✔ 豪ドルの価格予想や政策金利を予想したい方
✔ 豪ドルに投資しようとしている方
豪ドルはオーストラリアの通貨「オーストラリアドル」で通称「オージー」とも呼ばれることもあります。
FX投資が日本で流行しだした当時から高金利であることで個人投資家に注目を集め、スワップ目的の投資家に人気がある高スワップ通貨の元祖ともいえる通貨です。
しかし最近では豪ドルの金利は低金利傾向にあります。
この記事では豪ドルの価格、金利の見通しを解説していきます。
- 豪ドルは金利が高いイメージがあったが低金利傾向が続いている
- 豪ドル/円は現在、長期の下降トレンドで、米中関係の情勢が豪ドルの上昇を左右する
- ボラティリティは常に高く、豪ドルへの投資では為替変動リスクには注意
- 豪ドルは100万円での投資なら3~4万通貨で安全に運用していくのがおすすめ
目次
豪ドルの金利とスワップを確認
豪ドルは高金利通貨というイメージが強いかもしれませんが、実は南アフリカランドやメキシコペソなどと比べてもすごく高い金利があるわけではありません。
実際に他の通貨と比べたときに金利は高いのか、低いのか、スワップポイントでどの程度リターンを得られるのか見ていきましょう。
豪ドルの金利を比較
グラフの赤い線が豪州の金利です。
豪ドルと言えば高金利通貨というくらい金利が高いイメージがありましたが、最近は低金利傾向が続いています。
2008年には7%前後だった金利が徐々に引き下げられ、2016年8月からは1.50%で据え置かれていました。
2018年以降はついに米ドルよりも金利が低くなり、2019年6月現在の政策金利は過去最低の1.25%となっています。
豪ドルに投資して得られるスワップポイント
豪ドル/円を取引したらスワップポイントでどれくらい稼ぐことができるのでしょうか。
2019年6月の時点で1豪ドル=74.15円付近を推移しています。
スワップポイントは各社差があるものの、1万通貨あたり、1日26円程度得ることができます。
現在の価格、金利が続けば30日間で780円、1年間で9490円のスワップ金利を受け取ることができます。
さらに同じ条件でいくつかの投資枚数のパターンでシミュレーションしてみたいと思います。投資条件は以下とします。
投資金額:100万円
1年間運用
為替レート・政策金利の変動は考慮しない。
実効レバレッジ | 1年後の資産額 | 年利 | ロスカットライン | |
---|---|---|---|---|
2万通貨 | 1.48倍 | 1,018,980円(+18,980) | 1.9% | 1豪ドル=25.157円 |
3万通貨 | 2.22倍 | 1,028,470円(+28,470) | 2.85% | 1豪ドル=42.518円 |
4万通貨 | 2.97倍 | 1,037,960円(+37,960) | 3.8% | 1豪ドル=51.198円 |
5万通貨 | 3.71倍 | 1,047,450円(+47,450) | 4.75% | 1豪ドル=56.407円 |
6万通貨 | 4.45倍 | 1,056,940円(+56,940) | 5.69% | 1豪ドル=59.879円 |
7万通貨 | 5.19倍 | 1,066,430円(+66,430) | 6.64% | 1豪ドル=62.359円 |
2万通貨~7万通貨まで投資して上記のようなシミュレーション結果となりますが、5万通貨ではややレバレッジが高くなり、高リスクになります。
100万円での投資なら3~4万通貨で安全に運用していくのがおすすめです。
豪ドル円の価格予想と見通し
それでは今後の豪ドルの価格の見通しについて分析してきたいと思います。
中長期的な豪ドルの価格予想(対ドル・円)
AUD/JPY 週足
豪ドル/円は現在、長期の下降トレンドです。
現在は前回の安値2016年6月の72.50円に近付きつつある重要ポイントに来ています。
ここを下抜けるようであればもう一段安、反発すれば一旦79~80円付近が上値の重要ラインとなります。
AUD/USD 週足
対ドルでも2016年の0.68ドル付近に価格が到達していますので、ここを底として反発するのか、下抜けて一段安となるのか重要なポイントに差し掛かっています。
反発した際の上昇の目途は0.72ドルです。
短期的な豪ドルの価格予想(対ドル・円)
AUD/JPY 日足
豪ドル円の日足チャートにボリンジャーバンドを表示させています。
Aのトレンドが終わった後にボリンジャーバンドの幅が収縮するスクイーズが見られます。この後、バンドの幅が大きく広がるエクスパンションが起き、価格は下落しはじめた所です。
スクイーズはトレンド発生の前兆となることが多い現象です。つまり、短期的な下降トレンドが始まった可能性があります。
ただ、現在は長期予想でも解説した通り、2016年6月の安値を試す局面です。トレンドを形成せずにボリンジャーバンドの-3σに跳ね返されたとすれば75~76円くらいまで押し戻されて上昇する可能性があります。
AUD/USD 日足
対ドルでは小さなトレンド(A)が終わったあと、ボリンジャーバンドの-2σに跳ね返されています。現在はバンドの角度は平行になっている状態です。
今後は0.685ドル~0.70ドル付近を行き来する展開が予想されます。
豪ドルの政策金利予想と見通し
近年は低金利で推移している豪州の政策金利ですが、なぜここまで低金利になったのでしょうか?
