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ストーリーハイライト
大手テック株が今後低迷しても、堅実な価値提案が可能な質の高い小売株は上昇を続ける可能性があります。ウォール街は現在、以下で紹介する小売株を高く評価しています。
過熱しているテック株調整への防衛策としての小売株
市場のボラティリティの高まりを前に防衛策を講じたいのであれば、ディスカウント・リテール分野は投資に好適の場所と考えられます。一部のテック株が過熱し始めていることは間違いありません。また、市場最大の貢献銘柄が下落すれば、他の関連銘柄も下落する可能性があります。そこで、この記事では、潜在的なテックの調整から免れる可能性が高いと思われる、「強気買い」の小売株3銘柄(コストコ、クローガー、ダラー・ツリー)を取り上げます。
各銘柄は、アナリストコミュニティから「強気買い」のコンセンサス評価を得ており、低ベータであることから、次の相場下落時に相対的に安定した柱となる可能性があります。そこで、TipRanksの比較ツールを使って、より高い強靱性を発揮する可能性がある3つの小売銘柄を見てみましょう。
コストコ (NASDAQ:COST)
会員制倉庫型店舗を世界展開しているコストコの会員は、掘り出し物を引き続き大量に購入しています。この卸売小売業者(そしてバーゲン価格でのまとめ買いの王者)は、魔法の公式を押さえているような優れた経営陣を誇っています。
株価は昨年から、放物線を描くような上昇を続けてきているので、調整局面入りする可能性はありますが、アナリストは引き続き強気です。
非伝統的商品の導入、アジアでの拡大機会、AIと自動化で恩恵
コストコは、他の市場の売上が横ばいおよび下落したとしても、売上高の伸びを維持するために創意工夫を凝らせる企業として際立っています。より幅広い非伝統的な商品(金地金など)を提供でき、アジアでの拡大機会があるだけでなく、AIと自動化の台頭からも多くの恩恵を享受できます。
倉庫型小売業であるコストコは、AIゲームに参加しています。すでに効率的な在庫管理を行っているコストコは、AIの助けを借り、さらに効率化を進めようとしています。
自動化が進めばコストをさらに低下させ、利益率を高めたり、会員にさらなる価値を還元できます。コストコがこのようなことをすれば、会員は年会費の値上げを許容できるでしょう。
フードコートでのピザ製造でロボット導入も
コストコは、自動化についてはすでに先行しています。5年以上前からフードコートで販売するピザの製造にロボットを導入しています。これは、コストを節約し、物事をより早く終わらせる手段として、経営陣がテクノロジーを積極的に取り入れていることの証です。
コストコの実績PER(株価収益率)は51.8倍で、かなり高いです。決算発表(3月7日予定)後の調整局面を待つのが賢明と思われます。
コストコ株の目標株価は?
TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が21人、「中立」が7人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。株価の上昇が続いてきているため、平均目標株価の727.59ドルは、4.3%の下値余地を示唆しています。
クローガー (NYSE:KR)
より割安なディフェンシブ小売企業をお探しなら、クローガーが最適と思われます。株価は、2022年4月のピークから急落した後、2022年半ば以降はほぼ横ばいでした(今年2月以降は上昇基調となっています)。現在、高値から約20%下落しているクローガーは、低ベータ(ベータ値0.46でS&P 500指数 (SPX)との相関性が低い)株としては割安な部類に入ると思われます。
実績PER19.2倍、配当利回り2.36%のクローガー株は現在、バリュー志向のディフェンシブ銘柄の一つとして際立っています。
魅力的なバリュエーション、株価のブレイクアウトに期待
テクニカル分析にあるように、横ばい期間が長ければ長いほど、その後のブレイクアウト(トレンドを突き抜けて株価が大きく動くこと)は大きくなります。クローガーもコストコと並んで3月7日に決算発表を予定しており、バークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK.B)の比較的小規模な保有銘柄(最新四半期時点でバークシャーのポートフォリオの1%未満を構成)のクローガーにとって、イベント多き週になるでしょう。
株価がブレイクアウトするかどうかは時間が経ってみないと分かりませんが、現在のバリュエーションは魅力的とみられます。ウォール街の確信とバークシャーの保有も、食料品小売の巨人にとって大きなプラスです。食品・医薬品小売企業のアルバートソンズ(NYSE:ACI)との250億ドル規模の合併が阻止される可能性が高い中、横ばい局面から抜け出そうとしているクローガーが、ここからどこへ向かうのか興味深いものです。
クローガー株の目標株価は?
過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が3人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の53.00ドルは、今後12カ月で7.1%の上値余地を示唆しています。
ダラー・ツリー (NYSE:DLTR)
いわゆる米国の「100円ショップ」のダラー・ツリー株に、投資家は昨年かなり失望させられました。2023年半ばに数カ月のうちに30%下落し、その後回復しつつあります。
消費者が1年以上インフレのピンチを感じており、このディスカウント小売企業は繁栄していると考えている人もいます。しかし、ダラー・ツリーも、同業他社と同様にサプライチェーンに問題を抱えており、事態は常に悪化する可能性があります。
新高値が視野に
株価は2022年の高値から約13%下落していますが、ダラー・ツリー株には新高値が視野に入っています。これまでの四半期決算で明確となった好調な兆しが、年末までに新高値を更新する原動力になるかもしれません。3月13日に直近四半期決算が発表される予定であり、多くのアナリストは強気です。
この記事を書いている時点では、ダラー・ツリーはPER27.8倍で取引されており、ディスカウントストア業界平均の33.5倍を下回っています。
ダラー・ツリー株の目標株価は?
過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が6人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の163.14ドルは、今後12カ月で9.4%の上値余地を示唆しています。
結論
好業績小売企業は、他の市場がやや割高になる中でも、ウォール街から高い評価を得ています。決算を控えて、今後数週間は要注目となりそうです。この3銘柄のうち、アナリストが最も上昇を予想しているのはダラー・ツリー(最大9.4%)です。
本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、COST, KR, DLTR: Which “Strong Buy” Retail Stock Is the Best Bet?原文の翻訳を中心にまとめています。
米国株