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アップル株:Vision Proがもたらす希望の光

ストーリーハイライト

アップル(NASDAQ:AAPL)は2月2日に、ゴーグル型のヘッドマウントディスプレーApple Vision Proを正式発売します。今年の同社のファンダメンタルズに大きな影響を与えないかもしれませんが、この新しい製品ラインナップは、長期的にはアップルの成長に新たな可能性を開くことになるとみられます。

アップルは近年、大ヒット製品の発売がなかったことで批判にさらされてきました。同社初のVR(仮想現実)ヘッドセットであるApple Vision Proは、AirPods以来最大の製品発表となる可能性があります。

Apple Vision Proは米国では2月2日から購入可能ですが、海外での発売日はまだ発表されていません。

好調な需要動向の先にあるもの

Apple Vision Proは1月19日から予約受付を開始しており、価格は256GB版が3,499ドル(約51万円)からです。ちなみに、メタ・プラットフォームズ(NASDAQ:META)が開発・販売する最新のARヘッドセット、Oculus Quest 3は128GB版で499ドルからです。Apple Vision Proが昨年6月に発表された際には、その高価格に懸念の声が上がりましたが、予約受付が始まった最初の週末のデータからは、初期需要が旺盛であることがうかがえます。

アップル担当の人気アナリストであるMing-Chi Kuo氏によると、同社は最初の予約販売の週末に16万台から18万台のVision Proを販売したとのことで、これはこのデバイスが最初の週末中に予想通り完売したことを示唆しています。アナリストが観察し報告したように、すべてのVision Proデバイスの予想出荷期間は、予約注文が可能になった直後から5週間から7週間に延びました。

iPhoneと異なる予約動向

しかし、iPhoneの大ヒットモデルとVision Proには大きな違いがあります。通常、iPhoneは予約開始後少なくとも48時間は出荷台数が右肩上がりに増加しますが、Vision Proの出荷台数は予約開始後48時間は安定的に推移していました。アナリストのMing-Chi Kuo氏によると、これは警告のサインです。

アップルには、新しいデバイスがリリースされると、それを購入するために並ぶカルト的な信奉者がいます。大ヒット商品は、この強力な信奉者層を引きつけるだけでなく、一般の人々にもアピールします。最初の爆発的な予約の後、Vision Proの需要が減退していることは、VRヘッドセットが一般的なテック消費者を惹きつけるには至っていないことを示唆しています。

AR/VR市場に衝撃を与える可能性

経験則によれば、アップルはスマートフォン、パソコン、スマートウォッチなど、様々な消費者向けテックのニッチ市場で、先行者利益を享受していないにもかかわらず、積極的に市場シェアを獲得し、大成功を収めています。アップルの成功は、消費者の嗜好を深く理解した上で魅力的なテック製品を開発する同社の確かな能力に起因しています。

現在、AR/VRヘッドセット市場は初期段階にあり、調査会社のIDCは2023年のAR/VRデバイス出荷台数をわずか810万台と予測しています。Counterpoint Researchによると、2023年第3四半期にはメタがこの市場を独占しており、全デバイス出荷の49%を占めています。Counterpointのデータによると、魅力的なヘッドセットの発売がなかったため、第3四半期のヘッドセットの出荷台数は前年同期比で29%急減したことが明らかになりました。

AR/VRヘッドセット市場の規模が比較的小さいため、アップルが市場に衝撃を与える余地は十分にあります。

アップルの規模の問題

アップルは2007年に初めてiPhoneを発売して以来、飛躍的に成長してきました。しかし、その巨大な規模により、アップルは近年、ウォール街の成長期待に応えることが難しくなっています。ちなみに、2023年度の売上高は前年比3%近く減の3,830億ドル、純利益も2.8%減少しています。

アップルの巨大な規模の問題点は、業績の観点からは大成功を収める製品が必要ということです。2024年、アップルはVision Proを50万台販売し、少なくとも17億5,000万ドルの売上高を見込んでいます。これは単独では心強い数字に思えるかもしれませんが、アップルが今年もたらすと予測される売上高約4,000億ドルと比較すると、Vision Proの売上は些細なものに思えます。

アップルが2024年に予測されるVision Proの販売台数の2倍を販売したとしても、このセグメントが今年の会社全体の売上に占める割合は1%未満です。この理解で行くと、Vision Proは当面の間、アップルのファンダメンタルズに意味のある影響を与えることはできないと結論付けるのが妥当なようです。

しかし、この待望のVRヘッドセットは、アップルに対する市場センチメントを改善し、今年の販売台数がウォール街の予想を上回れば、圧倒的なテック・イノベーターとしての地位を確かなものにする可能性を秘めています。

ウォール街のアナリストによれば、アップル株は「買い」か?

アップルは市場で最も注目されている企業の一つです。当然のことながら、ウォール街のアナリストはアップルの見通しについて意見が分かれることが多いですが、現在のところ全体的には強気です。

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が22人、「中立」が8人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価は205.85ドルで、今後12カ月で7.5%の上値余地を示唆しています。

結論:Vision Proはエキサイティングだが、アップルのバリュエーションはそうではない

アップルはエキサイティングな日々に向かっており、Vision Proの最初のバッチは数週間以内に出荷される見込みです。Vision Proはアップルの今年の業績に大きな影響を与えないかもしれませんが、このデバイスがテック強気派を魅了し、テックファンから好意的な評価を得られれば、市場はアップルをさらに高く評価する可能性があります。しかし、アップルの現在のPER(株価収益率)は、5年平均の25倍に対して29倍で、割高とみられます。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Apple Stock (NASDAQ:AAPL): Vision Pro Is a Potential Silver Lining原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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