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「そういえば、日本って暗号資産(仮想通貨)に関する法律が決められているの?」、このように暗号資産(仮想通貨)に関する法律を知らないまま、取引を始めている方もいるでしょう。
それでは、2017年に施行された暗号資産(仮想通貨)に関連する法案について、ポイントごとに分けてご紹介していきます。
暗号資産(仮想通貨)投資家だけでなく、暗号資産(仮想通貨)に触れる機会がある方全てが知っておくべきことですから、この機会に覚えておきましょう。
- 改正資金決算法に盛り込まれただけで、暗号資産(仮想通貨)法ではない
- 暗号資産(仮想通貨)の定義と暗号資産(仮想通貨)交換業者の定義や規制について記されている
- 今後は、ICOについて規制が入る可能性あり
目次
- 1 暗号資産(仮想通貨)の法律は通称「暗号資産(仮想通貨)法」
- 2 暗号資産(仮想通貨)の法律は、どのようなことが義務化されているの?
- 3 暗号資産(仮想通貨)の法律違反をした場合の罰則は??
- 4 法律における、暗号資産(仮想通貨)の定義とは?
- 5 法律における、暗号資産(仮想通貨)交換業の定義とは?
- 6 暗号資産(仮想通貨)交換業の規制
- 7 法律における、レバレッジの上限について
- 8 クレジットカード会社による購入規制
- 9 金融庁が発表した、ICO(Initial Coin Offering)について~利用者及び事業者に対する注意喚起~ とは?
- 10 今後、暗号資産(仮想通貨)に関する法律はどうなる?
- 11 暗号資産(仮想通貨)取引における注意点
暗号資産(仮想通貨)の法律は通称「暗号資産(仮想通貨)法」
国会で可決された暗号資産(仮想通貨)に関する法案というのは、改正資金決済法の中に暗号資産(仮想通貨)も盛り込まれたという趣旨です。2017年3月21日に閣議決定され、同年4月1日に施行されています。
従来改正資金決済法は電子マネーや商品券などを法的に記載したものですが、「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」という法律案によって暗号資産(仮想通貨)に対応できるよう改正されました。
そのため通称「暗号資産(仮想通貨)法」と呼ばれていますが、正確には単独で暗号資産(仮想通貨)法というものが存在するわけではありません。
これから覚える方は、改正資金決済法の中に盛り込まれた法案に暗号資産(仮想通貨)が入っていると、正確に認識しておくのがいいでしょう。
暗号資産(仮想通貨)の法律は、どのようなことが義務化されているの?
暗号資産(仮想通貨)法では暗号資産(仮想通貨)の売買や交換業務を「暗号資産(仮想通貨)交換業」、暗号資産(仮想通貨)交換業を営む業者を「暗号資産(仮想通貨)交換業者」と定めています。
更に暗号資産(仮想通貨)交換業者はいくつかの規制を義務づけられています。ひとつひとつその内容を見ていきましょう。
取扱い通貨の説明や手数料に関する情報提供
暗号資産(仮想通貨)取引は他の金融商品と同様、あるいはそれ以上にリスクの高いものです。加えて暗号資産(仮想通貨)そのものの概念もまだ新しく、理解が進んでいるとは言えない側面もあります。
そこで暗号資産(仮想通貨)交換業者は利用者への不利益とならないよう、取扱い通貨や手数料など取引に必要な情報を隠さずに提供することが義務づけられています。
取り扱い業者の社内規則の整備
暗号資産(仮想通貨)法では、暗号資産(仮想通貨)交換業者は金融庁ガイドラインに定められた20以上の社内規則を整備することが求められます。
例えばコンプライアンス(法令遵守)であったり、取引する際の確認事項に対する措置などです。後述するものと重なる部分も多いですが、他の金融商品同様守るべき事項を守らなければ、利用者が被害を受ける可能性もあります。
顧客資産と自社の資産を分別して管理する必要性
銀行や証券会社などの金融機関は顧客から預かった資産と自社の資産を別の口座などに分別して管理しなくてはなりません。
ですが長く暗号資産(仮想通貨)交換業者では義務づけられていなかったため、不正アクセスなどによって容易に顧客の資産が流出してしまっていました。
暗号資産(仮想通貨)法では資産の分別管理が暗号資産(仮想通貨)交換業者に義務づけられました。このため他の機関同様の安全性が確保されるようになりました。
取引の確認や取引記録の作成
暗号資産(仮想通貨)は取引記録で個人が分からない仕組みのためマネーロンダリングなどの犯罪目的に利用され、反社会的勢力の資金源となっていました。
そこで暗号資産(仮想通貨)交換業者は暗号資産(仮想通貨)とは別に業者が取引を確認したり、取引を記録しておかなくてはなりません。犯罪目的で暗号資産(仮想通貨)が利用されることが防がれるため、安心して取引ができるようになります。
暗号資産(仮想通貨)の法律違反をした場合の罰則は??
