ストーリーハイライト
テクノロジー業界では、イノベーターや企業が、人工知能(AI)や生成AIをいかに自社のビジネスに適合させるかを模索しています。そして投資家は、AIがどのように利益につながるかを考えています。
米国みずほ証券のトップアナリストは、5月に買うべきAI銘柄を具体的に選好しています。アナリストの答えは私たちを驚かせるものではありません。AIを活用して堅実な利益を上げるリーディングカンパニーに注目しています。既に確立されたポジション、AI分野での既存の取り組み、そして将来的な利益の可能性を見ています。
具体的には、アナリストはエヌビディア(NASDAQ:NVDA)とマイクロソフト(NASDAQ:MSFT)を選好しており、それぞれ時価総額2兆ドルを超える大企業です。これらはテック業界のビッグネームであり、それぞれの領域におけるリーダーであり、利益とリターンの生成に実績があります。
エヌビディア
まずは、半導体チップ業界で急成長中のエヌビディアからです。エヌビディアの株価はこの1年で222%という驚異的な上昇を見せ、ウォール街で2兆ドル以上の評価を受けている4社のうちの1社になりました。
エヌビディアの持続的な上昇は、AI対応プロセッサ・チップの分野での優位性を背景としています。同社がGPU(画像処理半導体)チップを発明したのは1999年のことで、グラフィックを多用するコンピューターゲーム市場向けのハイエンドプロセッサーとして開発されました。この半導体チップは適応性が高く、プロのグラフィックデザイナーの間で人気を博しました。最近では、エヌビディアのGPUはデータセンター産業やAIアプリケーションで広く使われるようになりました。
エヌビディアとOpenAIの密接なつながり
エヌビディアとAIテクノロジーとの密接なつながりは、現在の生成AIの波をもたらしたOpenAIが物語っています。このAI企業はエヌビディアにとって重要な顧客であり、つい先日、両社はエヌビディアがOpenAI向けに新しいDGX H200チップをリリースしたことを公表したばかりです。H200は、成功を収めたAIスーパーコンピュータ・チップH100の後継製品で、高性能コンピューティング能力の大幅な向上を意味します。
しかし、エヌビディアのビジネスはOpenAIだけでなく、幅広い分野をカバーしています。同社はグーグルとアマゾンの両方と提携しており、グーグルのオープン言語モデルやアマゾンの人気サブスクリプションクラウドAWSをサポートするAI対応ハードウェアを提供しています。
売上高、利益ともアナリスト予想を大きく上回る
財務面では、2024年度第4四半期(2023年11月-2024年1月期)に221億ドルの売上高を達成しました。これは過去最高で、予想を15億5,000万ドル上回り、前年同期比265%増となりました。このうち184億ドルはAI関連のデータセンター事業によるもので、全体の83%を占めています。データセンター事業は前年比409%増でした。
こうした好調な売上高が好業績につながり、非GAAP(米国会計基準)ベースのEPS(1株当たり利益)は5.16ドルでした。これは前年比486%増で、予想を52セント上回っています。
エヌビディアには競合他社を凌駕するポテンシャルがあると分析
みずほの5つ星アナリスト、ビジェイ・ラケシュ氏は、エヌビディアは大きな可能性を秘めており、競合他社を凌駕するポテンシャルがあると分析しています。
「エヌビディアは、依然として90%以上の圧倒的な市場シェアを誇るAI/データセンター・アクセラレータ企業です。MI300の強化を進めているAMDや、Gaudi2の出荷やGaudi3の開発を進めるインテルを大きく引き離しています。AIサーバーの普及率は、2023年にはサーバー市場全体のわずか1%に過ぎないと考えていますが、2027年には11%に達する可能性があります」
ラケシュ氏は、エヌビディアに「買い」レーティングを付け、目標株価の1,000ドルは、今後12カ月で約13%の上値余地を示唆しています。
ウォール街の見方は?
TipRanksによれば、エヌビディア株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が39人、「中立」が2人で、コンセンサス評価は「強気買い」となっています。平均目標株価は1,005.59ドルで、今後12カ月で13%の上値余地を示唆しています。
マイクロソフト
次に紹介するのは、現在ウォール街最大の公開企業で、時価総額3兆ドルのマイクロソフトです。マイクロソフトはコンピューター事業で50年の歴史を持ち、世界を象徴するブランドのひとつとなっています。
マイクロソフトはソフトウェアの栄光に安住することなく、新テクノロジーの可能性を認識し、AI開発に賢明な投資を行ってきました。同社は2019年以来、OpenAIの主要な支援者であり、このAI企業に総額100億ドルを投入してきました。その投資は、ソフトウェアの巨人に大きな利益をもたらしています。
AIを積極的に自社製品に統合、特にAzureクラウドコンピューティングで活用
それは、マイクロソフトの最近の製品アップデートやリリースのいくつかを見れば明らかです。同社はOpenAIの生成AI開発にアクセスし、自社製品にAIを統合してきました。これらの統合の中で特筆すべきは、インターフェースと検索結果を改善するためにBing検索エンジンにAIテクノロジーを追加したこと、そしてWindowsとOfficeへの組み込み型AIオンラインアシスタントCopilotを導入したことです。
マイクロソフトの最近のAIの動きで最も重要なのは、Azureクラウドコンピューティング・プラットフォームに関するものです。AzureはアマゾンのAWSやグーグルのCloud Platformと直接競合するもので、サブスクリプション・モードで利用が可能です。このサービスでは、AIを活用したアプリケーションやアップグレードの完全なポートフォリオを含む、20以上のクラウドベースのアプリケーションやツールにアクセスできます。
インテリジェントクラウド部門が全体の売上高を牽引
Azureを含むマイクロソフトのインテリジェントクラウド部門は、同社全体の売上高を大きく牽引し、前年同期比21%増の267億ドルを生成し、四半期売上高全体の43%を占めました。
これにより、直近の2024年度第3四半期の総売上高は619億ドルとなり、予想を10億ドル上回り、前年同期比17%増でした。EPSは2.94ドルで、予想を11セント上回り、前年同期比20%増でした。
目を見張る生成AI導入ペース
マイクロソフトのAIとの強い結びつきを、みずほ証券の5つ星アナリスト、グレッグ・モスコウィッツ氏は高く評価しており、同氏は次のように書いています。「マイクロソフトの生成AI導入ペースは依然として目を見張るものがあり、この急速に台頭するテクノロジーを活用する上で最も有利な立場にあるソフトウェアベンダーと見ています。最も注目すべきは、フォーチュン500社の65%以上がAzure OpenAIサービスを使用していることです」
モスコウィッツ氏は、マイクロソフト株に「買い」レーティングを付け、450ドルの目標株価は、今後12カ月で最大11%の上値余地を示唆しています。
ウォール街の見方は?
TipRanksによれば、マイクロソフト株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が31人、「中立」が1人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の489.56ドルは、みずほの見方よりも強気で、今後12カ月で20%の上値余地を示唆しています。
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本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Nvidia and Microsoft: Mizuho Chooses the Best AI Stocks to Buy in May原文の翻訳を中心にまとめています。
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