今後の金利の予想と共に解説したいと思います。
高金利政策を取る必要がなくなったオーストラリア
豪州が低金利になった理由は結論から言えば「高金利にする必要がなくなった」からです。
オーストラリア準備銀行(RBA)の金融政策はインフレ・ターゲット政策を採用しています。
利上げはインフレ率を抑えるために行われますが、新興国の場合、高いインフレ率が経済の足枷となるため、利上げをして、インフレを抑制させる政策を取ります。
現在のオーストラリアのインフレ率はRBAの目標値である2~3%を下回り1.3%となっていますので、利上げの必要は無くなっています。
さらに利下げにより国内の投資活動が活発になりますので、国内経済を活性化させるメリットももあり、目先は利上げではなく低金利水準で金利据え置きする、または金利引き下げという見方が大きくなっています。
RBAが6/4の金融政策決定会合で2年10か月ぶりの利下げへ
RBAは6/4の金融政策決定会合で政策金利を1.50%から1.25%へ利下げを行いました。
これは5月の政策決定会合の議事録にも利下げが行われることがほのめかされていたため、市場では予想通りの展開となりました。
利下げは2016年8月以来2年10ヵ月ぶりとなります。
今後の政策金利は主に雇用情勢などに改善が見られない場合は追加利下げ、または経済の状況注視しながら金利据え置きかに注目がされています。
金利予想1:このまま当面据え置き
RBAの今回の利下げは雇用増加とインフレが目標値とする2~3%まで上昇することを確かなものにするために実施したと声明文で発表しています。
オーストラリアの労働市場は雇用の伸びは強いと評価していますが、賃金の伸び悩みなどが課題になっています。
今後の労働市場を見ながら、利下げによって住宅・設備投資が刺激されれば当面RBAはこれまでの姿勢を崩さずに金利据え置きとなります。
金利予想2:さらに段階的に利下げを行っていく
今回の利下げで労働市場に改善がなく、物価の上昇が期待できない場合は追加で段階的に追加利下げを行っていく可能性があります。
現在の豪州は低インフレが続く中、米中貿易戦争が激化していることで輸出の伸びが減少している状態です。
国内では住宅価格の下落がインフレ率を下げていますので、これらが今回の利下げで改善されない場合は今後も利下げを実施する可能性があります。
2019年 豪ドルの上昇の見通し
豪ドルの値動きは海外情勢や商品価格が大きく影響します。
現在は下降トレンドを描いていますが、ここでは特に豪ドルの上昇に影響するポイントを挙げていきます。
米中関係の情勢が豪ドルの上昇を左右
2019年の豪ドルの上昇を左右するポイントは追加利下げの可能性と米中関係の行方です。
豪ドルは6月4日にRBAが利下げを決定したこと、米中貿易摩擦が長期化していることから軟調に推移しています。
利下げに関しては市場はRBAに対して追加利下げを期待しているため、豪ドルは上値が重い状態です。
追加利下げは市場がある程度織り込み済みとなっていますので下値は限定的と思われますが、米中関係が悪化した場合は一時的な急落もありますので要注意です。
逆に、利下げにより豪州の経済が上向きとなること、米中関係が改善に向かったとのニュースが入れば修正的な上昇を期待することができます。
豪ドルは79円台まで上昇の余地がある
上昇の一旦の目標値はまずは直近の揉み合いの75~76円を上抜けること、さらに2019年1月から4月までも揉み合いの下値である77円台後半から200日移動平均線が推移している79円付近となります。
豪ドルの価格変動の特徴
豪ドル相場の価格の動きの特徴は
- 資源価格
- 中国景気
- 取引通貨との金利差
で左右される傾向があります。