上記の義務に反した暗号資産(仮想通貨)交換業者は、まず金融庁から業務改善命令や、改善されるまでの業務停止命令が下されます。
そして違反が悪質な場合や、登録に虚偽の内容があった場合、更に登録を受けずに暗号資産(仮想通貨)交換業を営んだ場合などは事業者に対して最大3年の懲役か最大300万円の罰金、あるいはその両方が課されることもあります。
暗号資産(仮想通貨)法以前はこのような罰則規定がなかったため規制を徹底しない業者もありましたが、暗号資産(仮想通貨)法によってより規制の必要性が強くなりました。
法律における、暗号資産(仮想通貨)の定義とは?
暗号資産(仮想通貨)法では暗号資産(仮想通貨)交換業者への規制のほか、暗号資産(仮想通貨)に対する明確な定義を定めています。まず暗号資産(仮想通貨)法では暗号資産(仮想通貨)に「1号暗号資産(仮想通貨)」と「2号暗号資産(仮想通貨)」の2種類があります。
1号暗号資産(仮想通貨)は「不特定性」、「財産的価値」、「電子的記録」、「非法定通貨」の4つの条件を満たすものが該当します。つまり不特定多数の人がその財産的な価値を認め、モノやサービスの購入に使える、法定通貨ではないデジタルデータが1号暗号資産(仮想通貨)ということになります。ビットコインなどが該当します。
2号暗号資産(仮想通貨)は1号暗号資産(仮想通貨)と交換できるデジタルデータを指します。暗号資産(仮想通貨)取引所ではイーサリアムやリップルとビットコインを交換できるところがあるため、イーサリアムやリップルは2号暗号資産(仮想通貨)だと言えます。ほかにもほとんどのアルトコインは2号暗号資産(仮想通貨)に該当します。
またデジタルデータを使ってモノやサービスを購入できるものとしてはSuicaやPASMO、楽天Edyなどの電子マネーもあります。
ですが電子マネーはコンビニなどの加盟店でしか使えないため、1号暗号資産(仮想通貨)の要件のうち「不特定性」に当てはまりません。
ほかにも電子マネーを直接売買するような市場が存在しないため「財産的価値」も適応されません。
更に電子マネーの単位は必ず「円」です。そのため「非法定通貨」にも当てはまりません。
同じデータを使っての決済手段ではありますが、暗号資産(仮想通貨)と電子マネーはまったく異なるものであることが分かります。
法律における、暗号資産(仮想通貨)交換業の定義とは?
