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「強気買い」主要eコマース株でベストの銘柄は?

ストーリーハイライト

近年、eコマース業界はマクロの逆風と急速に変化する消費者行動に苦戦しています。高金利と経済のソフトランディングよりも悪い事態への懸念から、一部の消費者は一般消費財(裁量財)だけでなく、可能な限り生活必需品も削減しています。

2024年後半に1回の利下げが見込まれ、経済成長が加速する可能性がある(おそらくAIによる生産性向上によって)ことから、消費者はより楽観的になれる理由があります。しかし、それがeショッピングブームを加速させるのに十分かどうかはまだわかりません。いずれにしても、最近はほとんどの一般消費財がオンラインで購入されることを考えると、主要eコマース企業が最も強力な回復力を持っていると思われます。

そこで、TipRanksの比較ツールを使って、アナリストのコンセンサス評価が「強気買い」の3つのeコマース大手を見てみましょう。

PDDホールディングス (PDD Holdings, NASDAQ:PDD)

PDDホールディングス(旧Pinduoduo)は、国際的なeコマース事業Temuの好調に乗る中国のeコマース企業です。幅広い品揃えと、直接仕入れによる驚くほど低価格な商品で、Temuはデジタル小売業者の価格競争において「底値への競争」に勝利しているようです。

Temuは、他社が真似できない価格設定、中国独特の「ゲーム化」されたショッピング体験、そして世界規模の成長機会を有しており、新たなeコマースのディスラプター(破壊的企業)として注目されています。

Temuにより、時価総額で中国最大のeコマース企業に

Temuのおかげで、PDDは中国のeコマース大手アリババ(NASDAQ:BABA)を抜き、時価総額で中国最大のeコマース企業となりました。アリババが長期にわたる不振に苦しむ一方、Temuの人気は高まり続けており、PDDはこのリードを長期的に維持する可能性が高いとみられます・

第1四半期には、Temuの貢献により、PDDの売上高は前年同期比131%増となりました。これは、中国株投資に伴う追加リスクを許容できるほどの成長率です。世界中のどこを探しても、実績株価収益率(PER)19.7倍、または予想PER約13倍で、このような成長を遂げている企業は見当たりません。

PDD株の目標株価は?

TipRanksによれば、PDD株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、14人全員が「買い」レーティングを付けていて、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は217.75ドルで、今後12カ月で46.9%の上値余地を示唆しています。

アマゾン (Amazon, NASDAQ:AMZN)

Temuでは商品の底値価格で購入できますが、配達には時間がかかります。米国の場合、Temuの商品が届くまで数週間かかることもあります。時間に余裕がなく、スピードが必要な場合は、アマゾンを利用するのが良いでしょう。アマゾンは、特定の商品カテゴリーで絶対的に最安値というわけではありませんが、それは迅速な配送速度の代償と言えるでしょう。

Temuが仮に配達時間を数日短縮できたとしても、アマゾン・プライムの配送速度には到底及ばないでしょう。アマゾンは、当日配送を可能にするために舞台裏で膨大な物流革新を進めています。

また、アマゾンでは、Temuでは手に入らないような本物のブランド品が多く購入できます。

アマゾン株主にとって朗報なのは、アマゾンがTemuやその競合である中国のファストファッションeコマース企業Sheinなどへの対応策を打ち出していることです。報道によると、アマゾンは20ドル以下の安価な衣料品の販売手数料を大幅に引き下げました。これは、eコマースの元々のディスラプターであるアマゾンに挑戦する、急速に成長する中国のeコマース企業に対抗するのに役立つでしょう。

アマゾン株の目標株価は?

TipRanksによれば、アナリストのアマゾン株に対するコンセンサス評価は「強気買い」で、過去3カ月間のアナリストレーティングは、42人全員が「買い」を付けています。平均目標株価は221.20ドルで、今後12カ月で20.2%の上値余地を示唆しています。

メルカドリブレ (MercadoLibre, NASDAQ:MELI)

メルカドリブレは、ラテンアメリカの主要eコマース・決済企業です。ラテンアメリカ諸国にとって、いわばアマゾンのようなものです。新興市場へのサービス提供は長期的な成長可能性を秘めており、メルカドリブレは何よりも成長を重視する投資家にとって魅力的なeコマース企業です。同社は力強い成長ストーリーと高い競争力を持ち合わせていることから、割高なバリュエーションにもかかわらず、多くのアナリストは強気の見方を維持しています。

執筆時点では、メルカドリブレの株価収益率(PER)は70.9倍を超えており、アマゾン(執筆時点のPERは51.6倍)やPDD(19.7倍)と比較すると割高に見えます。しかし、成長性の高い市場で支配的な地位を確立している企業は、より高いプレミアムを享受できるのも事実です。

アナリストは、2024年の売上高が前年比25%増の190億ドルに達すると予想しています。成長性の高い市場で初期のアマゾンと同様の成長戦略を展開していることから、メルカドリブレ株は注目すべき、あるいは下落時に購入を検討すべき銘柄と言えるでしょう。

メルカドリブレ株の目標株価は?

TipRanksによれば、アナリストのメルカドリブレ株に対するコンセンサス評価は「強気買い」です。過去3カ月間のアナリストレーティングに基づいており、「買い」が12人、「中立」が2人です。平均目標株価は1,921.82ドルで、今後12カ月で23.3%の上値余地を示唆しています。

結論

マクロの逆風が吹き荒れるインフレ環境から経済が立ち直るにつれ、eコマース市場は好調なパフォーマンスを見せる態勢が整っているようです。海外のeコマース企業にも目を向けると、アマゾンはもはや最も成長性の高い選択肢ではありません。今回取り上げた3銘柄のうち、アナリストはPDD株の上値余地が最も大きいとみています。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、PDD, AMZN, MELI: Which E-Commerce Stock Is the Strongest Buy?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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