資源価格に連動しやすい
オーストラリアは資源国ですので資源価格が為替に影響しやすいという特徴があります。
オーストラリアの輸出品目は半分ほどが鉄鉱石、石炭、アルミニウムをはじめとする鉱産物ですので、資源価格が上昇すると豪景気の上昇につながり、豪ドルは鉄鉱石価格、石炭価格に連動する傾向があります。
中国の景気に影響されやすい
オーストラリアの資源の最大の輸出先は中国です。
したがって、中国経済が好調になればオーストラリアにとっては好影響になり、中国経済が悪化するとオーストラリア経済も悪化すると言われているほど中国景気と豪ドルは相関関係にあります。
取引通貨の金利差が価格の上下に影響する
豪ドルは高金利通貨の筆頭銘柄として人気を得てきました。
現在は低金利ですが、未だ高金利通貨のイメージは消えていません。そして、この豪ドルの高金利通貨としてのイメージが為替レートにも影響を与えています。
オーストラリアの利下げも下降要因となりますが、米ドルや円、ユーロなど取引通貨が利上げした場合も豪ドルとの金利差が縮まるため、下降要因となります。
したがって豪ドルだけでなく、取引通貨の金利動向も豪ドルの価格に影響を与えます。
豪ドルの下落するリスクと見通し
今後豪ドルが下落する見通しを考えてみました。
どのようなリスクがあるのか、一つづつご紹介をしていきます。
リスク1 米中貿易戦争への懸念
オーストラリアの最大の輸出相手国は中国ですが、現在中国は米中貿易戦争の真っただ中です。
米中の貿易摩擦が和解に進まないままお互いエスカレートしていけば中国の景気が落ち込んでくるリスクが出てきます。
そうなると豪州から中国への輸出量が落ち込み、豪州経済にも打撃が生じてきます。
今後米国のトランプ大統領の予測不能な発言によっては豪ドル相場に一時的な影響がでる可能性もあり、注意が必要です。
リスク2 RBAの利下げによる下落リスク
豪ドルは金利差狙いで投資をしている投資家が多くいますので、最近の低金利は豪ドルの投資対象としての魅力は減少しているといえます。
さらに2019年6月の利下げは豪ドルの上値を押さえています。
RBAの追加利下げは市場では半数が織り込み済み、半数は据え置きを予想していますので、今後追加利下げが行われることがあれば一時的に豪ドル安の局面になるおそれがあります。
リスク3 リスクオフ相場で大幅下落しやすい
豪ドルは騰落率が主要先進国通貨の中でも大きく、リスクオフ相場では新興国通貨並みの騰落率をする傾向があります。
資源価格との連動性とリスク局面でリスク回避のために売られやすい通貨であるため、ショック相場では大幅下落を起こしやすい通貨です。
ボラティリティは常に高く、豪ドルへの投資では為替変動リスクには注意が必要です。
予想総括まとめ
- 豪ドルは金利が高いイメージがあったが低金利傾向が続いている
- 豪ドル/円は現在、長期の下降トレンドで、米中関係の情勢が豪ドルの上昇を左右する
- ボラティリティは常に高く、豪ドルへの投資では為替変動リスクには注意
- 豪ドルは100万円での投資なら3~4万通貨で安全に運用していくのがおすすめ
豪ドルは現在、利下げによる低金利政策と米中貿易摩擦の影響で軟調推移を継続しています。
豪ドルの上昇にはオーストラリア国内の労働市場の改善と米中貿易摩擦の問題が払拭することが目先の課題となります。
米中の関税問題でアメリカのトランプ大統領が過激な発言をすれば一時的に上海市場が荒れる可能性もあり、その場合はボラティリティの高い豪ドルも急落する可能性は十分にありますので、ポジション量を管理しながら低レバレッジで運用してくとが肝心です。
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