暗号資産(仮想通貨)法では暗号資産(仮想通貨)同様に、暗号資産(仮想通貨)交換業の定義も細かく定めています。
暗号資産(仮想通貨)交換業は「暗号資産(仮想通貨)の売買・暗号資産(仮想通貨)同士の交換」、「暗号資産(仮想通貨)の売買や交換の媒介・取次・代理」、「暗号資産(仮想通貨)の取引などの利用者の金銭や暗号資産(仮想通貨)の管理」のいずれかを、事業として行うことを指します。
この条件を満たす業者は金融庁に暗号資産(仮想通貨)交換業者として登録しなければいけません。登録にあたってはいくつかの要件を満たす必要があるので、順番に見ていきましょう。
登録における財務規制(登録拒否事由)
まず暗号資産(仮想通貨)交換業者としての登録を受けるには、資本金を1000万円以上用意し、なおかつ純資産額をプラスにしていなくてはなりません。
暗号資産(仮想通貨)の取引などを営むにはシステムの構築であったり、サーバーの準備などをする必要があり、そのためにはまとまった資金が必要です。そのために資金などに制限が設けられているのです。
情報提供義務
暗号資産(仮想通貨)交換業者は利用者の不利益とならないよう、暗号資産(仮想通貨)そのものについてや取引の内容など幅広い情報を利用者に提供する義務を負います。
暗号資産(仮想通貨)にはセミナー商法などを利用した詐欺も横行していますが、情報提供義務を怠るようなところでは決して暗号資産(仮想通貨)を買ってはいけません。
またこの情報は金融庁の定める「適切な方法」で提供されなくてはなりません。
分別管理義務
暗号資産(仮想通貨)交換業者は自分の資産と利用者から預かった資産を分別管理する必要があります。またこのとき、利用者の暗号資産(仮想通貨)は帳簿などを用いて誰が所有しているか分かるようにしておかないといけません。
管理の状況については、業者は年に1度公認会計士や監査法人などによる監査を受ける必要があります。もし管理に不備があった場合、罰則を負うことがあります。
セキュリティ対策
暗号資産(仮想通貨)交換業は多額の資金が絡むうえ、複雑なシステムが求められるため情報セキュリティ上のリスクがとても高い業種のひとつです。
過去にもマウントゴックスなどが不正流出によって大きな損害を出しています。
そのため分別管理に加えて情報セキュリティ対策やリスク管理、セキュリティの外部監査などが義務づけられています。
監督規制
暗号資産(仮想通貨)交換業者は国の登録の下、業務を行います。そのため国の定める監督規定を守らなくてはなりません。
例えば帳簿や報告書の作成や業務改善命令の遂行、また暗号資産(仮想通貨)交換業をやめるときの廃止の届出などが挙げられます。
マネロン規制
暗号資産(仮想通貨)はマネーロンダリングなどの犯罪目的に利用され、反社会的勢力の資金源などとなる恐れがあります。
そのため暗号資産(仮想通貨)交換業者は銀行などと同様に犯罪収益移転防止法(犯収法)の定める「特定事業者」としてマネロン規制に努めなくてはなりません。
具体的には口座開設時に行う取引の確認義務であったり、疑わしい取引の報告義務などがあります。
暗号資産(仮想通貨)交換業の規制
暗号資産(仮想通貨)交換業は暗号資産(仮想通貨)法と犯収法によって規制がされています。
主に利用者である私たちにはさほど関係ありませんが、普段利用する業者にどういった規制が課されているかは気になることがあるかもしれません。
規制の詳細については内閣府や金融庁などに細かく記載されているため、ぜひ目を通してみてください。
法律における、レバレッジの上限について
暗号資産(仮想通貨)の取引では現物取引のほかに、レバレッジをかけて資金以上の取引を行える信用取引があります。信用取引では現有資金以上の利益を出すことができる反面、資金を一度に失ってしまうリスクがあります。
現状、法律としては暗号資産(仮想通貨)の信用取引でのレバレッジ倍率は定められていません。ですが日本における暗号資産(仮想通貨)交換業の自主規制団体である日本暗号資産(仮想通貨)交換業協会はレバレッジ倍率の上限を4%にすると発表しています。
そのため多くの交換業者でレバレッジ倍率を4倍に設定しています。
クレジットカード会社による購入規制
今日ではキャッシュレス決済なども浸透しており、普段の決済にクレジットカードを利用するために、暗号資産(仮想通貨)もクレジットカードで買いたいと思う人もいるかもしれません。
しかし残念ながら日本のクレジットカード会社はほとんどが暗号資産(仮想通貨)への購入規制を行っており、クレジットカードを利用できません。
クレジットカードを利用できると、購入したものを即座に日本円に換えることで容易にクレジットカードの現金化ができてしまうため、利用規約に抵触する恐れがあるのです。
日本で取引をする場合には、少々不便かもしれませんが現金を使うようにしましょう。
金融庁が発表した、ICO(Initial Coin Offering)について~利用者及び事業者に対する注意喚起~ とは?
