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テスラ株について「6月13日に注目」とモルガン・スタンレーが強調

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6月13日はテスラ(NASDAQ:TSLA)の株主にとって極めて重要な日となりそうです。この日に定時株主総会が開催され、2つの重要な議題に関して議決権が行使されます。1つ目は、テスラの本社をデラウェア州からテキサス州に移転すること、2つ目は、今年初めにデラウェア州の裁判所によって無効とされたイーロン・マスクCEOの約500億ドル相当の報酬パッケージです。報酬パッケージの承認には、イーロン・マスク氏および弟のキンバル・マスク氏を除く過半数の賛成が必要です。

モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏は、一部の投資家は株主総会・議決権行使日を知っているものの、「株価パフォーマンスに対する重要性については驚くほど注目されていない」と見ています。

議決権行使はテスラの「長期的な戦略的方向性」に大きな影響を与える可能性

ジョナス氏は、議決権行使はテスラの「長期的な戦略的方向性」に大きな影響を与えるものと見ています。「結果を予測することは不可能ですが、このイベントが株価に大きな変動をもたらす可能性があります」

2024年2月の時点で、マスク氏のテスラ株の保有比率は、2018年の報酬で付与されたオプションを考慮すると約20.5%となっています。オプションを除くと、マスク氏のテスラに対する直接の保有比率は約13%となります。マスク氏はこの状況に満足しておらず、約25%の議決権確保を目指しています。

マスク氏、テスラで約25%の議決権を持たずに同社がAIへの関与を深めることに懸念

マスク氏の企業ポートフォリオの中で、テスラはマスク氏が支配権を持たない、あるいは「拒否権を持つ少数株主」ではない唯一の企業として際立っています。マスク氏のベンチャー企業はすべて何らかの形でAIと関連していますが、同氏はテスラにおいて約25%の議決権を持たずに同社がAIへの関与を深めることに懸念を表明しています。この懸念は、どうやらマスク氏が「この強力な技術が誤った方向に進んだ場合」に備えて、支配力を維持したいという願望から来ているようです。

マスク氏の2018年の報酬パッケージを承認しても、それだけで25%の議決権が直接得られるわけではありませんが、それでもジョナス氏は、承認はマスク氏に対する「戦略的支援の投票」に相当し、結果は重要だと考えています。

では、報酬パッケージが否決された場合の影響は?ジョナス氏は「オプションはおそらく無効となる可能性が高いです」と説明し、「マスク氏が25%の所有権を達成するのはますます難しくなるでしょう」と述べています。

議決権の問題が解決しない限り、テスラのAIの見通しは限定的なものに

ジョナス氏は、議決権の問題が解決しない限り、テスラのAIの見通しは限定的なものになると考えています。また、拒否権を持つ少数株主の問題が「宙ぶらりんの状態」である限り、テスラの株価は「世界のEV業界の厳しい動向に支配され続ける」と分析しています。

ジョナス氏はテスラ株を「オーバーウエート(=買い)」と評価し、310ドルの目標株価を維持しており、これは今後12カ月で最大80%の上値余地を示唆しています。

ウォール街の見方は?

ジョナス氏の見方は、ストリートでも楽観的な部類に入ります。TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が8人、「中立」が15人、「売り」が9人で、コンセンサス評価は「中立」です。平均目標株価は173.29ドルで、株価は多かれ少なかれ材料を十分に織り込んでいることを示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、‘Don’t Overlook June 13,’ Says Morgan Stanley About Tesla Stock原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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