります。
経済的には若い世代が多く、今後の経済成長が期待されているメキシコですが、下降トレンドは継続中ですのでリスクに備えて低レバレッジを維持しながら投資する必要があります。
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