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ストーリーハイライト
「バンガードFTSEヨーロッパETF」は、分散された欧州株式へのエクスポージャーを投資家に提供し、S&P500指数よりも割安で高い利回りとなっています。加えて、最近注目されているノボ・ノルディスク、ASML、SAPのような上位保有銘柄により、欧州大陸の株式はかつてないほど魅力的になっています。
欧州株は米国株ほど人気があるわけではありませんが、過去6カ月間で17.7%上昇している「バンガードFTSEヨーロッパETF(NYSEARCA:VGK)」には魅力がたくさんあります。このETFは投資家に1,295銘柄の欧州株へのエクスポージャーを提供し、米国株に比べてまだ割安で、配当利回りも高くなっています。
ポートフォリオの分散に有効
割安なバリュエーション、魅力的な配当利回り、驚くほどエキサイティングな欧州株への分散投資、そして低い経費率により、VGKに注目すべきでしょう。
欧州株が必ずしも米国株より優れていると言うわけではありませんが、欧州大陸を見過ごしてきた投資家にとって、現在はポートフォリオを分散させ、米国株の補完として欧州株へのエクスポージャーを追加する良いタイミングのように思えます。
VGK ETFの戦略とは?
バンガードによると、この運用資産額195億ドルのETFは、「欧州の主要市場に所在する企業が発行する株式の投資リターンを測定するFTSE先進欧州オールキャップ・インデックスのパフォーマンスに連動することを目指します」とのことです。
VGKは、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国など、欧州の様々な国の株式を保有しています。
分散が効いたエキサイティングなポートフォリオ
VGKは投資家に優れた分散投資を提供します。このETFは1,295銘柄を保有しており、上位10銘柄の保有比率は資産のわずか20.0%です。以下は、TipRanksの保有銘柄ツールによるVGKの上位10銘柄の概要です。
ご覧の通り、製薬大手のノボ・ノルディスク(NYSE:NVO)がこのETFの主要保有銘柄で、ウェイトは3.1%です。これはまた、VGKがS&P 500 (SPX)よりも集中度が低いことを示しています。バンガードS&P 500 ETF (NYSEARCA:VOO)では、トップの保有銘柄であるマイクロソフト(NASDAQ:MSFT)のウェイトが7.2%と非常に大きくなっています。
欧州にも刺激的かつ革新的な企業が静かに存在
米国は革新的なテック銘柄の中心地として評価を得ていますが、欧州にも刺激的かつ革新的な企業が静かに存在しており、見過ごすことはできません。
例えば、トップ銘柄のノボ・ノルディスクは、減量・体重管理薬という注目分野のリーダーであり(この分野の薬に対する投資家の興奮から過去1年間で株価は70%上昇しています)、ASMLホールディング(NASDAQ:ASML)は、市場で最も注目されているセクターの1つである半導体製造に使用される装置や機械を提供しています。ASMLは過去1年間で48.9%上昇しています。
このETFの上位10銘柄には、欧州テック株である、エンタープライズ・ソフトウェア企業のSAP AG (NYSE:SAP)も含まれています。
保有上位にはスマートスコアが高い銘柄
注目すべきは、ノボ・ノルディスクのスマートスコアが「パーフェクト10」で、SAPは10点満点中9点であることです。スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的株式スコアリング・システムで、8つの市場主要要因に基づいて銘柄を1から10までのスコアで評価します。8点以上はアウトパフォームと評価されます。
なお、エネルギー大手のシェル(NYSE:SHEL)がスマートスコア10点満点中9点でトップ10入りしています。
その他の上位銘柄には、定評ある高級品コングロマリットであるLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(OTC:LVMUY)や、ヘルスケア銘柄のノバルティス(NYSE:NVS)、アストラゼネカ(NASDAQ:AZN)、ロシュ(OTC:RHHBY)などが含まれています。
歴史的に割安なバリュエーション
VGKに投資する主な利点は、S&P 500より大幅に割安であることです。素晴らしい業績を上げている企業もありますが、ほとんどの場合、欧州株は米国株よりもはるかに割安です。実際、モルガン・スタンレー(NYSE:MS)によると、米国株と欧州株のバリュエーションの差は最近、史上最高を記録しました。
S&P500指数は現在、PER(株価収益率)23.5倍で取引されていますが、VGKの平均PERは13.9倍とはるかに低く、投資家に下値保護と上昇余地の可能性をもたらしています。
魅力的な配当利回り
VGKは、S&P500よりはるかに低いPERで取引されていることに加え、S&P500よりはるかに高い配当利回りも魅力です。実際、VGKの配当利回りは3.2%で、S&P 500の配当利回り1.4%の2倍以上です。さらに、VGKは16年連続で配当を支払っています。
VGKの配当の良い点は、多くの欧州株が年または半年ベースで配当を支払うのに対し、VGKは四半期ベースで配当を支払っていることです。
投資家に優しい経費率
VGKは、保有コスト効率が非常に高いETFである点も魅力的です。バンガードは低コストのインデックスETFのパイオニアであり、VGKがわずか0.09%という投資家に優しい経費率を提供しているのは当然です。これは、1万ドルをこのETFに配分した投資家は、年間ベースでわずか9ドルの手数料を支払うことを意味します。
これは、投資家がお金を節約し、ポートフォリオの価値を長期にわたって維持するのに非常に役立ちます。ETFが今後年率5%のリターンを上げ、この経費率を維持すると仮定すると、投資家が今後10年間に支払う手数料はわずか115ドルになります。
アナリストによれば、VGKは「買い」か?
ウォール街に目を向けると、TipRanksによれば、VGKのコンセンサス評価は「中程度の買い」です。これは、ポートフォリオで保有する各銘柄の過去3カ月間のコンセンサス評価に基づいており、「買い」647件、「中立」567件、「売り」82件です。VGKの平均目標価格の84.17ドルは、今後12カ月で24.8%の上値余地を示唆しています。
結論:欧州のためのスペースを確保
この1年、欧州株は勢いを増し、好調に推移していますが、それでも米国株よりかなり割安で、高い利回りを提供しています。VGKが必ずしも米国株をアウトパフォームするとは言いませんが、こういった要素を考慮すれば、投資家が欧州へのエクスポージャーを増やすことを検討するのは悪い考えではないでしょう。
VGKの比較的割安なバリュエーション、3.2%の配当利回り、欧州株への分散投資、良好な経費率、ウォール街のアナリストが評価する潜在的な上昇可能性の高さに注目すべきでしょう。
本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、VGK: There’s Much to Like about This Europe ETF原文の翻訳を中心にまとめています。
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