ICOとはスタートアップ企業などが資金を集めるためにトークンを発行して売ることを言います。金融庁は2018年10月27日に『ICO(Initial Coin Offering)について~利用者及び事業者に対する注意喚起~』という文書を発表することで、日本におけるICOの位置付けを示しました。
この文書では、ICOで発行するトークンの性質によってはそのICOが暗号資産(仮想通貨)法で定めるところの「暗号資産(仮想通貨)交換業」に該当する恐れがあるとしています。
つまりICOを行うために、金融庁の認可を受けなければならないということです。
トークンの開発を行う企業が認可を受けるのは現実的ではありません。そこで開発業者はトークンが暗号資産(仮想通貨)に当てはまらないようにする、もしくは既に認可を受けた業者へ売買を委託するなどの対策が求められます。
今後、暗号資産(仮想通貨)に関する法律はどうなる?
2017年に施行された暗号資産(仮想通貨)法によって国内の暗号資産(仮想通貨)交換業者の定義が明文化され、利用者保護の為の仕組みが多く義務化されました。
ですがその後コインチェックなどの不正流出が発生するなど、被害の抑止が充分にできているとは言えません。
そこで2019年5月31日に資金決済法と金融商品取引法を改正する法律案である「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」が成立、同年6月7日に公布しました。
資金決済法の改正点
この改正法において資金決済法で改正されるポイントは「暗号資産への改称」と「信用取引、カストディ業務に対する規制」、「業務の適正化」の3点です。
まず改正法において、暗号資産(仮想通貨)の名称は暗号資産へ変わります。暗号資産というのは国際的な呼称であり、2019年のG20でも暗号資産という名称が正式採用されました。
暗号資産(仮想通貨)は単なる資産の域を超えた性質を有しており、法定通貨との混同を避けるために、暗号資産という名称が使われるようになったのです。
またこの改正法ではそれまで規制の対象外だった暗号資産(仮想通貨)の信用取引やカストディ業務においても現物取引同様、情報提供等が義務づけられています。
特にカストディ業務においても暗号資産(仮想通貨)交換業者としての登録が義務づけられた点は大きな変更と言えるでしょう。
そして業務の適正化を目指し、預かり資産の安全性の高い方法での保管の義務化、過剰な広告の規制や業者が取り扱う通貨を変更する際の事前申告の義務化、更に利用者への優先弁済権を認める旨が明記されました。
従来の改正資金決済法ではもし暗号資産(仮想通貨)交換業者が倒産した場合でも利用者は充分な補償を受けられませんでしたが、今回の改正法により優先弁済権が認められたことで、より補償が手厚くなりました。
金融商品取引法の改正点
今回の改正法によって、暗号資産(仮想通貨)は金融商品取引法(金商法)による規制対象となりました。
そのためこれまで規制が進んでいなかった暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引や他の金融商品では禁止されている不正行為などが、金商法によって規制されるようになります。
またこの改正法において、暗号資産(仮想通貨)に「電子記録移転権利」という概念が導入されました。
これはICOの中でもSTO(Security Token Offering)というもので発行される、「セキュリティトークン」という有価証券などの財産的価値をトークンに移したものなどに適応されます。
セキュリティトークンは金商法で定める第一種有価証券として扱われます。今回の改正法において、進歩を続ける暗号資産(仮想通貨)技術などにおいても対応が進みました。
暗号資産(仮想通貨)取引における注意点
- 改正資金決算法に盛り込まれただけで、暗号資産(仮想通貨)法ではない
- 暗号資産(仮想通貨)の定義と暗号資産(仮想通貨)交換業者の定義や規制について記されている
- 今後は、ICOについて規制が入る可能性あり
今回は日本における暗号資産(仮想通貨)の法規制について紹介しました。
日本では暗号資産(仮想通貨)法によって暗号資産(仮想通貨)や暗号資産(仮想通貨)交換業者などの定義や法規制が明確に定められています。暗号資産(仮想通貨)取引所もいくつもの基準をパスして金融庁の登録を受けたものなので、取引の安全性などもひとまず心配する必要はありません。
ただ日本ほど暗号資産(仮想通貨)への法規制が進む国はまだ多くありません。海外の取引所ではお金さえあれば取引所を開設できたり、暗号資産(仮想通貨)を上場させることができる可能性もあります。取引所に上場しているからと、イコールで安全なコインだとは決して言えません。
なので規制が緩いからといって、うかつに海外の取引所に手を出すと痛い目に遭うこともあります。安全に取引をしたいなら、日本の取引所を選ぶといいでしょう。
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