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アナリストが注目する、AIサイクルの初期段階で恩恵を受けるITサービス株2銘柄

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AI(人工知能)、特に生成AIは、私たちが機械と対話する方法や、機械が私たちに反応する方法を変えつつあります。近い将来、コンピューターに必要なことを伝えるだけで、あとは見ているだけということが可能になるでしょう。しかし、今のところ、専門的なIT企業はまだ必要であり、AI主導の技術サイクルにおける「先兵」なのです。

米資産運用会社グッゲンハイムのアナリスト、ジョナサン・リー氏は、この大変革を取材し、ITサービス銘柄が利益を得る余地は十分にあると見ています。このセクターは、AIがデジタルの世界でこれまで以上に大きな影響力を持つようになるにつれ、恩恵を受ける態勢が整っています。

ITサービス・プロバイダーはAIイノベーションの「先兵」

「我々は、AI主導の技術サイクルの初期段階にあると考えています」とリー氏は述べています。「ITサービス企業は、コンサルティング能力に優れたプロバイダーとして、企業顧客のための新技術計画、ロードマップ、開発、実装を支援しており、イノベーションの「先兵」となります」

このような背景から、リー氏は、投資家が考慮すべきITサービス銘柄2つを具体的に紹介しています。TipRanksのデータベースでこの2銘柄を調べたところ、「買い」評価と堅調な上昇可能性がありました。詳しく見てみましょう。

グローバント(Globant SA、GLOB)

最初にご紹介するのは、グローバルなITサービス企業、グローバントです。同社は2003年にブエノスアイレス(アルゼンチン)で設立されましたが、現在は本社をルクセンブルクに置き、コスタリカからベラルーシ、インドまであらゆる場所で事業を展開しています。

グローバントの時価総額は約85億ドル、従業員数は2万9,000人を超え、グーグル、エレクトロニック・アーツ、サンタンデール銀行などの大手顧客企業のプロジェクトに携わっています。

グローバントは常にITの最前線に立ち、様々なテクノロジーやプロジェクトを推進してきましたが、近年はAIテックの拡大とも密接に関係しています。同社は自社のバックオフィスでAIを活用し、それを顧客ニーズに適用しています。

AIテックを統合し、包括的なロイヤリティ戦略を顧客に提供

そのAIに関連する動きとして、グローバントは2月に、新プロジェクト「ロイヤリティ・スタジオ」を立ち上げました。これは、AIテックとの統合により、包括的なロイヤリティ(企業へのコミットメントやブランドへの信頼)戦略を構築し、顧客に提供するもので、顧客エンゲージメントに向けたエンド・ツー・エンドのソリューションを提供します。

グローバントの業績を見ると、直近の2023年第4四半期決算では、売上高、利益ともに増加しています。売上高は5億8,070万ドルで、前年同期比18%以上増加し、予想を134万ドル上回りました。非GAAP(米国会計基準)ベースのEPS(1株当たり利益)は1.62ドルで、予想を1セント上回りました。2023年通期では、売上高は前年比17%以上増の21億ドル、非GAAPベースのEPSは前年比66セント増の5.74ドルでした。

中期的に2桁成長を予想

グッゲンハイムのリー氏にとって、グローバントは、顧客に成果をもたらす実証済みの能力が魅力的です。同氏は、「マクロ経済の不確実性の中で回復力を発揮する、ラテンアメリカを拠点とするデジタル専業企業であるグローバントは、中期的には2桁成長を下支えし続けるでしょう」と述べています。

リー氏は「買い」レーティングを付け、目標株価の250ドルは、今後12カ月で26%の上値余地を示唆しています。

ウォール街の見方は?

TipRanksによれば、グローバントの過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が13人、「中立」が2人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の264.53ドルは、今後12カ月で約34%の上値余地を示唆しています。

エンダバ (Endava, Ltd.、DAVA)

次にご紹介するエンダバは、IT戦略からビジネス分析、プログラム管理、デジタルアドバイザリー、プロダクトデザインやUX、AIや機械学習の統合まで、様々なテックサービスを提供するITアウトソース企業です。同社はロンドンに本社を置き、2000年の創業以来、欧米の企業顧客にサービスを提供しています。

同社の顧客は幅広い経済セクターに及び、政府・金融、エネルギー・自動車セクター、ヘルスケア、メディア、オンライン決済処理、通信、サプライ・物流セクターの企業にテックサービスを提供しています。エンダバは、データとAIの強力な組み合わせに基づくソリューションで、問題解決に高度な専門知識を提供します。

発展途上のAIを現在のシステムに統合できるように支援

データとAIはビジネス界全体でその役割を拡大しており、エンダバは顧客がこの発展途上のAIを現在のシステムに統合できるよう支援しています。同社は、成果に焦点を当てるアプローチで、AIを活用したデータ・サイエンスがあらゆるビジネスの課題をスムーズにする方法を特定します。

とはいえ、エンダバの株価は2月末、アナリスト予想を下回る2024年度第2四半期(2023年10-12月)決算発表を受け、40%以上下落しました。売上高は1億8,360万ポンドで、前年同期比10%以上減少し、予想も100万ポンド以上下回りました。EPSは0.14ポンドと、第2四半期の0.26ポンドから低下し、予想を18%下回りました。

軟調な株価が買いの好機に

このため、株価は今のところ軟調ですが、アナリストのリー氏は、この軟調さを買いの好機と見ています。彼はエンダバについて、「短期的な成長は、垂直集中やマクロ経済の不確実性の組み合わせによって困難に直面していますが、エンダバが垂直エクスポージャーを拡大していることから、環境が改善するにつれて、裁量的プロジェクトを獲得する上で好位置に付けています」と述べています。

これにより、リー氏は「買い」レーティングを付け、目標株価の60ドルは、今後12カ月で55%の強力な上値余地を示唆しています。

ウォール街の見方は?

エンダバについての過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が5人、「中立」が3人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価の59.63ドルは、今後12カ月で54%の上値余地を示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、‘The Tip of the Spear’: These 2 IT Service Stocks Are Poised to Benefit From an AI-Driven Technology Cycle, Says Analyst原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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